善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS 破鍋襲来・上

我が盟友殿と言いますか、りば様には、実は大変お世話になっておりまして!

ダーク連載番外編、葦原とかお風呂とか色々あった『SS 惑乱・下

と、

ソクプム退場記念に書いたダーク&ダークな話、『SS 朔の夜

実はこの二つのお話、管理人が一人で書いたものではありません。
管理人がざざっといつも通り勢いだけで書いたSSを、りば様が添削して下さり誤字まで直して下さり、それを受けて管理人が書き直し、またりば様に添削して頂く……そんなやり取りを繰り返して生まれたのが、この二作品です。
いつもよりハイクオリティなのは、そーゆーわけだったのです!!
りば様ありがとうございます。これからもまたお世話になります。迷宮シリーズで絶対りば様に見てもらおうと言うアイディアはすでにあります。ふぉっふぉっふぉっ(誰)

いやぁ、実は迷宮シリーズは話によっては凄く書くのが難しくて…どこまで表現するべきか、どう書いたら管理人の意図が伝わるかと悪戦苦闘する中、りば様と言う頼れる女房(え?)を見つけられて、ホッとしました!
迷宮シリーズ、今の『螺旋』が終わるか終わらないかと言うところで媚薬ネタを書こうかと考えているのですが、その時は再びお世話になるつもりでおります。ふぉっふぉっふぉ。


さて、このお話はそのりば様とのやり取りで盛り上がった『自棄酒トンマン』ネタです。
えーと、タイトルからもなんとなーくわかる通り、ギャグものですので、背後を気にすることなく(笑)、気楽にご覧下さい。


* *


 事の起こりは、なんてことはない、アルチョンの夫人が持参する菓子で舌が肥えたヒョンジョンのこの一言だった。

「うちって、毎日鶏肉料理だよねー。鶏肉料理ばっかって言うか、それしかないって言うか」

 無邪気な子供の一言は、まず毎日食事を作っている母を気まずさで凍らせ、続いてその母を溺愛する父を怒らせた。

「おいヒョンジョン、文句があるなら食うな。お前の分も、父さんがちゃんと全部食べてやる」

 ほら寄越せ、と大人気なく迫るピダムを、三人目の大人――アルチョンは止めに入った。

「子供の言うことに一々目くじらを立てるな。それに、事実だろう。たまに釣りに行った時には魚が出るが……」
「鶏肉の何が悪いって言うんだよ。栄養満点、身体に優しく、卵まで取れるんだぞ。こんなに身体にいい獣がいるか」
「まあ、それはその通りだが……」
「えー!? オレ、飽きたー」

 たまには違うもん食べたい、と能天気に騒ぎつつもガツガツと鶏肉を食い尽くしていくヒョンジョンに、遂にトンマンは項垂れた。

「……ごめん、ヒョンジョン。明日、他所ではどんな献立があるのか調べて――」
「っそこに直れヒョンジョン!!」
「なんだよ急にっ……いって! いてぇ!!」

 ところがトンマンの謝罪は、彼女の隣に座っていたピダムが立ち上がってヒョンジョンを叩いた為に、中途で止まった。

「何すんだクソジジイ!!」
「誰がクソジジイだこのクソガキがっ!! いいか、今すぐお母さんに謝れ! すぐに謝れ! もしお母さんが泣いたら、お前のことも泣くまで叩き回すぞ!!」

 ピダムの言う通り、確かにトンマンは泣きそうになっている……ように見えないこともなかった。が、勿論、泣いてはいない。父子の醜い争いを止めに行かないほどに、「飽きた」発言に落ち込んではいたが。

「落ち着け、父親が子供と同じように喚いてどうする」

 結局、アルチョンが仲裁した為になんとか場は収まったものの、トンマンは申し訳なさそうに、アルチョンと離れに向かうヒョンジョンに「ごめんね」と囁いた。

「確かに毎日毎日鶏肉料理ばかり……飽きて当然だ」
「でもさ、母さんが鶏肉料理出すのって、あのクソジ……」

 そこで、その「クソジジイ」がこちらを見ていることに気付いたヒョンジョンは、べーっと舌を出してから、よしよしと母親を撫でた。

「……父さんが、鶏肉バカだからだろ。だから母さんに文句言ったんじゃないよ」
「うん。でも……ごめんね、気付かなくて。気を付ける」
「じゃー明日は鶏肉じゃない!?」
「そうだな。ヒョンジョン、釣りに行ってきてくれるか?」
「うん!」

 やったあ、と抱きつくヒョンジョンをあやすと、トンマンは今度は息子に向かって唸っている夫へと振り返った。



「市に、評判の料理屋があるんだ。明日そこに行って、料理を教えてもらえないか頼んでみる」

 寝間で二人きりになると、トンマンは早速夫に我が子の為の決意を語った。……しかしその夫はと言うと、妻の身体を撫で回しながら、ブツブツと我が子への憤りを口にしている。

「いいよ、そんなの。大体あいつが贅沢なんだ。肉を好き放題食べられるのに、まだ不満があるなんて」
「……国仙は、肉食を禁じていたんだっけ?」
「ああ。だから私は隠れて食わなきゃならなかったし、バレた時はこっぴどく叱られて、容赦なく叩かれた。それに比べりゃ、ヒョンジョンは毎日毎日トンマンの手料理を食べてるってのに、何の文句があるって言うんだ」

 わがままな奴、と呟き、ピダムはトンマンの肌を貪り始めた。
 けれどもトンマンは、そんなピダムを引き剥がして、改めてその決意を語った。

「でも、せっかくだから習いに行ってくる。そこの料理屋は本当に美味しいし、店主もいい人なんだ。前にも簡単な献立を教えてもらったことがあるし……」
「……いい人?」
「うん。優しくて、そこの料理と同じくらい、私は店主も好きなんだ」

 その瞬間、ピダムの頭の中には、慎ましく料理を習うトンマンと、彼女を汚れた眼で舐め回すように見つめる男の姿が浮かんだ。

「な、ピダム。鶏肉料理も習ってくるから……」
「――私が行く」

 さらにはトンマンがその男に微笑みかける姿も鮮明に思い描いたピダムは、反射的にそう宣言していた。

「えっ? ピダム、お前は仕事があるだろう?」
「早めに切り上げるか、仕事の前に行ってくる。どこの料理屋?」
「アルチョン殿が好きな酒を売っている酒屋の向かいだけど……ピダム、お前が行かなくても私が……」
「トンマンは、一昨日風邪が治ったばかりだろ。まだ療養してた方がいいから、私が行く。トンマンに教えられるように、ちゃんと習ってくるから」

 ――そのついでに、人の妻に色目を使うそいつをシメてくる。……とは口にせずに、ピダムは風邪の為に触れずにいたトンマンの肌に思いっきり埋もれた。





 翌朝、早くに家を出たピダムは、早速件の料理屋を訪れた。ドンドンと戸を叩けば、中からは「まだ開店前だ!」と不機嫌そうな声が返ってくる。しかしピダムとて客ではない。構うことなく戸を開けて中に入った。

「おい、聞こえなかったのかい。まだ開店前だって言ったろう」
「私は客じゃない。料理を習いに来たんだ」
「はあ? 何馬鹿げたこと言ってんだい」

 ピダムがそう簡単に出ていくつもりがないとわかったのか、喋りながらも動かし続けていた包丁を止めると、店主は垂らしている布をくぐって店奥から現れた。

「おいおい、どこの酔っ払いだい……って、あんた、お医者様じゃないか。美人の奥方に首ったけって噂の」
「……あ、ああ」

 ピダムを見た店主が目を丸くしたように、ピダムもまた、店主を見て驚いていた。掠れている上に、野太さすら感じさせるだみ声からして、間違いなく男だろうと思っていたと言うのに、現れたのはなんと、ピダムより遥かに若い女だったのだ。

「なんだい、あたいが男だとでも思ってたのかい?」
「あ……ああ、そうだよ。妻の話からして、てっきり……男かと」
「ふうん。それで焼き餅こさえてここまで? 噂通りの奥方馬鹿ってわけかい」

 天井を仰いでからからと笑うと、その女店主は腕組みをしてピダムを覗き込んだ。

「で、お医者様。あんた、あたいに料理を習いたいんだって? 本気かい?」
「本気だ」
「おやまぁ。ああ、いるかい?」

 かかか、と笑いながら傍にあった酒を煽ると、女店主はピダムにも酒を勧めた。

「要らない。それより、教えるのかどうかハッキリしろよ」

 当初は男だと思い込んでいた為か、あるいは彼女があまりに彼の知る「女」と言う生き物とはかけ離れた態度を取る為か、いつの間にか砕けた口調で話をしていたピダムは、バリバリと頭を掻いて答えを待った。
 一方、女店主は暫し真顔で考え込んだ後、ふいに真面目な面持ちでピダムに訊ねた。

「あんた、お医者様なら当然、薬草の扱いは知ってるだろ?」
「ああ」
「じゃあ、交換条件だ。あたいに必要な薬草をあんたが用意して、その薬草について教えてくれるってんなら、タダで教えてやるよ。どうだい?」
「ああ、構わない」
「よし来た! じゃあ明日、もっと早い時間にここに来な。明日の献立はあんたが覚えたい料理にしてやるよ。何かご希望は?」
「鶏肉料理以外なら何でもいい」
「ふーん」

 ニヤニヤ笑いながらも、女店主は「任せときな」と頷いて、また店奥へ戻った。その、身体の線を強調するかのような挑発的な後ろ姿をぼーっと眺めた後、ピダムも店を出て診療所へ向かった。





 それから、ピダムは熱心にその料理屋に通うようになった。かの女店主とも気が合ったのか、厨房からは「この下手くそ!」と言う非常に遠慮のない女の罵声と、それでも食い下がる男とのやり取りが響くようになり、村で唯一の医師と繁盛店の女将と言う取り合わせの面白さもあって、二人の噂はたちまち村中に広まった。
 ……やがてその噂はトンマンの耳にも届いたが、トンマンは笑って聞き流した。
 確かにピダムは朝だけでなく夕刻もその料理屋に入り浸るようになって家にいる時間も減っていたし、ついでに言うと夜もご無沙汰になったが、早朝から家を出ているのだ、無理は禁物である。そう、無理は……。

「ピダム、そろそろ料理の腕も上がっただろう。もう私に料理を教えてくれてもいいんじゃないか?」

 トンマンは刺々しい笑顔でピダムの隣に座ると、もう眠ってしまいそうな夫に向かってひんやりとした声で囁いた。

「ふぁああ……ん……」

 ところがその夫はと言えば、欠伸をして生返事を寄越したきり、何も話そうとしない。思わずむかっ腹が立ったトンマンは、こっそりといつもより胸元を緩めてからピダムの隣に横になった。そのついでにピダムの胸に手を当てて、そっと寄り添ってもみる。

「ピダム、なぁ……」
「……んが……」
「…………」

 しかしピダムはそれに反応するどころか、よほど疲れているのか、すでに鼾を掻いて眠っていた。
 ――私の為だ。私の為に、忙しいのに、代わりに料理を習ってくれているんだ。
 そう自分に言い聞かせながらもどこか釈然としないトンマンは、ころりと寝返りを打ってピダムに背を向けた。……いつもなら、すぐにそれに気付いて彼女を抱き寄せるピダムがやっとトンマンへと手を伸ばしたのは、それからかなり経ってからだった。





 どこか気まずい夜からさらに数日が経った。ピダムの帰宅はどんどん遅くなる一方で、夫婦の会話も減るばかり。
 ……その現状に居ても立ってもいられなくなったトンマンは、ある日、ついに立ち上がった。

「違う、私はピダムを見に行くんじゃない。私は酒を買いに行くんだ、アルチョン殿の酒を……」

 ブツブツと呟きながら市へとやって来たトンマンは、道行く村人達が「奥方様だ」「本当だ、奥方だ」と好奇の視線を向けながら囁き合っていることには全く感づくことなく、コソコソと酒屋に入った。
 そしてそこで酒を注文しながら、ちらちらと料理屋の様子を窺った。時刻は昼前、店も開き、店先に置かれた卓の回りには客が集まって来ている。――その時。

「お医者様、そろそろ仕事の時間だろ! ほら、行った行った!!」
「わかってるって……! なあ、それよりあの鍋、そのままにしておいてくれよ。後で取りに来るから」
「わかったわかった。ったく、手のかかる男だよ、あんたって人は!」

 店の中から出てきた二人は、親しげに互いを小突き合っていた。その親密そうな様子を見た客達からは、お似合いだの、仲良しだのと野次が飛んでいる。最後に白い歯を見せて笑ったピダムは、向かいの店にいるトンマンになど見向きもせず、三度も店主の方を振り返ってから走り去った。

「…………」
「あ、あの、奥方様?」

 酒の注文も忘れてその様子を見ていたトンマンは、ふいに目眩を覚えた。
 ――そう。あの店は味の良さだけでなく、店主の豊かな姿態と、魅力的な人柄に惹かれて来る男も多いのだと、誰かが言っていなかったか……。

「お、奥方様……?」
「……ああ、何でもないの。注文はそれだけで…………いえ、待って」

 気付いた時には、トンマンは白魚のような指先をとある酒へと向けていた。

「それも貰います」

 ……二人で暮らし始めた頃、酔っ払ってピダムに襲いかかって以来、トンマンは酒を封印していた。もうあんな狂態は晒すまいと、誓っていた。けれど。

(……あんな姿を見て、素面でやってられるか!!)

 ボワッと嫉妬の炎を燃えたぎらせたトンマンは、酒屋の主が怯えていることにも気付かぬまま、酒瓶二本を抱えて家路についた。
 ――そうして、まずはアルチョン用にと離れに一本置いていった後、母屋に入り、どかっと胡座を掻いて酒を呷ったのだった。



* * *

トンマンが酔っ払い親父のようで申し訳ありません…!
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  1. 2010.11.20(土) _18:30:18
  2. 連載外伝~幸せ家族計画~
  3.  コメント:2
  4. [ edit ]

<<11月19日と20日に頂いたコメントへの返信 | BLOG TOP | SS 螺旋5>>

comment

うわあ、なにげに心臓に悪いっすww

  1. 2010/11/21(日) 00:48:01 
  2. URL 
  3. りば 
  4. [ 編集 ] 
1行目から自分の名前が・・!なんごとー!突然の発表に落ち着きをなくし、せめて「続きを読む」以降とか、あとがきで遠まわしにほのめかすとか、いっそ反転白字で!とかお願いしときゃよかった、て何を今更w

めめめ盟友・・いやーなんかもう、そうはおっしゃってもあれは緋翠様が書いた緋翠様の作品な訳で、私は横合いからごちゃごちゃ茶々を入れてただけです!それがクオリティあげたって事ではありませんので!ええ!

〉迷宮シリーズで絶対りば様に見てもらおうと言うアイディアはすでにあります。

わー。絶対て。なんか標的ロック・オン★されてるーwダークな人間性を見抜かれた上「うってつけの仕事あげる☆」てダークな部署に任命された心地ですvいえ別に権力闘争も乱も狙ってませんがね!あと結婚もwと言いつつもう既に女房化・・・!?

おお、店主ってあたい系(?)なんですねー。新鮮です!善徳って男はバリエーション豊かですが、女性はトンマンとミシルという二大個性派巨頭がいるんで、二人を霞ませないためか、後は割と貴族のお嬢様系統なんで。

酒瓶二つも自分でぶらさげてずんずん歩く奥方(てか元女王陛下)ってのもなかなかいないでしょうね。きっと誰にも声をかけさせないくらいの気迫を放ちつつ家路についたのでしょう・・・けど分かりやすく胸元緩めてまで(笑)寄り添ったのにあの夫に伝わらない異常事態では誰もトンマンを止められないww

そんな異常事態を招いてまでピダムが何やってるかはな~んとなく、あれかなって気もしますが(3度振り返ったのは鍋?とか)、言わないでおきますw

りば様へ

  1. 2010/11/21(日) 15:07:51 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
りば様、心臓病にお気をつけてw

ええと、今回、事前に予定していたわけではないんですが、SSを書き終えた後に「よし今だ!」とビビッと来まして…(え?) なんかこう、勢いのままにババーッと暴露してしまってすみませんー!

いやその、確かに私が書きはしたんですが、半分くらい直して頂いたではありませんか!茶々じゃないですよあれはー!間違いなく元のSSよりレベルアップしてます。ピカチュウがライチュウに…!(ん?)


〉なんか標的ロック・オン★されてるーw

ちょ、否定出来ないですww何せ私がダークなので…フハハハハ!(コラ)
と言うか、権力闘争や乱を起こさなくても、チュンチュのように、既成事実を盾に婚姻済みです☆(!?)


店主のキャラは悩んだのですが、スナックのママ風味を狙ってみました。「あたい」って私も新鮮です(笑)
ああ、確かに善徳女王って女性キャラクターのバリエーションあんましないですねー。可愛いお嬢か、肝っ玉お嬢か、て言う違いはありますが。てか、男がバリエーションありすぎなのかもしれませんw

酒瓶ぶら下げ嫉妬で怒るトンマンは、きっと翌日噂になるくらい怖かったんじゃないかなーと私も思います。「美男美女夫婦の危機か!?」「(アルチョンのことを勘違いして)W不倫か!?」みたいな(笑)
あの夫がトンマンのベタすぎる色仕掛けに気付かないのは異常ですね、確かに!と言うか、自分で書いといてなんですが、トンマンの色仕掛けが少年誌的ノリ過ぎる気がしてきましたw…女王様の正しい色仕掛けってどんな感じなんですかねー?(聞くな)

そうですね、ピダムはわりと予想通りな奴なので(笑)、どっか他のところで意表を突けるよう知恵を搾ります!(そんなとこで!?)

……なんと言うか、とりあえず怒涛の更新意欲が収まった為かプチスランプ到来の予感もありまして。また変な話を更新してたらすみませんw


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