FC2ブログ

善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

.

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --.--.--(--) _--:--:--
  2. スポンサー広告
  3. [ edit ]

SS 人呼んで(弁慶+牛若丸)

ゆめのうきはしをプレイしてから「遙か3の過去話書きたい病」にかかっています…!
とゆーわけで。

第一弾『人呼んで 荒法師』(※少し書き直しました)



***


何か特別な…あるいは崇高な目的があってしていたことじゃない。
平家によって世の趨勢が決したとは言え、その治世に不満のある者など溢れる程にいたし、不満の行き着く先など『力』に決まっている。よって、武具を売り払う事は、弁慶にとって最も安易に懐を潤す術であったし、また、武具を得る為に無法者達の挑戦を受けて彼らを退けるのはいい憂さ晴らしになった。
要は、弁慶の性に…『鬼若』と蔑まれ親に捨てられ、たらい回しにされる内に荒法師となっていたその性に合った生業であったのだ、それは。

「おまえが五条大橋の武芸者か!」

だからその夜も、背後から声をかけられても、彼は少しも驚かずに背丈よりもかなり大きい愛用の薙刀を振るっていた事だろう。
―――その声が、明らかに己より年少と思われる少年のそれでなければ。

「われこそは牛若丸!いざ、勝負!」

仁王立ちで叫ぶ少年は、どちらかと言うと華奢な体つきの弁慶よりもさらに一回り小さい。
恐らく、十を過ぎた辺りだろう。

「……ふうん?」

思わず、そんな声が弁慶の淡い唇から漏れ出ていた。

(『坊や』が出掛けるには、随分遅い時間なのだけれど…)

いや、こんな時間に五条の大橋に一人で来るぐらいだ。『坊や』などではなく、その辺の『小僧』かもしれない。
しかし、どこかこれまで出会った無法者達とは違うのではないか…と、弁慶は朧気ながら思った。
ちなみに何故朧気ながらであるかと言うと、それはこれまでに出会った無法者や葉武者の事などもはや弁慶の脳裏からは綺麗サッパリ拭われており、この牛若丸と名乗った少年と比較しよいにも出来るわけがないからだ。
それでも、敢えてどこが違うのかと言われれば。それは精々、彼がその少年に僅かでも興味を持った事だろうか。

一方、少年は弁慶の間の抜けた反応が気に食わなかったらしい。

「おまえ!名を名乗られたら名乗り返すのが武士の礼儀だ!」

先生も礼儀は重んじなさいとおっしゃっていた、と牛若丸少年が喚く。
……一体先生とは誰の事だとか、僕は武士じゃないんですが、とか。
言いたいことはあれこれとあったが、元より弁慶は他者と語らうのを好んだ事などない。
だから、彼は一瞬だけ皮肉っぽい笑みで唇を彩り、薙刀を構え、名乗った。

「僕は……武蔵坊弁慶と言います」
「べんけいか…っ!行くぞ!」

名前を知って安堵したのか、少年は先ほどまで肩を震わせて怒っていた事も忘れて、身の丈に合わぬ立派な太刀を構え、駆けてくる。
その身が近付いてくるにつれ、目の悪い弁慶にも少年の凛とした面差しや着物の良さまでもが手にとるようにわかってきた。

(おや、これは…)

ただ、弁慶の視線を惹き付けたのは、少年の身なりの良さや燃えるような橙の髪ではなく、真っ直ぐな、どこまでも貫き通すような煌めきを持った眼差しだった。

(……何だかこっちの手の内まで全て見透かされてしまいそうな)

不思議な瞳だ。

(尤も…)

この僕の底の底までを見透かす事が出来る者なんて、誰もいないだろうけれど。

ふっと一瞬だけ笑むと、弁慶は存外腕の立つ少年の剣先に意識を集中した。




関連記事
スポンサーサイト
  1. 2009.02.11(水) _00:24:45
  2. SS<遙か3>
  3. [ edit ]




PAGE
TOP

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。