善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS 成均館(ユニとジェシン)

ドラマはまだカットバンバンのを五話か六話まで見たくらいなのですが、ノリの一発で書いてみました。残念ながらまだお坊っちゃんとストーカーはキャラが掴みきれないので(ストーカーさんは私の脳内では気に入った相手なら男も女もお構い無しなキャラになってしまっています…←酷)、ヒロインちゃんユニと不良のジェシンです。なお、この二人がくっついて……というか夫婦になっちゃってるので、お気をつけください。






* *


「まだ起きていなかったのか!」

 放蕩息子がやっと身を固める気になり、ホッとしたのも束の間。婚儀の翌朝、一回り成長し、成熟したであろう息子の挨拶を待ちかねていた大司憲ムン・グンスは、息子夫婦が午の刻近くなってもまだ起床してこないと聞きつけるや、執事に息子ジェシンを起こすよう命じた。彼が見るに、あの可憐で生真面目な嫁が息子を困らせているはずはなく、夫婦が起きてこないのは馬鹿息子の寝起きが悪いからと決まっていたからだ。
 しかし、いくら執事とはいえ婚儀を挙げたばかりの若夫婦の室になどお邪魔したくないし、近づきたくもない。
 ――ああ、坊ちゃまは旦那様の御性情を御存知なのに、どうしてこう問題を起こされるのか。
 困り果てた執事は、一計を案じて下男を呼ぶと、ジェシンとユニの室の前に鶏を向かわせた。



 ――うるさい。
 けたたましい鶏の声音を耳にしたジェシンは鬱陶しそうに顔をしかめると、腕の中のユニが起きないよう布団を被った。そう、起きてこないのは、ユニの方だったのだ。
 もっとも、ユニが起きられない原因はジェシンにある。ジェシンが夜明け近くまで寝かせてやらなかったから、こんなことになった。そして、端的に言えばジェシンはそんな事態を招いたことを反省していた。ゆえに、こうしてユニをゆっくり寝かせてやろうと努力している。
 努力? そう、多大な努力だった。朝陽というか、もはや昼間のはっきりした明るさの下でまじまじとユニを――それも、昨夜ようやく情を通じたユニを見つめながら、何もせずにいるというのは。しかし、その一方でこうして見つめていられることに充足を覚えもし、また同時に、あのユニがここまで目覚めないとなると、昨夜の己はよほど乱暴だったかと後悔もしていた。

『おいコロ。テムルはまだ蕾だ。花開くまで、優しくしてやれよ』
『うるさいっ』

 ヨンハの忠告を聞いた時は、ユニを相手にして俺が優しくしないわけがあるか、と思っていた。むしろ、そんなことまで忠告されたことに腹が立った。事実、昨夜いざユニを前にした時には、しゃっくりは出るわユニは震えているわで互いに膝をつき合わせたまま時間が過ぎていき、いっそ何もしないで寝ようかとも考えたほどだった。
 それが一変したのは、恥ずかしげに俯いていたユニが今にも涙の溢れそうな大きな瞳でジェシンを見上げた時だった。

『あの……やっぱり、私、変ですか……?』
『は?』

 緊張から、ジェシンが常にもましてぶっきらぼうな返事をすると、ユニはぽろぽろと信じられないくらい大粒の涙を溢した。その瞬間、それまでの躊躇いも迷いも忘れてジェシンは慌てて腰を浮かせていた。

『おい』

 ――何故泣く?
 まさか、今こうして二人きりになったことで、婚姻などしたくなかったと気がついたとでも言うのだろうか。やはり、愛しているのは――イ・ソンジュンだと。

『なあコロ、女心ってのは、深い霧に隠された道みたいなものさ。正しい道を行ってるつもりが、全く関係のない場所に辿り着くこともある』

 ――ちくしょう! なんだってこんな時に浮かぶのが、あいつの役に立たない助言ばかりなんだ。
 それでも黙って見ていることなど出来るはずもなく、ジェシンはユニの細い肩を懐に抱き寄せた。ふわりと鼻をかすめるのは、白梅にも似た甘い香り。その香りにまた飛び出しそうになるしゃっくりを呑み込んで、ジェシンはそっと囁いた。

『……俺が怖いか?』

 これからコロだなんて渾名のつくような男と過ごさなければならないのだ。第一、女と知らなかったとはいえ、初めて隣で寝た夜などは半ば蹴って横にしてしまった。これから何をされるかとユニが怯えるのも無理はない。
 ……と過去の自分に舌打ちしたくなっていたジェシンに対して、ユニはふるふると首を振った。

『怖くありません』
『じゃあ、何故泣く?』
『それは……』

 そこでユニが言葉を濁したので、ジェシンは腕に力を入れてユニをきつく抱き寄せた。

『もう泣かせたくない。だから、理由を言え。原因がわからなきゃ、また泣かせるだろ』
『……怒りませんか?』
『怒らない』
『じゃあ……言いますね。あの、もしかしたら、師兄(サヨン)は婚儀を挙げたくなかったんじゃないかと思ったんです』
『はっ?』

 思わぬ返答に思わず身体を離して間近でユニを睨むと、ユニもまた、うらめしげにジェシンを見つめ……もとい、睨み返すではないか。

『だって、ずっとそっぽを向いてたじゃないですか。私は何度も師兄を見てたのに、一回も目が合わなくて、凄く悲しかったんです。嬉しいのは私だけなのかな……って』
『っ……馬鹿!』

 思わず叫んでからしまったと思ったものの、すでに時遅し。馬鹿と言われたユニはジェシンに食って掛かった。

『馬鹿ですか!? 一生に一度なんですよ!? それに、今日だけじゃありません。師兄は私が女の格好をするようになってから、あんまりこっちを向いてくれません。男の格好をしてた頃は、違ったのに!』
『それは……!』

 ――女の格好をしていると本当に可愛いから、目に映ると見境なく抱きしめちまうだろうが!
 ……などと口に出来ようはずもないジェシンは、むしゃくしゃした思いをぶつける場所を探して、仕方なく端正に結い上げられていた髷を乱暴にほどいた。はらりと前髪が垂れ、微かに波打つ髪で視界が狭まると、室の光景は消えて、ユニだけが瞳を占める。それが、彼をコロたらしめるべく大胆にした。

『……わかった』
『はい?』
『俺がなんで今まで女の格好をしたお前を見ていられなかったか、教えてやる』
『本当ですか!?』

 これでまたこっちを見てもらえる、と無邪気に喜ぶユニをひょいと横抱きにし、立ち上がる。

『えっ? 急になんですか』

 そして、当初は何が起きるのか理解していなかったユニも、隣室に敷かれた布団の上に下ろされると、さすがに事態を理解したのか頬を真っ赤にして小さくなった。そのユニにのしかかるように身体を重ねたジェシンの背筋にも、ぞくりと冷たい焔が遡る。

『あ、あの……』
『知りたいんだろ?』

 言葉と共に固い掌で柔らかい頬を包み込むように撫でてやると、そこから火がついたようにユニはその頬を紅潮させてぎゅっと目を瞑った後、覚悟を決めた双眸でジェシンを見上げ、はっきりと頷いた。

『……知りたいです。師兄、教えてください』

 その瞬間、挑まれたジェシンの口の端にコロらしい笑みが刻まれた。



 敷布に広がる黒髪を見つめるジェシンのその唇から漏らされたのは、深い吐息だった。
 ――やり過ぎたな。
 今更気がついても遅すぎるのだが、ことユニに関して、ジェシンにはおかしな法則があった。他の人間に触れるのも触れられるのも嫌いなはずが、ユニだけは、出会った時から決まっていつも自分から近づいてしまう。指の届く位置にいれば、触れて、掴んで、引き寄せる。その衝動が、彼を紅壁書として夜な夜な屋根瓦を走らせるよう促したのと同じ血潮から迸っているのは明らかだ。となれば、自覚しようと制御出来るはずもないのだが、紅壁書の時と違ってこちらはユニの身体に負荷がかかる。それは望むことではない。

(まぁ……そう言ったって、こいつは聞きやしないだろうな)

 それに、本音を言えば、ジェシンも聞いて欲しくない。
 イ・ソンジュンが聞けば激怒するだろうが、ジェシンはユニが危ない目に遭うのが恐ろしい反面、ユニの命知らずなところも好きだった。規則というものに従っているようでいて、本当は誰よりも規則を破っているユニの無鉄砲さが心地好かった。遥か高みを見つめ、背伸びをして手を伸ばす、そのあまりに不安定な姿に惹かれた。
 愛おしさが溢れて、ジェシンは堪らずユニを抱きしめ、瞼を閉じた。

「……お前が好きだ」

 囁いても、ユニは聞いていない。でも、それで良かった。今はただ、この衝動のまま、いつまでもユニを抱きしめて、何度でも誓った。一生、この命をかけてお前は護ると。



 ユニの意識が浮上したのは、何やら寝苦しさを覚えたからだ。けれどもそれに文句を言う前に、かすれた低い囁きがユニを捕らえた。

「お前が好きだ」

 ――師兄?
 声は、間違えようもない。そして、その声が囁く言葉に、ユニはじっと耳を傾けた。すると、日頃耳にすることなどそうはないジェシンの真摯な告白まで聴けたものだから、堪らずユニは囁き返した。

「私も、師兄が好きです」
「!」

 まさか聴かれていると思っていなかったのか、勢いよく身体を剥がして狼狽するジェシンに向かって、ユニはにこにこ笑った。

「ねえ、師兄」
「な、なんだ」
「そういう大事なことは、起きてる時に言ってください。聞き逃したら、勿体なくて泣くに泣けません」
「言えるか、そんなこと」

 しかし、俺はヨリムじゃない、と吐き捨てそっぽを向くジェシンを前に、ユニは怯まなかった。ジェシンがユニを見ようとしない『理由』なら、もう身をもってたっぷり実感しているのだ。もはや怯む理由はない。
 ――コロって渾名からは想像がつかないくらい、師兄って可愛かったんだな。
 にやりと笑ったユニは、迷わずジェシンの背に腕を伸ばして、しっかりと分厚い身体を抱きしめた。

「――師兄が好きです」
「!」

 いつものように、きっちりと袷を調えずに寝たジェシンの胸元は肌蹴ている。そこに耳を押し当てて囁くと、心の臓が強く波打つ様を明確に聞き取ることが出来た。

「師兄、ずっと一緒にいてくださ――」

 ところが、ユニの言葉はそこで遮られた。何やら、ジェシンの大きな掌がユニの唇を覆っている。「どうして」と目で問うユニに、ジェシンはふんと笑った。

「ユニ。あんまり俺を煽ると、本当に足腰立たなくなるぞ」

 が、ユニも負けていない。両の手でジェシンの掌を引き剥がすと、にこっと愛らしく笑った。

「師兄、忘れたんですか? 「僕」はテムルですよ。……足腰立たなくなるのは、師兄です」

 それからまもなく近づいてきたユニを、ジェシンがじっと見つめ返す。それは、これから二人の闘いの火蓋が切って落とされる前兆にも思われたが、その闘いより先に、今度こそ大司憲による不良息子への『教育』が始まったことによって、決着は先延ばしとなった。












*****

それにしても、成均館は我が子大好きなパパだらけですな。もっとお坊っちゃんとパパガプスさんの絡みや、ストーカーさんのパパも見てみたいですv



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  1. 2014.02.05(水) _00:00:00
  2. 成均館スキャンダル
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