善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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お題 06. 雨の休日の過ごし方

更新終了とか言いつつ、企画作品を書いてたら書きたくなったので更新です(笑)
この二人は楽しいなー♪(こら)


***


 しとしとと雨が降る。
 このような日ばかりは、諸方からの来訪もなく、一日は穏やかに過ぎていく。そう千尋が知ったのは、常世が豊穣の地として復興を遂げていく最中の事だった。
 雨が降れば野良仕事はお休みですよ、といつぞやどこかの村の者が言っていたが、まさか本当だとは中々に信じられなかったものだ。中つ国の軍に身を置いている時は、雨だろうが嵐だろうが、進むべき時には進む、と言うのが当たり前になっていたのだ。
 それは、室内での仕事が多い千尋にも少しばかり影響があり、今日、千尋はいつもよりずっと早くに自由な時間を手に入れて、私室でぼんやりと雨を眺めていた。

「よく降るな」

 その時。ふいに背後から声がかかり、千尋は窓の外に向けていた顔を上げた。

「お帰りなさい」
「ああ。この雨だ、今日はさほど捗らなかった」

 ふ、と一息つくと、アシュヴィンはくしゃりと髪を掴んだ。その髪が、僅かに水気を帯びている。
 慌てて千尋は乾いた布を手に取ると、アシュヴィンに駆け寄った。

「もしかして、外に出ていたの?」
「ああ。朝のうちは酷くはなかったからと出てみれば、この有様だ」
「じゃあ、外套も…」
「とっくにリブに剥ぎ取られた」

 濡れた物をいつまでも着ていては身体に悪い、と。
 恐らく本当はもっと丁寧にやんわりと、しかし有無を言わさぬ口調で言ったのだろうが、簡潔に話を纏めようとする癖のあるアシュヴィンは、わざわざリブの口真似をする事はない。
 千尋は頭の中でアシュヴィンとリブの様子を想像し、それがあまりに容易かった事が可笑しくなって、くすりと笑った。それを見て、アシュヴィンが不思議そうに片眉を上げる。

「なんだ、濡れ鼠の夫が面白いのか」

 心なしかぶすっとした雰囲気がその言葉に見え隠れしていて、千尋は慌てて首を横に振る。

「そんな事ないよ! ただ、アシュヴィンとリブの遣り取りがパッと浮かんだから、ついそれが可笑しくって…」
「可笑しい…ね」

 本当に機嫌を損ねてしまったのか、アシュヴィンは千尋から布を取り、自分で髪を拭き始める。自分で自分の身繕いはしない、と豪語する性格の割には、その動きは思ったより手馴れている。それは恐らく戦場になど、人手に余裕のない場所において人の手を借りる事を彼が拒んできたからなのだろうが、それでも少したどたどしいのは確かで、千尋は慌ててアシュヴィンの手に自身の手を重ねた。

「ごめんなさい、アシュヴィンの姿が変だとか、そんなこと本当に思ってないわ」
「………」

 懸命に伝えるものの、アシュヴィンは黙りこくって明後日を見たままだ。千尋はこのままではいけない、とさらに言葉を継いだ。

「だって、髪が濡れると真っ直ぐになってて、そんなアシュヴィンも本当にカッコイイし…」
「………」
「濡れてても濡れてなくても、アシュヴィンはカッコイイと思うし…その、私は好きよ」
「…くっ」

 ところが、これ以上どう言ったらいいのだろう、と千尋が困り果てた、まさにその時。それまで仏頂面だったアシュヴィンが突然思いっきり笑い出したものだから、千尋は今度は驚きに立ちすくむ事になった。

「はは、お前は本当に可愛らしいな」
「な…まさか、騙したの!?」
「騙したとは人聞きが悪い。笑われるのが気に食わないのは事実さ。だがその後に様子を見ていたら、随分と嬉しいお言葉が頂けたからな」

 奥方殿の愛情をたっぷりと感じられたぜ、とアシュヴィンは意地の悪い微笑みを浮かべる。それに千尋の頬は真っ赤になり、眉尻がきりきりとつり上がり…。

「アシュヴィンの馬鹿っ!! もう拭いてあげない!!」

 アシュヴィンは、またしても花嫁殿の機嫌を損ね、岩戸の前で問答することになるのだった。
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