善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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SSS 雨夜の逢瀬

特に何か内容があるわけでもない(←いつもないような…)、短いお話です。こう言う話が書きたくなると言うことは、情緒不安定かよ自分……とツッコミを入れたくなりますねw

ちょっとヤラシー表現がありますので、お気をつけください。なんとなくで楽しんで頂ければ嬉しいですv


* *


 何よりも確かな温もりに包まれて、心が蕩けていく――。

「ピダム」

 恍惚に突き落とされるその時、トンマンは必ずその名を口にした。

「トンマン」

 絶望でもがくその時、ピダムは必ずその名を口にした。



 これだけが全てではないけれど……と、ピダムを抱きしめながらトンマンは思った。ピダムの想いを感じる術は、他にもあると。
 けれども、すでにトンマンは、限られた時の中で強く彼を感じたい時には、これが最も優れていると知ってしまった。知ってしまった以上、もうそれから目を逸らすことは出来なかった。

「トンマン……」

 火照った肌を絡めながら、懐かしい低音が耳許で囁く。その音色に縋るようにトンマンが腕を伸ばして硬い背を抱くと、柔らかな肢体は続く律動に幾度となく揺らめき、濡れた唇がふわりと開いた。

「あっ……っ……」

 溢れ出た嬌声を逃さぬ為に、ピダムはトンマンの頬に自分の頬をくっつけた。そうすれば、脈打つ吐息が鼓膜を揺さ振り、トンマンの躯が収縮する度に、背筋を激しい快楽が駆け上る。ピダムは、その快楽を惜しみなくトンマンに叩きつけた。彼が躊躇いなく全てを彼女にぶつけることが出来る瞬間を、逃さぬように――。
 そして、トンマンもまた、ピダムが躊躇いを捨てて彼女にぶつかってくる瞬間を一つも逃さない為に、瞼を閉じた。



 トンマンもピダムも、時折、切なさが歓びに勝る夜があることに、気付いていた。溢れ出す喜びを分かち合う為ではなく、心に巣食う忌まわしい記憶から逃れようと互いを求めることがあると言うことを、わかっていた。
 そんな夜は、大概は冷たい雨が降る夜だ。
 だからと言うわけではないが、必然的に、その夜も微かな雨音が響く夜だった。

「……眠れませんか?」

 もうだいぶ夜も更けた頃、雨音に掻き消されてしまいそうな声でそう訊ねられて、トンマンはゆっくりと瞼を上げた。目の前には彼女と同じくらいはっきりと冴えた瞳がある。思わずトンマンは苦く微笑んだ。

「……お前も眠れないみたいだな」
「そのようです」

 ピダムも同じように苦笑して手を伸ばすと、トンマンの頬にかかった黒髪を丁寧に払った。

「眠れるように、何かしましょうか」
「……何をしてくれるんだ?」
「そうですね……」

 寸の間悩んでみせた後、ピダムは上半身を少しだけ起こして、トンマンの耳元で何事か囁いた。それを聞いたトンマンは、きょとんとしている。

「ご飯を作るのか? 今から?」
「はい」
「夜更けだぞ」
「だからお腹が空いて、眠れなくなるんですよ」
「でも……」
「すぐに戻りますから、ちょっとだけ待っていてください」
「ピダム……」

 何故だかやけに渋るトンマンに上衣を被せて、ピダムは閨を出た。まだ夏だと言うのに、雨が閨の中までひんやりとさせてしまっている。こう言う夜は、温かいものを口にした方が良いのだ。
 すると、どういう風の吹き回しか、いつもは大人しく待っているだろうトンマンが、ちょこんと付いてくるではないか。

「トンマン?」

 思わず吃驚したピダムが名を呼ぶと、トンマンは自分がピダムの後を追いかけていることに今やっと気がついたかのように、頬を微かに赤らめた。それは、闇に紛れてピダムにはわからなかったが。

「もう夫婦なのだから、私も手伝う」

 ご飯なんか要らない、一緒にいたい――とはさすがに言い出せなかったトンマンは、瞬時に頭を働かせてその場を取り繕った。

「……」

 しかし、持ち前の勘の良さで何かを覚ったのか、ピダムは頼りない黒い影に優しく手を伸ばした。

「トンマン……?」
「……」

 頬と思しきところをそっと撫でると、影の主は少し首を傾げて、掌に寄り添った。その動きに応えるように、自然と腕が細い躯を抱き寄せ、まるで見えているかのように滑らかに唇を重ねた。
 暫くそうして触れ合っていた唇を離すや、ピダムは吐息を感じるほど間近でじっとトンマンを見つめた。雨雲に隠れて星も見えない夜は、いくら夜目に慣れたピダムでも、トンマンの表情まで事細かに見切ることは出来ない。けれども、少しでも近くにいることで、よりトンマンの求めるものを感じたかった。
 トンマンもまた、暗闇の中でもピダムの眼差しを痛いくらいに感じていた。心配されている――それはわかっていたが、心配されるのが嬉しい一方、幼子のような自分の姿に羞恥も感じて、思わず視線を落とした。が、その手はがっちりとピダムの寝衣を掴んで離さない。
 動くなと命令しているのも同然のその手を、ピダムは勿論振り払わなかった。とは言うものの、暗闇の中でただ突っ立っていると言うのは、トンマンにとっては心休まる一時であっても、ピダムからすれば間が持たない。

「トンマン」

 我慢出来なくなって白い顎を持ち上げると、ピダムは今度は触れるだけではない、濃密な口づけを始めた。

「――」

 トンマンは突然のことに刹那瞳を丸くしたものの、ゆっくりと瞼を閉じた。

『一緒にいられることが、何より嬉しい』

 そして、言葉では伝わりきらないだろうその想いをピダムの望む形で伝える為に、雨音を忘れた。――雨夜は、いつでも二人を静寂に包まれた漆黒の渕へと誘うから。






*****

要するにトン&ピが仲良しこよしなのが一番なのだ!と言う、纏まりのない短文ですw
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  1. 2011.12.17(土) _00:31:33
  2. 隠居連載『蕾の開く頃』
  3.  コメント:5
  4. [ edit ]

<<12月18日に頂いたコメントへの返信 | BLOG TOP | 勝手にツボ語り。>>

comment

  1. 2011/12/17(土) 22:35:48 
  2. URL 
  3. げん 
  4. [ 編集 ] 
緋翠様 こんばんは。

ピダムがどこかに行ってしまったはずもなく、すぐそばにいるのにも関わらず姿が少しでも見えなくなるとぐずったり、探したりする幼子のようになってしまった雨夜の自分のことを、トンマンは恥じらいつつも、そんな自分を瞬時に察してくれるピダムは、トンマンがこの世で甘えることのできる唯一の人で男ですね。それと同時に、ピダムにも心の内々に抱いているだろうものを消し去ってやりたいというトンマンのトンマンらしい大人なところもチラッと見えた感じがしました

まだ夫婦になったばかりの頃で、互いの口調に王と司量部令がのぞいていますね。
ピダムがやけに大人な男に見えちゃいました。
でもトンマンにとっては昔からピダムに対し、そんな風に見えていたんでしょうかね・・・。だからこそ、自分の前で見せる子供っぽいところに、フッと笑みがこぼれたり、時にはイラッとしたのでしょうか・・・と、『トンマン視点』を振り返りながらこのSSを読ませていただいたら、色々考えちゃいました


更新ありがとうございますm(__)m

  1. 2011/12/18(日) 21:00:02 
  2. URL 
  3. テヤン 
  4. [ 編集 ] 

緋翠さま


こんばんは~

ここ数日の沢山の更新、ありがとうございます。


トン&ピが仲良いのは本当に良いことですね~
私も読んでいて幸せになれます。


そしてイチャイチャが鼻血級じゃなくて、仄かな感じなのが、又良いです♪


>頬と思しきところをそっと撫でると、影の主は少し首を傾けて、掌に寄りそった。
この感じが凄く◎
愛が溢れてますよね~緋翠さまのこう言う表現が大好きです。


ピダムはトンマンに母と恋人と二つの愛を常に求めてると思うし(普通男性はそうですよね(笑)

トンマンはピダム以上にピダムを求めてるのに、当のピダムはそれが分かっていない。
ピダムってトンマンに関しては、恋は盲目になっちゃうのが本当に不思議です。
なのに、ご飯作ってくれて、啼かせてくれて、養ってくれて。
トンマンから見たら頼れる男です。


最近困ってるのはピダムが絶倫=ナム君が絶倫になってることです(笑)

まぁ妄想なんで良いのですが…

あまりに緋翠さまの描く善徳女王ワールドがリアル過ぎて、妄想し過ぎる自分に歯止めがかかりません(T_T)



管理人のみ閲覧できます

  1. 2011/12/18(日) 21:04:34 
  2.  
  3.  
  4. [ 編集 ] 
このコメントは管理人のみ閲覧できます

げん様へ

  1. 2011/12/18(日) 22:33:18 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
げん様、こんばんは~v

> ピダムがどこかに行ってしまったはずもなく、すぐそばにいるのにも関わらず姿が少しでも見えなくなるとぐずったり、探したりする幼子のようになってしまった雨夜の自分のことを、トンマンは恥じらいつつも、そんな自分を瞬時に察してくれるピダムは、トンマンがこの世で甘えることのできる唯一の人で男ですね。

そうですね~。「今回は、とにかく余計なネタはなしで、トン&ピの関係性だけ書けたらいいや!」と言う感じで書いたので、ピダムがトンマンにとってどう言う男なのかが伝わって、凄く嬉しいですー!(雨夜……と言う設定も、相手の顔色が見えなくても(と言うか、見えないからこそ?)、心と心で通じ合う部分を見せたいなーと言う考えからの設定でした)

> それと同時に、ピダムにも心の内々に抱いているだろうものを消し去ってやりたいというトンマンのトンマンらしい大人なところもチラッと見えた感じがしました

私も、トンマンもピダムも、お互いに自分の心の平安の為に相手を必要として、でもそれだけでなく、相手の心の平安の為に行動する二人だと思います。
トンマンがピダムを引き止める時の子供っぽさは、51話と57話をイメージしましたが、「子供っぽ過ぎないかなー」と多少不安もあったので、大人なところもちょっとは見えて良かったです!(笑)

二人の口調は、かなり王と司量部令ですねv その前にイチャイチャしてる時は違うんですけどw、それ以外の時はまだまだ主従関係が強い時の設定の話なので、ピダムが「ご飯を」と言ったのも、この時期だからかなーと言う気がします。

> ピダムがやけに大人な男に見えちゃいました。

ありがとうございます!(笑)

> でもトンマンにとっては昔からピダムに対し、そんな風に見えていたんでしょうかね・・・。

そう言えば、トンマンはユシンに対しては、「子供みたいだな」と朗らかに笑ったりはあまりしなかったような…?
ここからは私のイメージなんですが、相手が大人の男なのに本当に子供みたいな狭量な性格をしている場合、その相手に向かって「子供みたいだな」と言えない気がするんですよね。特に、トンマンのように相手を見るタイプは、そう言う不用意な発言を身近な人に向かってしないと思うんです。
なので、ピダムに対して「子供っぽい」と微笑めたのは、ピダムは、そう言うことを言っても笑ってくれるだろう心の広さがある(冗談が通じるとも言いますねw)からかなーと…。(ユシンやアルチョンに言ったら、怒られそうですしww)

テヤン様へ

  1. 2011/12/20(火) 18:29:40 
  2. URL 
  3. 緋翠@管理人 
  4. [ 編集 ] 
テヤン様、こんばんは~vまたのコメントをありがとうございます!

私も仲良しなトン&ピを書くと癒されますv
あまり創作ばかりし過ぎると、たまにドラマを見た時に「うおっ、違うぞ!?」と焦ったりもしますが(笑)、出来るだけ役者さんの空気感も大事にしたいです。

鼻血級のイチャイチャは、隠居シリーズだとあまり書く必要性を感じなかったりします。それよりも、穏やかさの中にある心の触れ合いみたいなものを描きたいなーと…。迷宮シリーズなんかは、逆なんですが(笑)

> >頬と思しきところをそっと撫でると、影の主は少し首を傾けて、掌に寄りそった。
> この感じが凄く◎
> 愛が溢れてますよね~緋翠さまのこう言う表現が大好きです。

ありがとうございます~v
ドラマでは、他の人とは違って、トン&ピは手の交流が多かったので、手の愛情表現にしてみました。行動の順番も、57話のハグの時に、『トンマン無言の要求→ピダムからハグ→トンマン寄り添う』だったので、従いました(笑)
たぶん、ピダムがトンマンに母性と恋人だけでなく父性(社会性)も要求しているように、トンマンもピダムに父性と恋人だけでなく、母性も要求しているのかもしれませんw

ピダムは決して恋愛感情に疎いタイプではないのですが、トンマンに関してはニブいですよね(笑) 自信のなさ故かとも思いましたが、女王時代前半は「ユシンさえ蹴落とせば」と自信たっぷりでしたし、なんと言うか、愛情を確信するタイミングがズレてますよねw そこら辺が面白くもあるのですが(←鬼)

> トンマンから見たら頼れる男です。

そう見えて嬉しいです!
絶倫はわかりませんがw、ラブシーンのある役が多いようですし、妄想を誘いそうな方ではあると思います(笑)
妄想の足しになるよう、また頑張ります!(←え)


●追伸
お気遣いありがとうございます!二重投稿になっていたぶんは、削除しました~。


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