善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

.

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --.--.--(--) _--:--:--
  2. スポンサー広告
  3. [ edit ]

SSS 真夏の夜の悪夢

シリアス&ダーク&トンマン×ピダム以外のカップルものを書き続けた為か、急に書きたくなりました。
トンマンとピダムが一緒に暮らし始めてから初めての夏のとある夜のお話です。ピダムが見た夢は、↓のチュンチュとトンマンのお話だと考えて頂ければ…と思います(笑)(↓のお話を読んでいなくても、大丈夫ですのでご心配なく!)


返信は次の記事にてさせて頂きますー。


****


 その夜は、寝苦しいほどに暑い暑い夜だった。

「ん……?」

 ただでさえ浅い眠りに不快感を募らせていたトンマンは、突如としてくっついてきた温かな……もとい、暑苦しい身体を無意識のうちに押し返した。
 ところが、相手もそう簡単にめげはしなかったようで、身体を捻った為か露になったトンマンのうなじに口づけを落とすと、やけに暗い声音で囁いた。

「……私が誰か、わかる?」

 その、とてつもなく馬鹿げた問いに答えるのも億劫で、トンマンはころんと転がって布団に突っ伏した。まだ彼女の体温で温まっていない部分は、ひんやりとしていて気持ちがいい。思わずうっとりして吐息を漏らすと、再び彼女の安眠を妨げる存在が近付いてきた。

「トンマン、起きてるだろ?」
「……もうすぐ眠れそうなんだ……」
「じゃあ寝る前に、私を見て」
「何……?」

 見ても何も、今日も一日、見飽きないのが不思議なくらいに見た顔だ。訳がわからないことを繰り返すピダムを案じるやら腹立たしく感じるやら、仕方ないとばかりにトンマンは振り返って、彼女をやけに真剣な眼差しで見つめるピダムを見上げた。

「どうしたんだ……?」
「……一つ、訊いておきたいんだけど」
「……明日じゃ駄目なのか」
「今がいい。…………ねぇ、私以外の男と一緒に寝たことある?」
「何?」

 一瞬、トンマンはピダムが馬鹿になったのではないかと本気で疑った。
 しかし、悲しいかな、ピダムの眼は正気のように見えた。……何せ夜のことである上に、ピダムの顔は陰になってよく見えなかったが、トンマンはそう信じたかった。

「あるに決まっているだろう」

 何を今さら、と呆れて背を向けようとすると、やたらと切羽詰まった様子でピダムがそれを引き止めた。

「誰と!?」
「……聞いてどうするんだ」
「それは勿論、そいつを殺――」

 殺してやる、と言い掛けたピダムを制して、トンマンは大きく嘆息した。

「私は郎徒だったんだ。男に化けていたのだから、男とごろ寝をするのは当たり前だろう?」

 気にしていたら埒が明かないとたしなめられたピダムは、ようやく自身の早合点に気付いたのか、明らかにホッとしたようだった。

「……また変な夢でも見たのか?」

 以前、ピダムがカルガモになった夢を見たと聞いた時は盛大に笑い飛ばしたトンマンだったが、あの後ピダムの逆襲にあったことも記憶に新しかったので、今度は慎重に訊ねた。
 ピダムは暫く沈黙した後に、土塊でも食べているかのように苦り切った顔をして答えた。

「トンマンと……」
「私と?」

 ――が、その後が続かない。
 徐々にトンマンも眠くなってきて、小さく欠伸をした。

「ピダム、言いたくないなら言わなくていい」

 それよりも、もう遅いのだから寝ようとトンマンが伸ばした手を握ると、ピダムは身体を屈めてトンマンと唇を合わせた。

「……ピダム?」
「…………」

 そうして暑さも忘れてトンマンをぎゅうっと抱きしめると、ピダムは目蓋を閉じた。

「……絶対に、トンマンより先には死なない」
「何?」

 一体何の夢を見たんだ、と不安そうに訊ねるトンマンを抱きしめる腕に力を込めて、ピダムは重々しく告げた。

「だって、もし私が先に死んだら、チュンチュがあなたを手込めにするかもしれないじゃない」
「…………。………………はあ?」
「あいつ、隙あらばそうしようとするに違いない」
「…………ちょっと待て、ピダム」
「弱っちい癖に、手だけは早いからな。気をつけないと……!」
「ピダム、落ち着け」
「落ち着いていられないって! トンマン、あなたはわかってないけど、男はケダモノだって言うし――」
「とりあえず落ち着け」

 言っても聞かないピダムの両頬を押さえて黙らせると、トンマンは眉を顰めた。

「まず、お前の感覚はともかく、常識的に見て私は孫がいてもおかしくない年齢で、女としての魅力が溢れる年齢じゃない。襲われて心配すべきなのは、貞操じゃなく金品だ」
「そんなこと――むぐっ!」
「それから、チュンチュ? ピダム、夢を見るにしてももっとまともな夢を見ろ。チュンチュは姉上の息子だぞ。有り得ない」
「……向こうは違うかもしれないじゃない」
「チュンチュが私を?」

 からから笑ってトンマンはピダムの頬をつねった。

「チュンチュにはムニやポヒがいる。おまけにチュンチュは女にモテるんだぞ。男勝りな叔母さんに色目を使う必要なんか、これっぽっちもないじゃないか」

 ピダムとしてはトンマンのその意見には大いに反論したかったが、確かな証拠は何もない。致し方なく黙っていると、トンマンが彼の腕の中で微睡み始めた。

「……もう、寝よう……ピダム……」

 そんなトンマンの背を撫でながら、ピダムは小さく溜め息を吐いた。

「…………トンマンと同じ夢が見られたら、いいのに」
「私の夢は……きっと、見てもつまらないぞ……」
「どうして?」
「だって……大概、ピダムと遊んでいる夢だから……」

 正確には「犬になった」ピダムとじゃれ合う夢だったが、そこのところは誤魔化して、トンマンはすやすやと眠り始めた。

「おやすみ」

 そしてピダムもまた、今度こそトンマンと仲良くしている夢が見られるよう祈りながら、眼を閉じた。

 ……しかし、残念ながらピダムの夢はまたしても彼の期待を裏切るのだった。



****

チュンチュ×トンマンのダークな話を書いた余韻で書いてみました。ピダムは(妄想タイプなので)嫌な夢を見ることが多そうですよね(笑)
関連記事
スポンサーサイト
  1. 2010.08.25(水) _04:24:23
  2. 隠居連載『蕾の開く頃』
  3.  コメント:0
  4. [ edit ]

<<8月23日と24日に頂いたコメントへの返信 | BLOG TOP | SS 片羽根の鳥(チュンチュ×トンマン)>>

comment


 管理者にだけ表示を許可する
 




PAGE
TOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。