善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SSS ソルォン

ソルォンのSSSです。
トンマン女王時代のネタバレがちょっとだけあるので、未見の方はご注意を!
ついでに、若きミシルが出てきます。口調はかなりオリジナルなので、違和感があるかもしれません(汗)

コメントへのお返事は、夜にさせて頂きますーvv


***


 ソルォンが初めて彼女を知った日は、霧雨が降っていた。
 けぶる景色を振り返ることもなく、衣が肌に纏わりつく不快感を精一杯少ない表情の奥に隠したソルォンは、僅かに乱れた髪を適当に撫で付け、異父兄の愛する女性の前に進み出た。

「サダハム郎の使いで参りました」

 その異父兄サダハムの文を差し出し頭を垂れた瞬間、額の汗がゆっくりと肌を滑っていく。まだ幼いソルォンにはそれがまるで身支度の出来ない子供の証のように感じられて、さっと羞恥で顔を強張らせた。
 ところがそこへ、ふわりと花の香りが触れた。優しく布が宛がわれ、汗が拭われていく。思わず驚いて顔を上げたソルォンは、間近に迫る光り輝くような美貌を目にして、顔を真っ赤にしてまた頭を下げた。
 ――話には聞いていた。異父兄の想い人は、徐羅伐で最も美しい娘主だと。伝説に近い美貌を持つ伯母オクジンに最も似たその孫娘ミシルは、いずれ歴代の王の寵愛を受けるようになるに違いないと。
 しかしソルォンは、そんな噂を耳にしても、さほど興味を持てずにいた。父の身分の為に、異父兄の恋文を届けるなどと言う不名誉な役目を全うするしかない今の我が身を腹立たしく感じている彼には、女に現を抜かしている暇などない。ただひたすら、花郎となる為に腕を磨いていたのだ。そしてそのように男の間で育ったソルォンにとって、華やかな宮廷に暮らす伯母オクジンやその娘、孫達は、完全に別世界の人間だった。
 そんなソルォンを見下ろしたミシルは、ぱっちりとした愛らしい二重の瞳を瞬かせ、くすりと笑った。その声までもが、真珠のようにまろやかで、愛らしい。

「文をありがとう。……あら、そう言えば私、まだあなたのお名前を伺ってなかったわ。ごめんなさい」
「……ソルォンです」
「では、あなたが大叔母様の秘蔵っ子なのね」

 サダハム郎がいつもあなたのことを自慢するの、とミシルは笑って、ソルォンを椅子へと誘った。触れられているのかいないのか、それすらもわからないほどに優しく、しかし抗い難い仕草でソルォンを座らせたミシルは、彼の為に冷えた果物を用意させた。

「サダハム郎の仰っていたことは真のようね。私の弟のミセンなどは……汗を掻くと肌が荒れると言って、今日は朝から部屋の中に篭っているのよ。困ったものだわ」
「は……」

 ミシルの声は、憂いを帯びれば波間に揺れる月光のように儚いきらめきを湛えていて、益々ソルォンを落ち着かなくさせた。今自分が食べている物が一体何なのかすら覚束ない中、ソルォンは落ち着こうと懸命に異父兄の姿を蘇らせた。ところが、いざ異父兄を思い浮かべてみると、その隣には先程見てしまった美貌のミシルが佇んでいる。
 ――異父兄は、よくこんな世の中にある美しい物を全て集めたような人とまともに話を出来るものだ。自分にはとても出来そうもない。

「ソルォン郎、まだ少しお時間はあるかしら……?」

 返事をしようにも、声を出せばどうにかなってしまいそうで、ただソルォンは頷いた。ミシルはそんなソルォンを咎めることもなく、しゃらりと衣擦れの音を立てて立ち上がった。それと同時に、また花香が微かに辺りを包み込む。

「では……私からも、ソルォン郎に一つ、お願いをしてもよろしくて?」
「はっ」
「まあ、嬉しい。ソルォン郎は、優しい方ね」

 ――考えてみれば、華やかで毒々しい宮中を知る彼女にとって、若竹のようなソルォンを思うままに操るなど簡単なことだったのだろう。
 けれどもその時のソルォンは、そんなことには気付きもせずにピシリと背筋を正すだけで精一杯だった。ただ胡蝶のように捕らえどころのない女人に惹きつけられて、目を離せなくなっていた。


* *


「璽主……」

 目の前の絵姿は、あの時の彼女とは違っていた。あの時の、蠱惑的で愛らしい彼女は、この絵姿の中にはいない。けぶる思い出の中で、朧に微笑んでいるだけだ。

「…………会いたいです、璽主……」

 ――あの日から、いついかなる時も彼を導き、魅了し続けてきた胡蝶は、今、どの空を旅しているのだろう。



****


●おまけ●
智証麻立干
  ∥━┳━━━━立宗葛文王※
延帝王后┃     ∥  ∥━━粛訖宗
    ┣━法興王 ∥━━━真興王 ∥
    ┃  ∥━只召太后∥  ∥ ∥
    ┃  ∥ ∥━━━━━━━万呼夫人
    ┗普賢∥ ∥   ∥  ∥  ∥━━真平王
     ∥━━━━朴英失∥  ∥┳━銅輪太子
     公 ∥ ∥ ∥ ∥  ∥┗━━━真智王
       ∥ ∥ ∥ ∥  ∥     ∥
[火召]知麻立干∥ ∥ ∥━━┳━━妙道夫人 ∥
 ∥ ∥━保刀王后∥ ∥ ∥┃ ∥  ∥  ∥
 ∥善兮王后   ∥ ∥ ∥┣思道王后∥  ∥
 ∥ ∥━吾道夫人∥ ∥ ∥┣興道夫人━知道王后
 ∥妙心郎  ∥━━┳玉珍∥┗弩里夫 ∥
碧我夫人   ∥ ∥┗金珍宮主    ∥
 ∥ ∥━━━魏花郎 ∥ ∥     ∥┳━美室宮主
 ∥[炎リ]臣公    ∥━━┳斯多含郎∥┗━美生郎
 ∥         ∥ ∥┗塞達  ∥
 ∥━━碧花夫人   ∥ ∥━薛原郎 ∥
波路   ∥ ∥━仇利知…薛成    ∥
 善牟公 ∥比梁公          ∥
  ∥━━━━━━阿時公       ∥
寶兮夫人 ∥    ∥━━━━┳━未珍夫郎
     ∥━━三葉公主   ┗━實宝娘主
    法興王           ∥━━秘宝
     ∥━━━━━━━━━━比台殿君
   玉珍宮主
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  1. 2010.09.13(月) _12:20:02
  2. SS(ドラマ準拠)
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