善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS 黎明@クリクリ様

なっ、なななんと、クリクリ様から三本もSSを頂いちゃいました!
これはあれですかね、遅れてやってきたバレンタインデー!? まさか、今さらになってモテモテ!?……と大変アホに興奮している管理人ですw
クリクリ様の許可を頂きましたので、三本連続で掲載させて頂きます!
(クリクリ様、もしこの記事をご覧になっておられましたら、ソファのお話のタイトルも教えて頂けると嬉しいですー!!)


では、まずは第一弾! ミシルのお話『黎明』です。


* *


この世に生まれ出でた朝を 私はよく覚えていない。

物心ついた時には、私は上等な絹と、むせる様な香の香りと、さんざめく女達の密やかな微笑みと悪意に囲まれていた・・それだけははっきりと覚えている。

「なんて美しい姫君でしょう。これなら・・」
まだほんの少女だった私を見た人間は、男でも女でも決まってそう言い、そして決まって上品な含み笑いで続く言葉をぼかしていく。もっとも、幼い頃から自分の血統と役割を教えられてきた私はその意味を十分に承知していた。だが何も言うまい。この宮廷では、自分の言った言葉はそのまま自分を切り裂く刃となるのだ。
 勿論、やってのける自信は十分にあった。そんな物は双六遊びと変わりない。相手を見て、機を読み、形勢を自分の物にするだけだ。人生とはなんて単純で、醜悪で、簡単なのだろう。どんな人間も、私が少し微笑めば心を開き、ほんの少し手を加えれば簡単に道を外していく。そして誰も、私と同じ場所に立てる者はいない。そうーあっけなく死んでしまった「あの人」のいない今は。
 ・・私がほんの・・ほんの少しだけ「つまらない女」になっても良いと思ったあの人は、私が今の私になるきっかけを作った形見を残して逝ってしまった。死んだ親友に慟哭した挙句の衰弱死というつまらない死に方をして。
 そのかわり・・というのではないが、彼の、半分だけ血の繋がった「弟」を側に置くようになった。不幸な出自ゆえか、幼い頃から諦めにも似た風情と冷め切った眼差しをした彼は、言葉少なに私に従い、言葉少なに手を血で染めた。そして、冷めた魂を持つ私達は時にその冷たい肌を火照らせて交わった。
 彼が私を愛していたのか、私が彼を愛していたのか・・それは愚問というものだ。ただ分かっていたのは、私のいる場所に彼はあえて並ぼうとせず、ただ私の影となる事のみを選んでいた、という事だ。
息子を捨てた時も、奸智に身を任せた時も、彼はただ黙って私の側にいた。
・・・・「その時」が近付くと、どうも感傷的になる様だ。
 今、私の足元には空の瓶が転がっている。「その時」は苦しいのか・・・ぼんやりとそんな事を考えた。
 彼は淡々と・・私と共に死ぬと言って、私は彼を止めた。まだその時ではないと。そして彼は、また私に従った。
 「愛しています」・・あんな言葉は聞きたくはなかったのに。追い求めた夢のよすがに、「その時」は宝石の様に眩く散りたかったのに。
 結局、私もまたつまらない人間だったのだろうか。まあいい。私の身が塵と消えてから、あの少女がー私を追い詰めた彼女が知る事だ。
 「愛しています」・・遠い昔、「あの人」が囁いた言葉、そして、その冷めた瞳に光るものを溜めて彼が言った言葉。
・・・この頬に熱くて冷たいものが流れている。多分気のせいだ。
 足音荒く、誰かがやって来る。ああ、ようやく来た。私は痺れてきた頬を吊り上げて微笑む。
 さあ、最期の仕上げをしよう。今日はよく晴れた美しい日だ。私の新しい野望が始まる日。今度こそ仕損じない様に。そして言ってやろう。
「愛とは容赦なく奪い取るもの。」
・・実に楽しみだ。私は静かに笑う。
きっと、後の事は彼が上手くやってくれるに違いない。
・・・次の世に生まれた時、私は同じ生き方を望むのだろうか・・ふと、そんな事を考えながら、私は眼の前に現れた人物に微笑みかけた




****

クリクリ様へのお返事でも書きましたが、管理人的には

> この宮廷では、自分の言った言葉はそのまま自分を切り裂く刃となるのだ。

の一文が特に好きですねー。

以下、コメントに書いた感想をコピペ!(コラ)……すみません、自分的にこれが一番しっくりくる感想でして…!

> その言葉に囚われるとか、追い詰められるじゃなく、「切り裂く刃」と表現から、ミシルは本来は武人だったと言うところが強く伝わってきて…!
> ダイヤモンドって、実は何よりも硬い鉱物なんだよな、と思い出しました。ダイヤモンドはまさにミシルに相応しい宝石ですね!
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  1. 2011.02.26(土) _15:46:11
  2. 宝物蔵(頂き物保管庫)
  3.  コメント:2
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クリクリ様へ

  1. 2011/02/27(日) 07:14:21 
  2. URL 
  3. すーさん 
  4. [ 編集 ] 
はじめましてクリクリ様、すーさんと言います

緋翠様、場所お借りします。  すみません


重厚な雰囲気がミシルの淡々とした語り口と相まって素晴らしいです

冷静に振り返りながらも新しい野望を仕込む女傑ミシル

ああ………玉のように砕けて散りたいと言ってましたものね

読んでて引き込まれて魅了されて………夢中になって読みました

クリクリ様、ブログを作られてないんですか?

よかったら教えてください


すーさん様へ

  1. 2011/02/27(日) 22:58:06 
  2. URL 
  3. クリクリ 
  4. [ 編集 ] 
すーさん様、はじめまして。

緋翠様、場をお借りしてしまい申し訳ございません。

緋翠様のご好意に甘えて、文を掲載していただいてしまったクリクリです。
 ミシル好きが高じて書いてしまった文章、大好きな作家の緋翠様の広いお心に本当に感謝です。

私は、書くのも読むのも大好きですが、ミシルの様な多重性なキャラクターはそうそう出会えないと思います。

すーさん様に素敵なコメントを頂いてしまい、恐縮でございます。

ブログは・・・持っていないのです(仕事でおおわらわになる事が多いので)ですので、緋翠様の様な素晴らしいブログを見させて頂くのが大好きで・・緋翠様の新作、楽しみなのです!

長々と申し訳ございませんでした。
ありがとうございました。


クリクリ


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