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善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS 侍衛府令の誓い

※本日三本目の記事です。

わわ、更新ミスしてしまいました!(汗)
すみません!!(滝汗)

001_0.jpg
以下、アルチョンSSですー。
えみ様より頂いた「アルチョン主役の話」と言うリクエストで、花郎になるキッカケ……ではないのですが、忠誠心MAXのアルチョンです。り、リクエストに沿いきれず、申し訳ありません(汗) ま、また、思いついたらちゃんと書きます! すみません!(滝汗)


***

 私は侍衛府令、ソ・アルチョン。
 賄賂も色仕掛けも脅しも通じない、自他共に認める陛下一筋の護衛隊長だ。
 勿論、陛下に対して邪な思いは一切ない。陛下は女の身体をした鉄の漢だ。愛だ恋だを語るなど、不敬極まりない。
 私はただ、向こう見ずで命知らずで天運と知略と度胸だけで生き残ってきた陛下をお守りすることに生涯を懸けている。戦場がちょっと恋しい気もするが、何せ命知らずな陛下はたまに戦場より明らかに危険なところへ出向かれるので、緊張感は保たれている。
 ああ、なんと言う満ち足りた日々だろう。

 ……しかし、私は陛下がお気の毒だと思う。
 もうすぐ即位十周年、民衆に慕われ花郎に崇められる陛下の御近辺は、苦悩に満ち満ちているからだ。

 まず、我が友ユシン。
 彼は一年のほとんどを戦場で過ごし、徐羅伐にいることはほとんどない。何せ、名ばかりの兵部令兼大将軍のソヒョン公は異常に腰が重いし、おまけに兵部の将軍達は何年経ってもユシンなしでは作戦会議すら開けない。悲しい有り様だ。ポジョンは司量部ではなく、直ちに兵部に所属させるべきだと思うくらいだ。
 そして帰ったら帰ったで、年々増えていく子供達が離してくれないのか、陛下と私的な会話をすることはほとんどない。暇があっても、龍華香徒の連中が宴に誘う。……お前達は散々戦場で一緒に過ごしただろうがっ!
 ハッ。
 いかんいかん、私の叫びなどどうでも良かった。とにかく、ユシンを探そう。見つけたら一杯飲んで……ではなく! 陛下ともたまには過ごすよう勧めなければ。うむ。
 ……と思っていたが、いざユシンとウォリャが楼台で親しげに話している姿を見ると、私の足は前に進むことを拒んだ。
 ウォリャは、美丈夫と言う言葉が相応しい男だとは思う。女官達のごく一部に局地的な人気があることは、チュクパンからも聞かされている。だが! だが、私は彼がユシンを潤んだ目で野うさぎのように見つめているのを見ると、どうしても鳥肌が……いや、その、ユシンとウォリャが親しいのはわかっているし、どちらも妻子持ちだ、何の疑念も…………ウォリャに妻子はいただろうか?

 と、とにかく、私は楼台から去った。足音を立てないように気を遣って。
 いかん。陛下のお心を慰めんとしているのに、何故……と考えていたら、その辺を散歩しているチュンチュ公に会った。いつも通り、顔は笑っていて、目は笑っていない。少し、気味が悪い。……いや、陛下が可愛いと仰るのだから、可愛いに決まっている。恐らく。
 そのチュンチュ公は、はっきり言って二十歳をとうに超えて未だに無職、たまに苦悩する陛下に助言らしきものを告げるだけと言う方なのだが、便殿会議では上大等と並ぶ位置に……いや、上座に立っている。謎だ。
 臣下としては上大等ヨンチュン公の立場がないので、せめてヨンチュン公よりは下座に立って頂きたいのだが、陛下に諫言したら不思議そうな顔をされた。

「チュンチュは次の時代の王です」

 それはわかっているのですが、さすがに無官のチュンチュ公を上座に据えるのは……せめて、副君に任命されるべきではありませんか、と続けると、陛下はいつも眉を寄せて「今は、まだ」と呟かれる。十年経っても「今は、まだ」なチュンチュ公には相当問題があるのだろうとしか思えない。
 事実、チュンチュ公は無官のままで、便殿で発言されることもほとんどなく、憂さ晴らしか反抗期か、数年前にはなんとユシンの妹を手込めにして……いや、チュンチュ公とユシンはあれがきっかけで義兄弟になった。縁と言うものはわからぬものだ。
 そしてそんな、私には今一つ理解し難いチュンチュ公は、「陛下とたまには水入らずの一時をお過ごしになって下さい」と頼んだ私に対し、「ええ。このキム・チュンチュにお任せ下さい」といつもの決め台詞を爽やかに口にして去っていった。……あの決め台詞が口にされた時、辛い目に遭うのは大概陛下だった気が…………いや、そ、そんなことはないだろう。チュンチュ公は陛下を大切に……していたか? 苦悩する陛下に追い討ちをかけるように、にっこり笑ってさらに悩ませるようなことを言っているような……。
 …………い、いや、深く考えるのはよそう。テナムボの二の舞は御免だ。……と言うか、何故誰もテナムボが消えたことを口にしない!? ある日突然仇が行方不明になった私はどうしたら良いのだ!?

 そんなことを考えていたら、テナムボと言う花郎がいたこと自体を忘れていそうな奴が……いや、男がやって来た。と言うか、いた。私が、仁康殿に戻ってきたら、その仁康殿の前に。それも、片手にどこで摘んできたのかわからない雑草のような花を持って、乙女のように瞳を潤ませうろうろ辺りをさ迷っていたりする。
 その姿は、なんと言うか、名物と化しているので衛兵でさえ気にも留めていないが、その……。

 ……ピダム、お前は四十を過ぎた大人の男だろーがっ!?

 ハッ。
 いかん、つい言葉を荒げてしまった。
 いや、とにかくぶん殴って張り倒して胸ぐら掴んで説教してやりたいほど情けない姿で、徐羅伐を牛耳る司量部令ピダムはそこにいた。
 ……見なかったことにして去ると言う選択肢は、私に残されているのだろうか。
 頼む。頼むからピダム、仔犬のような目でこっちを見るな。陛下はそんなお前が可愛く見えるそうだが、私には気持ち悪いだけだっ! ウォリャと同じだっ!……ユシンはよく、あのウォリャの目を見ながら普通に話せるものだな。
 何? 陛下がお疲れのご様子だからこれを渡してくれ?

 ……自分で渡せ馬鹿モンがッッ!
 何? 笑ってはくれたが受け取ってはくれなかった? 当たり前だろうがっ!!
 第一、いい年した男が惚れた女を慰めるのに野花を渡すだけとはどう言う神経をしているのだ!?
 愛しているでも惚れているでもいいから、さっさと愛を告げてしまえ! 十中八九フラれるだろうが、フラれたからなんだ!? しつこく食い下がれ! 陛下だって、哀れんで情夫くらいにはしてくれるかもしれんぞ! ええい、いっそのこと陛下を押し倒してしまえ!! それくらいやってこそ男だろうがッッ!?

 ああ、まだるっこしい!!


 ハッ。
 い、いかん、私は陛下の護衛だと言うのになんと言うことを……!
 へ、陛下、申し訳ございません。私としたことが、なんと言うことを……! 何? 花? 自分で渡せっっ! 私は陛下のところに戻る!!


 ……やはり、陛下はお気の毒だ。
 私だけでも陛下のご心労を減らすことの出来るよう、努力しよう。うむ。


**


「陛下、もう少し肘を上げて下さい」

 つい先程の誓いもどこへやら、アルチョンは弓を構えるトンマンを事細かに指導していた。

「こうですか?」
「いいえ、もう少し肩を下げて……駄目です、肘は上げたままにして下さい」

 気晴らしに、とトンマンを弓射に誘っておきながら、まるで訓練のように口煩いアルチョンを前に、トンマンは苦く笑って弓を手放した。

「陛下?」
「もう気晴らしは十分です。仁康殿に戻りましょう」

 まだ色々と仕事が残っていますとまた表情を失ったトンマンは、アルチョンの答えも聞かずに歩き出した。
 アルチョンも慌てて後を追ったが、どう言うわけだか、なかなか追いつかない。トンマンの背は、遠いまま。

「陛下……っ」

 どんどん遠退いていく背に手を伸ばして、アルチョンは強く地面を蹴った。あと少し。あと少しで、陛下に届く――。





「――……」

 はたと目覚めると、目の前にこんもりとした小山があった。
 ――ああ、午睡をしてしまっていたのか。
 善徳王の墳墓の前に座っていつものように祈りを捧げていたアルチョンは、ゆっくりと身を屈めてまた顔を上げた。

「……陛下、ユシンがそちらに参りました」

 これで、残ったのはアルチョンだけ。もう、あの夢に出てきた者は誰もいない。

「……寂しいものです」

 あの頃は、毎日頭が痛いとぼやいていたけれど。あの頭痛すら、今では優しい慰憮のようだ。

「ですが、私はまだまだ死にそうにはありません」

 百歳まで生きそうです、とアルチョンは皺だらけの顔をほろ苦く綻ばせた。

「そちらに参りますまでに、陛下の国がどうなったか……三韓一統の成し遂げられた神国をこの胸に刻み込んでおきます。陛下にお仕えした、最後の一人として」

 その言葉に頷くように、そよ風がアルチョンの眦に浮かんだ滴を浚って消えていった。



****

最後はシリアスっぽいですが、要するにアルチョン視点でドラマを見ると楽しいですね!と言うSSでした(笑)
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  1. 2010.08.13(金) _22:29:35
  2. SS(ドラマ準拠)
  3.  コメント:6
  4. [ edit ]

<<リレー連載『偽りが変化(か)わるとき ~砂漠編』  by saki | BLOG TOP | 8月11日と12日に頂いたコメントへの返信>>

comment

花郎魂で思い出しました・・

  1. 2010/09/14(火) 23:38:58 
  2. URL 
  3. りば 
  4. [ 編集 ] 
このssにコメントしてない!と。どうも今晩はです緋翠さま。

やはり流石アルチョン、宮中の男達を一刀両断しまくってて凄いw勢いよく言い切り型のしゃべりが多く!がいっぱいですvいや~サッパリスパーン!と斬ってくれるので小気味いいですね!

しかしこのssを読ませて頂いた直後くらいに36話を見たもので、ウォルヤとソルチがユシンと密会(?)する場面で、ウォルヤがやたら目をウルウルさせて妙な色気をかもしてる気がしてなりませんでした。ウォルヤがトンマンと話してる時はその色気、出てないような気も・・・ww

>仔犬のような目が気持ち悪い

いやー、気持ち分かりますね!ピダム役の方が女性に顔を寄せるロマンチック☆CM画像を見たんですが、あまりに入り込んでいてロマンチックすぎて、うわwちょwwと、思わず停止ボタンを押しちゃいまいした・・・なぜw

りば様へ

  1. 2010/09/15(水) 22:29:59 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
りば様こんばんはーv
あれ、なんだかこのSSにもコメントを頂いた気になってました(笑)

アルチョンは一文一文が短めで、言い切り型が多い印象だったので、出来るだけ俳優さんの喋り方をイメージしてみましたーv 私も書いていて、「あースッキリ! 言いたいこと言えたわー」と爽快でした(笑) 善徳女王一のツッコミキャラかもしれません、アルチョンw

ウォリャ、対ユシンの時だけ妙な色気を醸し出しますよね(笑)
むしろトンマンと一緒の時は、お兄ちゃん風味と言うか、トンマンを見守ってる(本当は「こいつで大丈夫かな…」と観察してるんでしょうけどw)感じなのに、ユシンと一緒の時は……なんとも言えない儚げな風情がww
あ、でも、確か56話辺りでは、トンマンにも色気を見せていたような…!?……やっぱり、対ユシンの時には敵いませんけどw

>ピダム役の方が女性に顔を寄せるロマンチック☆CM画像
なんですかそれwww
多分、見たら手を叩いて爆笑しそうな予感が…!w
そう言えばトンマン役のヨウォンさんの雑誌画像を見た時に、一緒にピダムのもあったので見たのですが、凄いカッコつけてて「俺、セクシー★」な顔してて、笑っちゃいました!(コラ) トンマンの女優さんがめっちゃ自然体なのが売りだとしたら、ピダムの俳優さんはきちんとカッコつけてる感じが売りみたいですねw

言い忘れました

  1. 2010/09/16(木) 23:00:48 
  2. URL 
  3. りば 
  4. [ 編集 ] 
アルチョンが激して~だろうがっ!!と言う度に横で「押忍!!」て合いの手を入れたくなります。気分としては飛天之徒の下っ端で、いつも怒られてばっかで、返事だけはいいなお前は。とか言われてる感じでw(どんなだ)しかしいったん目の届かない所へ行くと郎徒同士で今日アルチョン郎がああ言ったこう言った♪て噂話しますw部下にはこっそりいじられキャラのような気が。

俳優さんご本人がJSAで狙撃手だったとか、実のお父様が古美術品鑑定士だとかいう所も妙にツボでしたw

りば様へ

  1. 2010/09/17(金) 22:25:49 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
りば様みたいな郎徒、絶対にいると思います!(笑)
アルチョンって何故か、『アルチョン郎親衛隊』とか自称しつつ、影では『アルチョン郎語録』とか作ってる人達が部下にいそうなイメージがありますよねw 部下に対して傍若無人と見せかけて、実はいじられキャラと言うかネタキャラと言うか、そんな感じだと私も思います(笑) ついでに、実は家庭内で居所のない夫だとなおイイですね!(ドラマのアルチョンはいつ帰宅してるのか謎なくらい、昼夜問わずトンマンの護衛してるので…笑)

しかも、JSAが楽だと思って手を挙げたって言うエピソードが、嘘かホントかは別にして、俳優さんの愉快なキャラを表してますよねw 確かパパさんは、youtubeの動画で見れたような…? て言うか、学者さんだと思ってました! 古美術品鑑定家だったんですか!(メモっときます!)(えっ)

こんばんは緋翠さま

  1. 2011/02/18(金) 22:21:46 
  2. URL 
  3.  
  4. [ 編集 ] 
何回読んでも面白い&楽しい作品ですね。
アルチョンて 茹で卵をツルッと綺麗に剥いたような輪郭の顔立ちに、ゴルゴのような目そして チョンチョンと顔の中寄りについた鼻と口。しかし、朗粧決意の彼は 美しいと感じたのは 私だけかも知れないですね。あ~、成る程ああいうメイクが似合うお顔立ちなんだ、と妙に一人で納得しちゃいました。それにしてもテナムボは いつの間にかフッと消えてましたね~?ブログを拝見するまで 忘れてました。(ゴメンよ、テナムボ)最終回のアルチョン爺も 相変わらず可愛かったですね。しかし…どうしても ポジョンがキューピー人形に見えて 仕方ありませんあの 大きなクリクリした目は ミシル譲りなんでしょうが、髭を生やしても、戦の格好してても やっぱりキューピーさんポジョンキューピーと 密かに呼んでます…( ̄∀ ̄)名前も何気に可愛い系な気がします。あっ、すみません緋翠さまこんな アホな事 書いてしまいました。
それでは また
面白いので つい何回も読んでしまいました(*^o^*)
by 海
追伸:先程 鍵コメで送信する予定が 上手くいかず もしかしてコメントが重複していましたら すみません…m(_ _)m

海様へ

  1. 2011/02/19(土) 01:21:15 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
海様こんばんはーvv

このSSは私のアルチョンへの愛が詰まっているお話なので(笑)、何度も楽しんで頂けてすっごく嬉しいです!
と言うか、海様…!

> アルチョンて 茹で卵をツルッと綺麗に剥いたような輪郭の顔立ちに、ゴルゴのような目そして チョンチョンと顔の中寄りについた鼻と口。

↑このコメントに水を噴きそうになりましたwww
ゴルゴのような目!!!それは思いつきませんでした(笑) 全体的に例えがツボです。そして的確過ぎますwどうしましょう、これからゴルゴを目にする度にアルチョンが…そしてアルチョンを目にする度にゴルゴが被りそうです。アルチョンを見るとニヤニヤしちゃうんですが、これからニヤニヤ度がさらに増すこと間違いナシです!(←危ない人だぞ)

ポジョンがキューピー人形、と言うのもウケました。そうか……確かにキューピーに似てますね、あの可愛い目は!!そう言えば、メイキングか何かで見た来日映像のポジョンは、ふわふわっとした髪型だったせいか、ドラマよりさらにキューピーに似てました。
ポジョンって、顔の形はソルォン似、目はミシル似ですねv

朗粧決意のアルチョンが綺麗かどうか、実はよくわかりません(笑) ただ、ああ言う派手な化粧をしてもカッコよかったので、役者さんの表情や仕草がやっぱりいいんだろうなーとときめいてましたw
アルチョンは見た目より、声とか立ち回りとか姿勢とかが素敵な気がする失礼なファンです。


追伸:コメント重複してませんでしたよー。大丈夫です!


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