善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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敦盛さんSSS

本日二本目の記事です。敦盛さんフィーバー。

※十六夜後日談前提のSSですので、未見の方はご注意下さい。


* * *

「で、それ、結局どこ切ったんだ?」

 朔に借りた剃刀を返す為に去った望美を見送り、九郎らとも別れた後のこと。
 廊下に残っていた将臣にそう問われて、敦盛は望美の消えた先を見つめていた視線をゆっくりと将臣へと移した。
 敦盛の顔はもう先ほど望美に向けたような柔らかな微笑を浮かべてはいなかったが、敦盛が喜怒哀楽を表すのが稀なことであるのは知っているので、将臣も気にはしない。

「どこ……とは言えませんが、神子は毛先を整えてくれたように思います」
「毛先ぃ? 意味あんのかそれ」

 心底不思議そうに腕組みして小首を傾げる将臣を見ながら、ああ、そう言えば将臣殿は髪梳きをほとんどしないのだった、と思い出す。いや、正確に言うのなら、前髪くらいは「目に入って邪魔だしな」と笑って切っておられたが、後ろ髪などはそのままではないだろうか、と。
 それを敦盛は「さすがは還内府殿」と(悪い意味ではなく)尊敬していたが、望美から言わせれば、「だから将臣くんはガサツだって言うんだよー」と言うところなのだろう。
 しかし望美のことを「健気で可愛らしい方」と心底大事に想っている敦盛は、望美の自己満足に近かった『美容院ごっこ』のお供に選ばれたことを光栄に思っていたし、心から喜ばしく思っていたので、自然と口元が緩んでしまっていた。

「……神子にとっても私にとっても、とても有意義な時間であったように思います」

 その場に望美がいたら卒倒しそうな愛らしい笑みに、「ふーん」と淡白な反応しか返さない将臣は、ある意味強者と言えるだろう。

「ま、お前がホントにそう思ってんなら別にいいわ」
「ま、将臣殿。私は虚言などは……」
「言わないよな、敦盛は。あーでも、あんまし望美を甘やかさなくていいんだぜ。御飯事の相手なら朔がいるんだしな」

 御飯事、と思わぬ言葉を耳にして呆然としてしまった敦盛を置いて、欠伸を噛み殺しながら将臣は去っていった。
 あの様子では、きっと午睡をなさるのだろう。お疲れなのだな、とどこまでも心根の清らかな敦盛は彼なりに敬意を表して将臣の後姿に頭を垂れる。その拍子にさらりと髪が揺れ、頬にかかった。――鼻先を微かに撫ぜるのは、覚えのある薫香。

(神子。これがあなたの香りなのか……なんと、心洗われる香りなのだろう)

 怨霊の身である己に触れさせてしまうこと事態が残酷なことだとわかっているのに、神子たる望美の残り香が微かにでもあることに、こんなにも幸せな気持ちになってしまう。
 どこまでも罪深い己の性に痛みを感じながらも、やはりその日、敦盛は幸せだった。


***
敦盛さんには、例え敦盛さんがサラッと失礼なこと(と言うかヒノエとかが言ったら悪口とか「変態!」と取られそうなこと)を言っても、人徳で、「ああ、敦盛さんがああ言うなら……」と周りが反省してしまいそうなイメージがあります。
だって敦盛さんだもの(何)
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  1. 2009.05.31(日) _21:41:34
  2. SS<遙か3>
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