善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS ソファ

最近赤ちゃんトンマンとピダムが出てくるたびに、二人とも可愛くて可愛くてニマニマしてしまいます(危ない)
あの二人、ほんっと可愛いですよねーv子役ちゃんナイス!そしてその時ピダムを見下ろすムンノの、数少ない、愛情たっぷりで「あー可愛いぞよしよし」的な視線が嬉しいです。あんな幸せな時期もあったのだな……と。
と言うわけで、その頃の(と言うか逃げてきた晩の)ソファSSです。今日、久し振りに1~3話を見たもので。……頑張ってソファ!


***

 僅かな時間であまりにたくさんのことが起きた為か、ソファは半ば虚脱状態で膝を抱えて座り込んでいた。いつもは煩い煩いと叱られるほどに元気いっぱいな彼女も、今はもう何も言葉が浮かばなかった。ただ膝に顔を埋めて、顔中についた煤を拭くことすら忘れてソファは小さく蹲っていた。
 どうして。どうして。
 こんな事態になっても、馬鹿な頭は働かなかった。ぐるぐると巡る言葉は、ただその一つだけで。
 けほっと咳が出た。ムンノが部屋を出て行くまで、こうして座り込むまで気付かなかったが、喉の奥が焼かれているかのように痛かった。
 けほっ、げほっと咳が酷くなって、水が欲しくなる。咄嗟に伸ばした手の先には、ムンノが置いていった水筒があった。けれども間抜けなソファは、取ろうとしたにも拘らず、それを倒してしまう。ふふっとソファは枯れた喉で小さく笑った。

「無理です……無理です、陛下……」

 やらなければいけないことはわかっている。公主様を、逃がすこと。新羅とも、ミシルとも関係のないところで育てること。そしてもう王の為だけではなく、自分の為にもソファはそう決意していた。きっと、これが運命と言うものなのかもしれない。天命だとか天運だとか、そんな難しいことはわからない。けれど、公主様が生まれる瞬間に立会い、真っ先に抱いて、母の乳も知らないその子供に、出るはずもない乳を吸わせた。
 ソファをここまで導いてくれた、この、小さな小さな公主様。まだ名前すらない、自らの過酷な運命すらも知らない、かわいそうな公主様。

「タァ」
「ア、ア」

 そんなソファのすぐ隣で、慣れぬ存在がいる為に寝付けないのか、ピダムが公主の傍にしゃがみ込んで、ぺたぺた公主に触れていた。ソファの瞳に、恐怖とも憎悪ともつかぬ感情が過ぎった。
 ――ピダム。王を愚弄し、王妃を殺そうとした、憎いミシルの息子。
 我に返った時には、ソファはピダムから取り上げるように公主を抱き上げていた。

「触らないで……!」
「ウア?」

 わかっている。この子も、親に捨てられた、哀れな子だ。捨てられた王子と、宮廷中がひっそりと彼を哀れみ、しかし、誰も表立ってこの子を庇おうとはしなかった。絶対的な権力を持つミシルに捨てられた子供など、疫病神のようなものだからだ。
 ソファはそっとピダムを振り返った。何も知らない、わからないピダムは、先ほどまできゃるきゃる騒いでいた生き物を取られて詰まらないのか寂しいのか、指を咥えたまま、じっとソファを、ソファの腕の中にいるトンマンを見ていた。どうして、と訊ねているかのような、不思議そうな顔をして。

「……あなたは、公主様に触れてはいけないの」

 ピダムにではなく、自らに言い聞かせるようにソファは呟いた。
 何も知らないこの赤子も、きっと将来、あの冷酷で非情なミシルのようになるのだろう。公主を追って、ソファを燻り出そうとしたあのチルスクとか言う花郎のように、ミシルの為ならどんな惨いことだってするようになるに違いない。
 それに、何より。何より、これ以上二人を近付けるわけにはいかない。伴侶だなんて、神国の王妃にだなんて! そんなこと……そんなことを企めば、今度こそこの小さな公主はミシルに殺されてしまうだろう。すでに二度も殺されそうになっている、この哀れな公主は。

「ア、ア」

 いつの間にかよちよちとソファの傍に歩いてきていたピダムが、赤子ながらに強い力でソファの袖を握った。すでにその力は、男の力だ。
 一体ピダムが何を求めているのか――彼もソファに抱いて欲しかったのか、それとも公主を返して欲しかったのか、わからないながらも、ソファはそのきらりと煌く瞳を避けるように強く身体を振った。まるでミシルに、チルスクに腕を掴まれたかのように、おぞましかった。
 振り解かれたピダムが、ぺたんと尻餅をついて、泣き始めた。狭い小屋中に響き渡る泣き声が、ソファの耳をがんがんと叩く。つられるように、公主も泣き始めた。

「…………ごめんね……ごめんね……」

 ソファは懸命になって公主をあやした。ゆすっても撫でても泣き止まない公主を黙らせる為に、洞窟でしたように、胸を咥えさせることまでした。
 その時、ふっと公主の頭に小さな手が伸びた。泣き止んだピダムが、手を伸ばして公主の頭を摩っていた。……どうやら、自分よりも小さな生き物が泣いているのを見て、涙が止まったらしい。それをぼんやりとソファが眺めているうちに、同じように泣き止んだ公主もまた、ピダムに手を伸ばした。互いを慰め合うように、きゃきゃと笑いながらお互いに触れる二人を見て、またソファの瞳から大きな涙の雫が落ちた。
 剥き出しの腕を滑る雫が酷く温く感じられる、冷たい夜だった。


****
ソファはマジで可哀想だと……彼女が本当に幸せだったのって、宮中なのか、それともトンマンと二人きりで親子として暮らした15年間だったのか。チルスクもSSを書いたので、ムンノの分も書きたいですねー。ムンノはソファに逃げられた頃……とかで。(予定は未定です。笑)
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  1. 2010.05.30(日) _00:00:40
  2. SS(ドラマ準拠)
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