善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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『第一美花郎比才』第参話 公主の義務

シニア部門……をやろうかと考えてはいるのですが、シニア参戦のあらすじが浮かばない!と苦悩しております。困った困った(軽っ)

そして、イケメン選手権と言うよりお祭りに重点を置いていて申し訳ないですorz
正しいイケメン選手権をお求めの方は、是非ともすーさん様のブログをご覧下さい…!


* * *


 ユシンもピダムも参加を承諾した。アルチョンは元より、ウォルヤも参加することになった。ヨンチュンの話によれば、イムジョンも参加すると言う。
 ――ひとまずはこれで大丈夫だ!
 すっかり安堵していたトンマンは、ピダムが参加を決めた翌日、とんでもない依頼を仁康殿で受ける破目に陥っていた。

「昨年はチョンミョン公主様がお亡くなりになって間もないと言うこともあり、嘉俳の祭も質素に執り行いました。ですが、今年はすでに比才が行われることも決まりました。であるならば、例年通り、公主様に歌舞をご披露頂くべきかと存じます」

 セジョン、ハジョン、ミセンを引き連れ仁康殿に現れたミシルは、王と公主を前にして滔々と語った。

「歌舞……?」

 対して、これまで男装をしていた為に『女の祭』である嘉俳のことは全く知らないトンマンは、耳慣れない言葉にポカンとしていた。

「はい、公主様。嘉俳での勝者を決めた後は、敗者が勝者に歌舞や酒色を捧げ、さらにその後は夜を明かして皆で楽しみます。公主様には、敗者の捧げ物が終わった後、両者を慰撫する為に舞って頂くのです」
「…………」
「だが璽主、トンマンは……」
「陛下、公主様はこれまで皇室の年中行事に参列なさるのみでしたが、そろそろご参加頂かなくては。歌舞ならば、畏れながら、徐羅伐一の腕前と謳われる礼部令が御指南申し上げます」
「陛下、公主様、お任せ下さい。一月後には、公主様は天女と見間違うほどお美しく舞われるでしょう。エーッヘッヘッへ!」
「……」

 確かに、トンマンは公主となってからのこの二年弱、本来ならば公主が捧げるべき歌舞は全てやらずに来た。勿論、トンマンがせずとも花郎が代役をしても問題がないからこそそうしてきたのだが、今回ばかりは花郎に代わってもらうわけにはいかない。嘉俳は女の祭だ。……しかし困ったことに、踊れない花郎ユシンの郎徒だったトンマンは、歌舞とは無縁だった。かじったことすらなかった。
 冷や汗を掻き始めたトンマンを煽るように、今度はセジョンが口火を切った。

「いや、璽主、こうしてはどうか。嘉俳の日には比才をやるのだ。美を競う比才なのだから、その比才の締め括りに花郎の主たる公主様に舞って頂くと言うのは」
「!」
「おお、さすが父上……上大等です! 陛下、是非そうしましょう。花郎達も女達も、皆喜びますよ!! アハハハハ!」
「ええ、陛下! このように規模の大きい祭は久方ぶりです。チョンミョン公主様を悼み、悲しみに暮れている民も喜ぶに違いありません」

 どんどん大きくなる話にトンマンが待ったをかける前に、ハジョンとミセンが盛り上がると、トンマンの隣にいたヨンチュン、ソヒョンもそわそわとし始めた。彼らも、貴族の男が一度は花郎になるように、公主たるもの一度くらいは嘉俳で舞っておくべきだと考えたのかもしれない。
 トンマン自身、チョンミョンの代わりになると決めた時から、知らないものは学び、出来ないことは出来るようになろうと決意はしていた。しかし、まさかこんなことまで公主の務めだとは思ってもいなかった。

「……ミセン公に教えを乞い、精一杯努めます」

 結局、それも公主の務めと言われては逆らえるわけもなく、トンマンはそれから毎日ミセンの教えを受けることが決定した。



「あ、公主様! 待って下さ……どうしたんですか? 公主様、顔色が悪いです」
「ピダム……」

 よろよろと仁康殿から出たところでピダムと鉢合わせると、トンマンはまるで三日は眠らなかったかのように疲れ果てた姿で公主宮へと歩き始めた。

「公主様、あの、今日は鏡を見せてくれるんでしょう? それも、とびきり大きいやつを!」
「……ああ。私の寝室にあるから、そこで見せてやる」
「…………公主様の、寝室……」

 歌舞のことで頭が一杯になっているトンマンは気付いていなかったが、普段、ピダム達花郎が入るのはトンマンの執務室だった。寝室は、そう簡単に入れてもらえるものではない。ピダムもこれが初めてだ。
 おかげでピダムは一人ご機嫌でトンマンについて行っていたが、いざ鏡を前にしたところで、へらへら笑っていた顔は一気に落胆へと変わった。

「公主様、私に助言をしてくれるって約束したじゃありませんか!」
「ああ。でも、明日から私も歌舞の稽古をしなければならなくなったから……時間がないんだ。ピダム、すまないが、助言は他の者では駄目か? なんなら侍女達に頼んで――」
「いいです。公主様じゃないなら、助言なんか要りません!」
「ピダム……」

 そのまま「やっぱり比才なんて出ません!」と言い出しそうなピダムの様子を見て、トンマンは内心焦った。
 実は今回の比才を思いついた時、侍女達に誰が優勝すると思うか訊ねたところ、半数近くがピダムを挙げたのだ。トンマン本人はピダムが色男に見えたことはなかったが、宮中に慣れた侍女が言うならそうに違いない。

「ピダム、でも、私に協力してくれるんだろう?」
「……協力します。ちゃんと、稼ぎます」
「そうか、良かった。ありがとうピダム」

 安心したのか、ふわりとトンマンが微笑んだ為に、ピダムはそれ以上トンマンを責めることが出来なかった。心の中では「私の面倒を見てくれると約束したのに」とまだ不満が残っていたが、ただでさえ多忙なトンマンをこれ以上睡眠不足にするわけにはいかない。
 落ち込みながらも最初で最後の助言を受けてから公主宮を出たピダムは、一目散に『愛弟子』を捜しに行った。

* *

 トンマンの想像より遥かにミセンは舞の上手であるらしい。おまけに最初の稽古には、どう言うわけだか、珍しく鎧ではなく華やかな装束を纏ったソルォンまでもがいた。

「宜しいですか、公主様。僭越ながら、公主様は未だ歩く度に裳の裾を踏んでおられますな」

 まさかそんなところを見られているとは思わなかったトンマンはさすがに少しだけ羞恥を感じはしたものの、ミセンとソルォンの前とあっては赤くなれるわけもない。

「簡潔に申しますと、目の肥えた女達が見るに堪える舞を公主様が一月で会得するのは、不可能と言っていいでしょう」
「……では、どうするのですか」
「答えは一つ。女の舞を舞わなければ宜しい」
「……?」

 ミセンの言っていることがわからないのか、眉を寄せたトンマンに嘆息すると、ミセンは軽やかに袖を払ってソルォンに合図した。
 それを受けたソルォンが、すらりと剣を抜き放つ。咄嗟に身構えたトンマンに素早く近づくと、ミセンは自慢の扇を揺らしながら高らかに笑った。

「今では兵部令もすっかり見せてくれなくなりましたが、花郎であった頃、兵部令と私の姉が見せる剣舞は真興大帝のお気に入りでした。よく私も琴を合わせたものです」
「……」
「ご覧下さい、公主様。此度は一人舞ですが、それでもこれ以上のものはそう望めませんよ」

 ソルォンの舞は、花郎達のそれとは違ってあまり跳躍しないもので、確かにトンマンでも覚えられそうなものだった。けれども動きの穏やかさとは裏腹に、長い袖と裾を羽のように翻す様は、今まさに羽ばたかんとする鳥の雄大さを感じさせる。羽ばたかんとする鳥――神国を思わせる、雄壮な舞だった。
 やがて舞を終えたソルォンが最後に剣を鞘に仕舞うまで、トンマンは食い入るように見つめていた。

「如何です、公主様」

 舞を終えたソルォンは一礼するとその場を去ったが、残されたミセンは、興奮からか、若干紅潮しているトンマンの横顔を見て確信した。――これで、少なくともこれから一月、トンマンは舞に夢中になる。
 そして案の定、一つ覚えれば、あとは何回でも同じ舞を舞えばいいのだと考えたトンマンは、ミセンと熱心に舞の稽古をするようになった。

* *


 それから半月余りが経った。
 嘉俳での勝負の為に眦が上がっていく女達に対し、ひたすら美容に気を使うようになった花郎達は、何か勘違いをしているらしくひたすら筋力増強に励んでいるごく一部を除いて肌も髪も美しく変わりつつある。聞くところによれば、各々、母や姉妹の美容化粧品を拝借しているとのことだった。
 さて、ユシンやアルチョンまでもが肌の肌理を良くしている中、彼らの主たるトンマンの目の下には大きな隈が出来ていた。
 理由は単純で、物腰柔らかな割には手厳しい師匠ミセンに日々ダメ出しをされた為に、夜なべして練習を重ねているのだ。あまりの根の詰めようにアルチョンが休むよう進言しても、負けず嫌いな性が物を言ってか、練習時間は増える一方、睡眠時間は減る一方である。

(こうして……こうして……こう!)

 と言うわけで、その夜もトンマンは一人、月もない夜であるにも関わらず、公主宮の庭園で舞っていた。
 その様子を眺めているのは、本日の護衛係であるピダムだ。邪魔にならないように影に身を潜めるようにしながら、ピダムは熱心に練習を続けるトンマンをじっと見つめていた。
 そしてその鼓動は、一つに結った髪が流れ、袖が捲れる度にドキッと高鳴った。
 可憐な容姿の割に豪快なトンマンの舞は、美しいと言うよりは、ひたすらに勇ましい。その為か、大きく動く度に袖も裾も風を孕んだようにはためき、うっすらと汗ばんだ肌が闇の中で仄かに光るのだ。
 さらに、型を決める時にトンマンが見せる眼もピダムを惹き付けた。日食の一件で、彼を騙す時にトンマンが見せた不敵な眼。ピダムはトンマンのその眼が大好きだった。ただ守られるだけではない、油断をすればいつの間にかこちらが喰われてしまう――そう感じさせてくれるその眼に惹かれて、彼女について行ったのだ。

「ピダム?」

 その時、休憩を取ることにしたのか、ふいに動きを止めたトンマンが彼を呼んだ。
 ボーッと見とれていたピダムは慌てて駆け寄ると、トンマンに水と布巾を渡した。これも、ピダムが自ら志願したことだ。

「ありがとう」

 二人きりでいる為か、トンマンはざっくばらんな様子でその場に胡座を掻いて座り込み、水筒を傾けた。ほつれた髪が鬱陶しいのか、片手でかき上げる仕草は郎徒時代のものだろう。
 勿論ピダムは男らしいトンマンも好きだったが、なんだかせっかく二人きりでいるのに勿体無い気がして、少しばかり悪戯を仕掛けた。

「あ! 公主様、蛇がそこに!!」
「えっ?」

 ところが、「きゃあ!」と可愛い悲鳴を上げて飛び上がるだろうと言うピダムの予想を大いに裏切って、トンマンは傍にあった松明を引っ掴むと、キョロキョロと辺りを見回した。

「え? ピダム、どこだ? どれくらいのやつだった?」
「……」

 あれ、とピダムが予想外の展開に固まっている前で、トンマンは「ちえっ」と舌まで打った。

「なんだ、逃げたらしいな。久し振りに捕まえられるかと思ったのに……。あ、ピダム、まだ蛇は高く売れるのか?」
「……種類によります」
「そうか。じゃあ、次に見つけた時にはちゃんと捕まえないとな」

 ……色々言いたいことはあったが、取り敢えず「お小遣いの足しになるだろう」とはしゃぐトンマンが可愛かったので、ピダムはへらへら笑って頷いた。

「はい、公主様」

 ただ、やはりそれだけでは物足りなくもなって、ピダムは未だ蛇を探しているらしい彼女にぴょこっと話し掛けた。

「公主様」
「ん?」
「私は、公主様の剣舞、好きです」
「!」

 これまで、叱られることはあっても剣舞について誉められることはなかったトンマンは、弾かれたように振り返った。ピダムは、照れ臭いのか、白い歯を見せてへへっと笑っている。

「ひらひらきらきらしてて、好きです。だから、比才は面倒ですが、比才の日が楽しみです」

 辿々しい称賛だったが、今のトンマンにはそれで十分だった。美しさとは程遠くても、疲れきっていても、頑張ろうと思える。それだけで、疲労の蓄積した身体が軽くなった。

「ありがとう、ピダム」

 松明に照らされているせいもあってか、先程よりもさらに輝くような笑顔を浮かべて、トンマンはピダムを見た。



* *

次はやっと比才当日です。
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  1. 2010.12.02(木) _21:05:57
  2. 中篇『第一美花郎比才』
  3.  コメント:2
  4. [ edit ]

<<SS 太一 | BLOG TOP | 11月29日と30日に頂いたコメントへの返信>>

comment

プロフィールの上の写真がハートマークトンマンにv

  1. 2010/12/03(金) 00:36:08 
  2. URL 
  3. りば 
  4. [ 編集 ] 
てか小さいとハートマークって分からんですね。さて楽しくてたまらんですー!商魂炸裂しまくってるトンマンが・・・!蛇エピソードも懐かしや。そして勇ましいトンマン剣舞、ここで早速見れるとはv当日の衣装髪型なども詳しい描写をぜひともお願いしたいものですw王女と正式に認められた時みたいな感じのなのか、いやお祭りだからもそっと華やかなのでしょうかv

一人シリアスな空気しょってるユシンも、一人で真面目にシリアスしてるからこそ、可笑しい。(←酷)でもこんな風にまだまだ未練、だったら乱の時に想い人とか言い出すのも納得です。あとハジョンが出てくるのが嬉しいですv主な任務はやっぱりにぎやかしらしいですが。

しかしトンマン剣舞の練習を終えたらピダムが水とタオル(違)を渡しに走るとか、まるで部活の先輩後輩ノリですけど、さわやかでほっとしますわー。ドラマのトン×ピには、只今憶測に疲れ気味(笑)なのでー。しかしこんな夜をトンマンとピダムが過ごしている間、ユシンはきゅうりパックをしてたりするんだろーか、と思うとまた笑わずにいられません。許せユシン。

そして一番笑わせてもろたのは

〉何か勘違いをしているらしくひたすら筋力増強に励んでいるごく一部

でした!ガイドブックの下巻の花郎ページの表紙も、なにこのムキムキテカテカ写真・・・てちょっとひいたので。いるだろうなマッスル鍛えてる人、て妙に納得ですw

しかし美しさを決める比才って、どういう風にやるのか想像つかんので楽しみです。まさかランウェイを練り歩く訳でもありますまいし。ミシルプロデュースのテナムボとか愛弟子プロデュースのピダムとか、本人困惑気味なのにプロデューサーのアクというか負けじ魂とか負ける訳がないだろう?この私が魂(長い)が強そうで、どうなるんだかひじょーに楽しみですv

りば様へ

  1. 2010/12/03(金) 23:00:50 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
いやいや、ハートマークわかりますよv 他の方にも「トンマンの写真可愛いですね!」って言ってもらえましたし。(*´∀`*)てへ。(何)

今回はピダムよりも公主トンマンの苦難(?)と言うか、「お姫様も大変ね…」みたいなところが書ければなーと。実は最初は蛇ネタはなしで、いきなりピダムが誉めてたんですが、気持ち悪かったので(笑)、最初にちょっかい出して…てな形にしてみました。
剣舞は、当日は美しく化粧もして、派手に着飾ってもらう予定なので、バッチリ描写したいです!出来れば着せ替え人形で似たような格好はさせたいなーとも考えておりますー。

> 一人シリアスな空気しょってるユシンも、一人で真面目にシリアスしてるからこそ、可笑しい。
www でもユシンってどんな時でも一人シリアスなとこが魅力だと信じております!(え?)
ハジョンは仁康殿の会議には欠かせんなーと言う訳で一言だけ登場してもらいました。出来るだけドラマと同じ雰囲気で喋らせたいのですが、あの口調を再現するのが案外難しいですw

トン&ピって、公主時代も最後以外はわりと最初の悪友的雰囲気が残ってるんじゃないかなと。お互い悪巧み…じゃない、策略を練って、で、ユシン&アルチョンが渋い顔する中、二人でニヤッとしてると言うか。そんな感じで、爽やかに友達以上恋人未満な路線を突っ走りたいです。

> ユシンはきゅうりパック
してると思いますwwアルチョンもwww

> 〉何か勘違いをしているらしくひたすら筋力増強に励んでいるごく一部
これ、私も「何こいつらwww」と笑ってドン引きしたタイプなので、「キャー肉体美!」となる人もいるだろうなあと思いつつも、「美=筋肉」は明らかにおかしいだろ、てなわけでギャグネタにしてしまいました。

比才は……あんましネタバレするのも何なので出来るだけ秘密にしておきます……が、新羅らしく、(別に映像化するわけでもないのでw)派手に描きたいです。投票方法とかも、女の祭らしくしたいなあと。
テナムボとピダムは、本人はボーゼンとしている間に周りが物凄く飾り立てて、争ってくれると思います、私も(笑) ユシンアルチョンその他皆頑張れーと生ぬるく応援しておきますw


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