善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

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SS 軋みゆく古時計

善徳女王BS版も、いよいよ明後日最終回を迎えますね…(;Д;)

と言うわけで、最終回特集をすることにしました!

テーマは、『kntv版で最終回を見た直後に書いたSSを手直ししたもの』です。
…平たく言うと、アナザーエンディング(BAD ENDのみ)です。『SS 太一』よりもイタイ話の可能性が高いので、ご覧になる際は十分にご注意下さい。

10_somsatang94.jpg
第一弾は、プロローグと言うことで、60話の、久しぶりに剣を取り出してやる気に溢れているピダムです。
この話はほぼドラマの通りですが、第二弾の前編に近いので、掲載します。


* *


 始末をつけなければならない。誰の手を借りるでもなく、己一人の力で、全ての始末を。ただ黙って推火郡に引き籠って待つことなど、どうして出来る。
 ……そう、それが己のやり方だった。
 これまではトンマンの命令に従ってやってきたが、それだけではどうしようもない今、ピダムは“彼らしく”全てを終わらせようと決意した。

(……あの時に犯した間違いを、正す)

 久方振りに抜きはらった剣には、一点の曇りもない。もう使うこともないと仕舞っておきながら、ピダムが日々この剣の手入れを欠かさなかったからだ。
 指先で弄ぶように剣を回すと、不思議なことに身体中の血が滾った。
 暫く味わっていなかった、あの恐怖と畏敬を向けられる瞬間の興奮が蘇り、ピダムの表情を“獣”のそれへと変えていく。

(…………全て、殺してやる)

 トンマンの王位を揺るがす者。トンマンと己の未来を揺るがす者。
 ――その全てを、一人残さず殺してやる。
 そうすれば、邪魔者はいなくなる。チュンチュとて、再びピダムに恐れをなし、手を出そうとはしなくなるだろう。
 恐怖。そう、恐怖。大事なのは、恐怖で相手を縛ること。
 それをピダムは忘れていた。殺生を嫌うトンマンの為に彼女のやり方を真似て、己の道を見失っていた。
 逆らう者は殺す。己のものに手を伸ばした者は殺す。己を妨げる者は……殺す。
 ずっとそうやって、生きてきた。
 それこそが生き残る術なのだと信じて、生きてきた。
 腹立たしいし憎いが、チュンチュは殺せない。トンマンが悲しむから、殺せない。
 だがヨムジョン、ミセン、チュジン、貴族達……彼らは生きていてもトンマンの妨げになるだけだ。彼女を追い詰め、病魔すらも呼び込む。

『……大丈夫。大丈夫だ』

 あの時、トンマンは不意に苦しそうに胸を押さえた。けれどそれ以前から彼女は言っていたではないか。「動悸がして眠れない」「これは幼い頃の動悸とは違う」と。
 ――もしかしたら。
 もしかしたら、彼女にはもうそんなに時間が残されていないのか。……ピダムとの未来を築く時間すら、ろくろくないのか。
 咄嗟に浮かんだ未来はあまりに恐ろしくて、それを打ち払うようにピダムは首を左右に振った。

(違う。違う、違う。そんなことは……そんなことはない。彼女はまだ、まだ……死んだりしない)

 例え病に罹っているとしても、きっとこの乱が収まったら彼女は健康を取り戻す。
 そう、ピダムが決して死なせるものか。きっと……きっと、二人の未来を阻む者を全て殺せば、彼女も元通りの彼女に戻る。そうして、ずっと彼女はピダムの側にいてくれるのだ。

『陛下の心が本当にお前にあると思っているのか』

 チュンチュは間違っている。彼女がどれほど美しい涙を浮かべて「お前が必要だ」とピダムに言ってくれたか、それを知らない。だからあんな勝手なことが言えるのだ。
 彼女の姉を、義母を死に追いやったミシルの息子だから? だから彼女はピダムを信用しない? 本気で愛したりは……しない?
 ――そんなことはない。
 ピダムがミシルの息子だと告白した時でさえ、彼女は優しくピダムを抱きしめてくれた。捨てられることがどれほどに辛いことか、彼女だけが理解し、ピダムを愛してくれているのだ。
 ……だから、ピダムは彼女の為に殺さなければならない。この不安を、恐怖を、全てを消し去る為に殺さなければならない。

(殺してやる。全て……全てを殺してやる!)

 焔のような決意と共に、ピダムは剣を鞘へと戻した。
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  1. 2011.01.25(火) _21:45:52
  2. SS(ドラマ準拠)
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