善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SS デバガメ戦記 ※タイトル変更

すーさんへ贈ります!
『SS 凍える君を、蕩かす為に』のその後」と言う設定で、トン&ピのイチャイチャを止めに来たのは…と言うお話です。

おめかしトンマン

作中のトンマンは↑のような格好をしていますー。


* *


 平民育ちの王トンマンは、非常に素朴な生活をしている。後宮は空っぽ、宮殿は昔からのものを修復して使っていたし、衣裳も職人が路頭に迷わない程度にしか作らせない。多く作らせても、余った分はどんどん下賜していた。
 そのトンマンの唯一の娯楽は、王の為の庭院にあった。
 梅、桜、菖蒲、藤、松、紅葉。季節毎に色々な花が楽しめるように造られた庭院は、蓮の浮かぶ池も含めて、トンマンの心を慰める場所だった。

「綺麗だな……」

 何回目かの色供の夜、トンマンはピダムを誘って自らの庭院に出た。池の畔に建てられた小振りの四阿にはすでにちょっとした酒肴が調えられており、赤い灯篭が幻想的な雰囲気を醸し出している。仄かな光に照らされて、桜がほわりと光っていた。
 が、桜も酒肴もどうでもいいピダムは、隣に立っているトンマンをじっと見下ろしていた。
 近頃、色供の夜に限って、トンマンも女官達の進めるままに着飾るようになっている。女王の礼装ではなく、桜色の女らしい衣裳を身に着けたトンマンは、月のように光り輝いて見えたし、常とは違う形で結われた髪は細く綺麗な首筋を良く引き立てており、ピダムの視線を捕らえて離さなかった。

「本当に……綺麗です、陛下」
「だろう? 花は、毎年見ても見飽きない」

 主語のずれた会話をしていることに気付かぬまま、二人は手を繋いで四阿に入った。

「ピダム」
「はい」
「昔のお前は「花なんて食べられないのに何がいいんだかわからない」と言っていたが、変わったんだな」
「変わりましたよ」

 弾んだ声で話すトンマンの頬に手を添えると、ピダムは桜ばかりを見る困った情人にこちらを向かせた。
 桜に魅入られた情人がそよ風よりも優しいその手にゆっくり振り返れば、目の前には黒い瞳がある。

「……あんまり、桜ばかり、見ないでください」

 間近で囁かれた声に答えるより早く、温かい唇が彼女のそれに触れていた。いつの間にか背に力強い腕が回され、トン、と背に四阿の赤い柱が当たる。桜色だったトンマンの頬がさっと赤くなった。

「ピダム……外だぞ」
「二人きりですよ。他には誰もいません」

 窘める声にも力がないことを見透かしたように、ピダムは反駁した。トンマンの右肩に垂れ下がっている一房の髪を掬って後ろへ流し、剥き出しになった首筋を軽く吸う。びくんと跳ねた身体をさらに強く抱きしめ、熱い舌を這わせると、ピダムの耳元で乱れた吐息が漏れた。

「ピダム、だめ……っ」

 ピダムの帯の辺りをぎゅっと握る両手と、煽っているようにしか聞こえない甘い声に、背が粟立っていく。脱がせ易いように緩く着付けられた繻は簡単に肌蹴て、蒼白い肌が桜色に染まっていった。触れられる度にそれがさらに紅に変化していくことをすでに知っているピダムは、少しずつ唇をずらして、谷間に赤い花を咲かせた。
 それは、見える場所にはつけない、二人だけが知る幸福の証――の、はずだった。

「――陛下」

 トンマンもピダムも良く知る、涼やかな声。
 その声が誰のものか認識する前に、屈んでいたピダムは背を伸ばしてトンマンを抱え込んだ。ピダムだけが知るトンマンの姿を見せまいとするかのように。

「…………お下がりください、チュンチュ公」

 その声にも、自然と殺気が篭る。けれどもチュンチュはいつもの微笑を湛えたまま、ずかずかと四阿に踏み込んだ。
 トンマンはピダムが強く抱きしめている為に着衣の乱れを直すことも儘ならず、真っ赤になっている。小声でピダムの名を呼ぼうとするものの、息苦しいくらいに抱擁されているせいで、まともに声も出ない。
 チュンチュはトンマンの身体の中で唯一見えている部分――ピダムの黒い上衣を掴んでいる手に思いっきり力が入っているのを見て、やれやれと心の中で嘆息した。……十五も年下の甥の方が落ち着いているとは、どう言うことだろう。

「庭院にお出でになったと伺い、私も花見に混ぜて貰おうと思ったのですが……私はお邪魔ですか? 陛下」

 今年の桜は見事ですのに、とチュンチュが声を落とすと、トンマンの手が強張り、引っ込んだ。さらさらと衣擦れの音がする。ついでに、ピダムが小声で文句を言っているのもしっかりチュンチュの耳に届いた。

「陛下! 今宵は私と過ごす約束です」
「でもピダム、チュンチュと夜桜を見たことはない。今夜を逃せば、もう散るばかりだし……」
「どうだっていいです、そんなことは」
「夜桜がどうだっていいと言うのか? 私はお前に綺麗な景色を見せたくてここに呼んだのに……」
「陛下こそ、私に抱かれるより、桜なんかの方が好きなんですか」

 どんどん声が大きくなっていることに気付いているのかいないのか、甥っ子の前で見苦しく痴話喧嘩を始めた叔母と叔父に、さすがのチュンチュも呆れた。チュンチュからすれば、肌を見られるより、痴話喧嘩を聞かれる方がよっぽど恥ずべきことだ。

「桜なんかだと? ピダム、お前は私の身体だけあればいいのか!」
「身体も心も全部欲しいです! 陛下こそ、どうして一時でも長く見つめ合っていたいと思う私の気持ちをわかってくれないんですか」
「…………」

 これは後々良いからかいのタネになるかもしれない、とチュンチュはその場にいながら気配を消した。何せ、やっと姿が見えたトンマンは見たこともない色っぽい髪型をして、これまた日頃は絶対に着ないような柔らかな色合いの衣裳を着ている。おまけに袖は透けているではないか。急いで整えたからか、少し乱れた袷から覗く肌は上気している。
 一方、チュンチュの前であることを忘れたらしい二人は、きゃんきゃん喧嘩と言う名のじゃれ合いを続けている。

「お前こそ、何故美しい景色を一緒に楽しみたいと思う私の心がわからないんだ。いつもいつも、寝所や湯殿に篭って同じことをして、飽きないのか」
「えっ!? 陛下は飽きてたんですか……!?」
「飽きてはいない。でも、いつもいつも朝まで離してくれないし……せっかく二人きりでいる貴重な一時なんだから、色んなものを分かち合いたいんだ」

 ――いつもいつも朝までって……。え、じゃあ、陛下は色供の翌日はいつも徹夜明けなのか?
 嫌なことを知った、とチュンチュは目を眇めた。色供の翌日と言えば、女王の肌が艶々していることと司量部令の機嫌が良いことで有名だったが、まさかそんな裏話があったとは。……と言うか、ピダムが徹夜明けでも何ともないのは納得がいくとしても、陛下までそれに付き合えるなんて、と考えると、若干眩暈がする。叔母も叔父も絶倫だなんて、自慢になるやらならないやら。

「陛下……。どうして陛下は、可愛いことばかり仰るんですか」

 先程まで言い争っていたことはもう忘れたのか、頬を赤くして俯くトンマンをぎゅっと抱きしめると、ピダムは仄かに香油の香る黒髪に唇を落とした。

「陛下があんまり可愛いから、陛下だけ見ていたくなって、ずっと触れていたくなるんですよ」

 その言葉に、「けっ」とチュンチュは砂を吐いた。彼自身、女を篭絡するのに様々な甘言を弄してきたが、ピダムの言うことは本心なだけに気味が悪い。
 が、トンマンはその気味の悪い甘言にさらに照れている。……思わず、チュンチュは声に出して砂を吐いた。

「…………夫婦喧嘩は犬も食わぬとは、よく言ったものですね」
「!」

 そこでようやく甥がいることを思い出したのか、トンマンが腕を突っ張ってピダムを押し出そうとした。けれどもピダムとて、そう簡単に押し出されるほど控え目になれる時間ではない。逃げ出そうとするトンマンの腰をさらに強く引き寄せ、「まだいたのか」とでも言わんばかりの冷ややかな眼差しでチュンチュを振り返った。

「チュ、チュンチュ……」
「失礼致しました、陛下。どうぞ、お風邪を召されぬ程度にお愉しみください」

 さっさと踵を返したチュンチュは、以後、二度とその四阿に入ろうとしなかったと言う。
 そして、残された情人達はと言えば。

「ピダム! だから、外では駄目だと……っ」
「…………」

 途端に不機嫌になったピダムが聞かん坊になった為に、トンマンは浅黒い肩越し、と言う奇妙な形で夜桜見物をすることになったのだった。



***

書き殴りなもので、誤字脱字があったらすみません!(汗)
すーさんの癒しになりますようにーv

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  1. 2011.04.09(土) _22:55:00
  2. SS(ドラマ設定IFもの)
  3.  コメント:6
  4. [ edit ]

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comment

ありがとうございます♪♪♪

  1. 2011/04/09(土) 23:09:34 
  2. URL 
  3. すーさん 
  4. [ 編集 ] 
うわぁ~感激です!

そうそう「けっ」って言って砂を吐くチュンチュが見たかったんです

顔はにっこりしながら一瞬、横を向いて「けっ」て言うのが(笑)


ありがとうございます♪♪♪

スッゴい嬉しくて何回でも見させて頂きます

それに画像のトンマンの格好も可愛いし~~~

ピダムまっしぐらですね

心の凝りが吹っ飛びました!!!

ありがとうございます♪♪♪

すーさん様へ

  1. 2011/04/11(月) 09:47:53 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
すーさん、こんにちは~v
おお、リクエスト内容を上手く書けて良かったです!
最初は「けっ」と砂吐く予定じゃなかったんですが、なんかお告げがwあれはすーさんの声だったんですね…!(違)
私も書いててものすごく楽しかったですー!トンマンにああ言う格好させるのも、普段なら有り得ませんしw久々に着せ替えサイトでも遊べて幸せですv
バカップルなトン&ピも意外と珍しくて…。私の方こそ、ありがとうございました!

緋翠さん今晩はー。

  1. 2011/04/12(火) 23:59:24 
  2. URL 
  3. りば 
  4. [ 編集 ] 
お加減いかがでしょうか?しかし、色供の日と知っててわざわざやってきて、ちょっと声を落としてガッカリ感を匂わせ叔母の気を引く芝居をしてみたり、この日ばかりは甥っこは陰で女官さん’sの総スカンを喰らっていたことでしょう。

しかしトンマン夜桜見物といっても、視界がユサユサ揺れてたら見物になるんでしょうかね?それとも事後つうか合い間合い間(・・・)に霞んだ感じの夜桜見物でしょうか。霞んでるのは空気じゃなくてトンマンの目ー。な感じでv・・・しょうもないままに退散します・・・!

ツボを心得た甥っ子w

  1. 2011/04/13(水) 00:30:36 
  2. URL 
  3. 椿 
  4. [ 編集 ] 
こんばんわー!

腹黒トリオの絡みに悶えました(笑)。
夜桜見ながら~ってとこにもw

ドラマでは見れなかった叔母さんの恋愛事情、面白かったです!特に痴話喧嘩がww
叔父叔母に引きまくってる甥っ子チュンチュ…!甥っ子より純粋な叔父さんと叔母さんって…。
チュンチュが気味悪がってるピダムの言葉に真っ赤になるトンマン…vうん、やっぱり君たちはベストカップルだよ…!と、実感しましたv

こんな絡みの動画があったら、まず間違いなく同床動画並みに飛び付くんですけどねっ!!

美しい~お衣装で恥じらうトンマンが、めっちゃ見たいです…!!
ピダムでなくてもクラクラしちゃいますねv

「甥っ子は見た!」って、タイトルも好きでした(笑)。

りば様へ

  1. 2011/04/13(水) 20:57:09 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
りばさん、こんばんはーv
風邪はほとんど良くなりました!ありがとうございます~v

実は今回のチュンチュは、トンマンサイドの女官が送り込んだと言う裏設定があったり…w

女官A「お忙しい陛下がお花見をなさるのよ!水入らずになるように私達は引っ込みましょう」
女官B「……でも、ピダム公がお花見なんかするかしら?二人きりにしたら、これ幸いと陛下を押し倒すんじゃ……」
女官A「え?で、でも外よ?御寝所じゃないのよ?夜風もまだ冷たいわ」
女官B「でもこの前、廊下で陛下にキスしてたし」
女官C「あ、私も見たことある!かなり18禁もので、鼻血出しそうになったわー」
女官B「そう言えば、新入りがピダム公から陛下の礼装の脱がせ方を聞かれたって言ってたわ」
女官A「…………誰か、陛下がお喜びになりそうな方を投入しましょう」

てなイメージがありましてーw

夜桜見物は、合体(ちょ)前とかに眺めてたとか…?一応、1Rが終わったら、風邪ひかないように中に入って欲しいですねーw

椿様へ

  1. 2011/04/13(水) 22:47:36 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
椿さん、こんばんはーv

私も腹黒トリオの共演…と言うか、狂演w、書いてて楽しかったですw
女王時代のトン&ピがラブラブなところも含め、リッチなデートが出来るところも含めw、IFものならではで、もー書いてて楽しいです! 庭園貸し切りとか綺麗な服でデートとか、あとは甥っ子の乱入も、隠居生活では無理なものでw
トン&ピの痴話喧嘩って意外と書いたことがなくて、これまた新鮮でしたv チュンチュのドン引きはいつ書いても楽しいですw 私も、チュンチュとかアルチョンとか、トン&ピを一歩引いたところから見てツッコミ出来る人の視点で書くと、トン&ピはやっぱりベストカップルだと実感します!(え)

> こんな絡みの動画があったら、まず間違いなく同床動画並みに飛び付くんですけどねっ!!

ああ、そうですね~!同床しなくてもいいので、せめてイチャコラしてるところを…!!
と言うか、最悪綺麗に着飾って恥らってるトンマンを(以下略)

最初は「女官は見た!」の番外編で「甥っ子は見た!」とタイトルをつけていましたが、途中で設定が変わったのでタイトルも変えてしまいました…!ぬおーすみません…!


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