善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS 夢を見てみたんだ

ふと、トン&ピに娘がいたらどーなんだろーなーと言うわけで妄想してみました。ピダムが。(え)

お返事は次の記事にて!!
オマケにもたくさんの拍手を下さりありがとうございますv


* *


「双、子……?」
「はい、ピダム公。恐らく、奥方様は双子を懐妊なさっておられます」

 それは、トンマンとピダムの『二番目の子』が順調に母の身体で育っていたとある春のこと。まさかの宣告を聞いたピダムは、呆然としたままトンマンと娘のインミョンが待つ部屋へ戻った。

「おとーさん! あのね、おとーとだとおもーの!」

 ピダムが部屋に入った途端、三歳になったインミョンはピダムに駆け寄って主張した。近頃の彼女は、毎日トンマンの腹に耳をつけては、やれ妹だ、弟だと騒ぐのが日課になっているのだ。

「ピダム、どうした? また何か注意されたのか?」

 一方、妊娠も二回目とあって落ち着いているトンマンは、インミョンの時よりも激しい悪阻や貧血に苦しみはしているものの、にっこり笑ってピダムに声を掛けた。
 そんなトンマンを見下ろしてピダムも微笑むと、若干顔を強張らせながらトンマンの隣に座った。

「それが……」

 すぐに膝の上に乗っかるインミョンの頭を撫でること二回、やっと落ち着きを取り戻したピダムは、ゆっくりと二人に告げた。

「それが……どうやら、双子らしいんだ」



 それから半年が経ち、生まれたのは双子の男の子だった。
 インミョンの時とは比べ物にならないほどの難産で、一時はトンマンが失神と陣痛を繰り返した為にピダムは錯乱しかけたが、インミョンがいるおかげで、彼もなんとか正気を保った。
 苦難を経て産まれた二人は、身体の大きさこそはインミョンより小さかったが、大人しかったインミョンとは異なり、貪るように乳を飲み、天井を切り裂かんばかりの勢いで泣いた。さすがのトンマンも乳母を考えるほど、彼らは手強い赤子達だった。

「でも、二人で遊んでくれるから、そこは楽だな」

 朝の一大事である二人同時授乳を終えたトンマンは、インミョンが弟達の絵を描いている隣で台帳に二人の排泄について記録しながら、おむつを洗っているピダムに話し掛けた。

「泣く時は二人いっぺんだから物凄いけどね」
「でも、眠っている時は可愛いじゃない。ね、インミョン」
「うん」

 トンマンの呼び掛けに生返事しか返さないインミョンは、筆でぐりぐりと円を描いている。そこに幾つか点を足して、じーっと見比べた後、インミョンは満足げに絵をトンマンに見せた。

「おかーさん、にてる?」

 そこに描かれているのは、楕円が二つで、その楕円に顔があり、端からはちっちゃな手足が生えている。どうやら、弟達の肖像画のようだ。
 しかし、大雑把な絵の割には、切れ長の目と丸い目が描き分けられていて、トンマンは嬉しそうに微笑んだ。

「うん、そっくりだ」
「やったあ! あのね、インミョンね、ヒョンジョンとトンジョンがおきたら、だっこするの」
「インミョンが?」
「うん。トファおねーちゃんみたいにだっこするの」

 インミョンは三歳の娘としては大きい方だったが、それでも、赤子を抱けるほどの大きさも力もない。特に、まだ首の据わってない弟達を抱き上げるのは無理と言って間違いないだろう。しかし、両親の真似をして弟達の世話を焼くのが大好きなインミョンは、毎日毎日今日は弟達を抱っこするのだと言って聞かなかった。
 そして、毎日毎日それを聞く度に顔中に雪崩を起こしている父もいた。

「インミョン、まだインミョンは抱っこされる方でいいんだよ」

 おむつの洗濯を終えたピダムは、インミョンを抱きしめて頬擦りした。父親をこよなく慕っているインミョンも、紅葉のような手をピダムへと伸ばして抱きついている。息子達も目の中に入れても痛くないほどに可愛かったが、インミョンへの愛は、ピダム曰く、鶏へのそれを遥かに超えているらしかった。
 ちなみにその時、なんとなく腹の内がもやもやとしたトンマンが「じゃあ私はどうだ?」と訊ねてみたところ、返ってきた返事は一つだった。曰く、「インミョンと鶏を合わせたら、トンマン」と。
 それを聞いたトンマンの胸中は嬉しいような嬉しくないような不可思議な状態になったものだったが、今となってはそれもピダムだ、と落ち着いて受け止められるようになっている。

(……そのうち、インミョンがこの家を治めるようになるんだろうなあ)

 弟は姉に付き従うと言うし、父親は娘に弱いと言う。ならば、きっと近い将来、インミョンはこの家の王になるのだろう。どこか亡き姉に似て、しっかり者のインミョンを見ていると、トンマンは頓にそう思った。

「トンマン、どうしたの?」
「ん。いや、何でもない」

 インミョンだけでは物足りなくなったのか、両手に花とばかりにトンマンをも抱き寄せようとするピダムの手をすり抜けて背筋を伸ばすと、トンマンはふああ、と欠伸を噛み殺した。


* *


「ぐっ!!」

 ドスッと鳩尾に入ったのは、目覚めの一発。
 今日も今日とて寝相の悪いヒョンジョンに蹴飛ばされて甘い夢から覚醒したピダムは、まだ闇も深い中、ぼんやりと息子を見て、いつもならその隣に眠っているはずのトンマンがいないことに気付いて首を傾げた。……気配には敏いはずだったが、母親となってからのトンマンには時折出し抜かれることがある。

「トンマン……?」

 寝た子を起こさないよう恐る恐る身体を起こすと、ピダムは家の中を見て回った。やっと見つけた先には、蝋燭が一つ、灯りを点している。

「トンマン」
「あ、ピダム。おはよう」

 彼に応じてくるりと振り返ったトンマンは、慣れた手つきでガシガシとおむつを洗っていた。どうやら、夜中の授乳の際におむつも替えたらしい。
 日々逞しくなる母トンマンは、交代しようと横から出された手をパシッと払い除けると、仕上げとばかりにもう一度ゴシゴシ擦ってからおむつを広げた。

「よし、綺麗になったな。あ、ピダム、干しておいてくれ」
「……うん」

 出来るだけトンマンに家事はさせない、出来るだけ大人しく、静かな生活を、と思っていても、ピダムの張り巡らす網をすり抜けて、トンマンはいつの間にか動き回っている。……それこそ、足枷でもつけておかない限り思いのままにならないだろう妻を見て、ピダムはその華奢な後姿をぎゅっと抱きしめた。

「どうした? ピダム」
「……いや……」

 ああ、トンマンにそっくりな可愛い娘がいたら、それこそいつもこうして抱きしめて離さないのに、と夢を引き摺って寡黙になっているピダムを不審に思ったのか、トンマンは水を使って冷えた手をぴたっとピダムの腕にくっつけた。
 その冷たさに我に返ったピダムは、慌ててトンマンの手を取ると、ぎゅっとその手を握って自分の首へと当てた。

「凄く冷えてるじゃないか。だから、やるって言ったのに……!」
「だって、よく眠ってたから」
「それでも起こして。風邪でもひいたら大変だ」

 冷たい手が僅かに温まったことを確認すると、ピダムはトンマンを寝台へと引っ張った。今度はヒョンジョンを壁際に、その隣にトンマンを寝かせる。ピダム自身は端っこに横になると、自分の夜着の袷を緩めてそこにトンマンを抱き込んだ。ひんやりとした感触が胸に当たったが、構わなかった。それよりも、こんな風になるまで気付かなかったことが悔やまれる。

「風邪をひくぞ、ピダム」
「ひかない。それより、ちゃんとくっついて。そうしないと温まらないから」
「……なんだか悪いな」

 それでも、トンマンはぴったりとピダムに寄り添った。体温の高いピダムに包み込まれるうちに、冷えた身体も再び温まっていく。それを感じながら、ふとピダムは呟いた。

「……トンマン。今はトンマンも、抱っこされる方でいいんだ」

 ――どうせ、ヒョンジョンが起きたら、抱っこする方になるんだから。
 その言葉にトンマンは一瞬きょとんとした後、小さく吹きだしてから、優しい夫へのご褒美を贈った。
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  1. 2010.12.16(木) _00:41:43
  2. 連載外伝~幸せ家族計画~
  3.  コメント:4
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<<12月13日から15日に頂いたコメントへの返信 | BLOG TOP | リレー連載『偽りが変化(か)わるとき ~砂漠編』  by 緋翠>>

comment

管理人のみ閲覧できます

  1. 2010/12/16(木) 15:11:56 
  2.  
  3.  
  4. [ 編集 ] 
このコメントは管理人のみ閲覧できます

UNA様へ

  1. 2010/12/16(木) 23:31:14 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
UNA様はじめまして、管理人の緋翠と申します!
アドレスが携帯のアドレスでしたので、こちらから返信させて頂きますー。

ピダムの妄想(コラ)、楽しんで頂けて良かったですv ヒョンジョンの妹…と言うのは、残念ながら私の妄想中枢を刺激しないので、難しいかと……(滝汗) あ、いやその、きっと妹が出来たらピダムはまた親馬鹿になるとは思うのですが、どうもネタが浮かばなくて。でも、他のシリーズなら出来るかもしれません。考えてみます!

  1. 2011/02/08(火) 02:15:10 
  2. URL 
  3. 那の 
  4. [ 編集 ] 
はじめまして。

 最近「善徳女王」の最終回を観まして、ピダムが切な過ぎて鬱になってました。
 こちらの二次創作を読ませていただいたら、ほっこりしてて思わず目から塩水が……。
 ステキな文章をありがとうございました。
 それでは失礼いたします。

那の様へ

  1. 2011/02/08(火) 23:09:37 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
那の様、はじめまして!管理人の緋翠と申します。

私も最終回ショックで二次創作を始めたクチです(笑)
少しでも那の様のショックが和らげば、こんなに嬉しいことはないですー……って、目から塩水!勿体無い…那の様、嬉しいメッセージをありがとうございます!
これからも地道に創作し続けていきたいです。頑張りますv


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