善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SSS 天の川を挟んで

※本日二本目の記事です。

七夕ですね!
思いつきなので、韓国には日本と同じような七夕の習慣があるのか調べられなかったのですが……リクエストで頂いた、『ユシンとトンマンの愛の逃避行 ~お邪魔虫?つき』です。SSと言うよりネタっぽいですが、お楽しみ頂ければ幸いですv


***

「またかよ……」

 師匠と別れれば未来はきっと開ける、薔薇色(って何色だっけ?)の未来よ待ってろよ!!……と、『カワイソウ』なトンマンとその上司兼恋人……『らしい』ユシンを連れて新羅を出ること、三日。新羅を出るまではまだ、俺に怒られる度に自分達の立場を省みて、黙りこくった二人だったけど。
……新羅を出てからは、ずっとこうだ。黙ってるか……。

「せっかく綺麗な川があるのだ。待っているから身体を洗え!」
「昨日の夜に洗ったばかりです! 第一、ユシン郎の方がずっと汗っ掻きじゃないですか。ちゃんと方向音痴のユシン郎でもわかるようなところで待ってますから、ユシン郎こそ身体を洗ったらどうですか!」

 ――口喧嘩をするか。それも、内容が馬鹿馬鹿しいことこの上ない。

「あいつと二人きりにしておいたら、また私を置いていく気だろう! お前は目的の為なら仲間をも騙す奴だ!」
「あぁはいはい、テプンとコクサフンに一服盛ったことをまだ根に持ってるんですか!? ユシン郎、なんで信じてくれないんです!」
「信じられるようなことをしてきたと思ってるのか? お前はいつも私を騙してきただろう!」

 人気のない山中だから、俺も二人を放って勝手に水を飲んだが、その間も恋人(くどくなるが、本当に恋人か?)二人はぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー争っていた。まるで、師匠が二人になったかのような喧しさだ。耳鳴りがする!

「大体、ユシン郎はこれまでそんなこと一度だって言わなかったじゃないですか! 戦場では水浴びしろなんて命令はされませんでした! されてもしてる余裕もありませんでしたが!」
「ここが戦場か? そもそもトンマン、お前は女だろう!? 少しは公主様を見習って淑やかになったらどうだ!」
「ハッ! ユシン郎、だから何度も言ってるじゃないですか! 私はタクラマカンまでこのまま男のフリを続けます、嫌なら帰って下さい、ご両親が心配してますって!」
「私はお前を選んだと言っただろう!」
「もうここまで来たら心配してもらわなくても大丈夫です! って言うか、ユシン郎が足手まといなんですよ! 本気で私と一緒にいて下さるんなら、なんでもっと庶民らしく振る舞ってくれないんですか? もう花郎なんて関係ないんですから、可愛く下手に出なきゃ、何にもしてもらえませんよ!」

 あー今日はよく晴れてるなあ。このまま岩の上で寝てもいいかも。もう日も沈むし……。煩いけど、滝があるからあんまり怒鳴り声も気にならないし……。

 うとうとし始めたピダムは、ユシンの「命令に従え!」の一言を最後に眠りについた。
 そうして午睡を楽しむこと暫く。口の端から垂れかけていた涎を拭いて起き上がったピダムの前には、ユシンしかいなかった。

「あれ? トンマンは?」
「……女扱いする気なら、今は用を足したいから放っておいてくれ、と随分前に森へ消えた」
「ふーん……。……て言うかお前ら、相手に「用を足したい」とか言うの?」
「? 当たり前だろう。出来る時にしておかねば、いざと言う時に困る」

 尤もそうな顔をするユシンに、女って生き物は惚れた男の前じゃ綺麗にあろうとするもんだけど……って言うかそう言う話題は一番避けたい話題だと思うんだけど……と言いかけ、ピダムは黙り込んだ。
 ユシンとトンマンは所謂『相思相愛』らしいのだが、どうにもこうにもそこら辺の若き男女とは勝手が違うのだ。先程もユシンは「洗わなければ臭うだろう!」と気を遣っているのやら遣っていないのやら訳の分からないことを怒鳴っていたし、その前にはトンマンも、「日常生活では本当に役立たずですね!」と定価にさらに上乗せした値段で食糧を買ってきたユシンを罵っていた。(どちらの意見も確かにその通りだとピダムは思った。)

「なあユシン」
「……なんだ」

 当初は一々呼び捨てにされることに不快感を抱いていたユシンだったが、思えばこれからは彼も王族でもなんでもないのだ。トンマンやピダムのように、買い物や値下げ交渉なるものも覚える必要があるのだろう。
 黙って先を促すユシンに、へへっとピダムが笑った。

「おいトンマン、ちょっとこっち来いよ!」

 ユシンよりもずっと目が良いのか、離れたところに立っているトンマンを呼ぶと、ピダムは二人が向かい合うように座らせ、その間に自分も座って二人の手を握った。

「何をする」
「まーいいからいいから! お前ら知ってるか? 今日は七夕、俺の誕生日だ!」
「…………今日は七夕じゃないぞ?」

 至極冷静に、七夕は一月先だ、と怪訝そうな顔をするトンマンに、ピダムはチッと舌打ちして畳み掛けた。

「いーいーかーら! それより、七夕ってのは恋仲の男女にとっては特別な日なんだと。一年監禁されて離れ離れの男と女が、一夜だけ天の川って万年激流の川を渡って、会う日なんだよ」
「……その男女は監禁されるような悪人なのか?」
「いいから話を聞け! いいか、今から俺が天の川になってやる。だから俺が退いたら、お前ら少しは静かに談笑しろよ。一生がなりあってたら、眉間のシワが増えるぞ!?」

 ん、ん、とわざわざ自分でシワを作って説明するピダムに根負けしたのか、トンマンがフッと笑った。

「わかった。今日ぐらいは、ユシン郎に文句は言わない」
「……明日からまた言う気なのか?」
「だって、言わなきゃ、ユシン郎と旅なんかしてられません」
「…………」
「あーあー、穏やかに穏やかに!」
「……わかった」

 ムスッとした顔つきではあったが、ユシンは頷いた。

「穏やかに過ごしているから、天の川はどこへなりと消えて構わん」
「はあっ!?」

 ……しかし、その一言により臍を曲げた天の川は、その日一日中牽牛にへばりつき、その恋心を思う存分からかって、繊細かつ意地っ張りな彼を苛つかせるのだった。
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  1. 2010.07.07(水) _22:40:30
  2. SS(ドラマ設定IFもの)
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