善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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リレー連載『偽りが変化(か)わるとき ~砂漠編』  by すーさん

お返事がまだ完了していませんが、お先にこちらを!
リレー小説の第30話ですー!!いやー、30話…キリがいい数字になると、喜びも倍増ですね!

さて、今回はすーさんのターンです。そして、次はsakiさんの予定です!
(いつものように、ご感想は拍手からではなく、記事の最後にあるコメント欄をご利用くださるようお願い申し上げますv)


* *


砂漠の民にとってオアシスは貴重な場所であり、命を繋ぐ場所でもある
だからこそ命を繋ぐ水を求め、商売を、生活を繋ぐ場を求め集まってくる

だが、今は・・・・・・息子が危惧して苛立つ様を思い出しながら、ザズの父は厳しい表情をしていた

『商人が来なきゃオアシスは廃れちまう・・・・・・このままにはしておけねぇな・・・』

誰にも顧みられない街など、死んだも同じ・・・・・・

彼の足は街の住民で気立ての優しいソファの飯店へと、件の騒ぎの中心へと、諸侯の所へ行く前に見ておくべく・・・・・・向かっていた

「団長!!」
声をかけられ呼び止められて砂漠の男は、足を止めた

呼んだのは自警団の仲間であり頼りになる右腕・・・・・・
その男が、すっと横に立ちながら素知らぬふりで・・・だが、声だけを届けてくる

「団長、あそこの路地を」

どうした?何故か?・・・とも聞かずに、しかも振り返らずに視線だけをやれば・・・其処には若い男がいる

「見かけねぇー男だな」
「小間物屋の若旦那です、最近ここに戻ってきたと聞きました」

二人の男はそれぞれ反対側を向きつつ、人には気取られないよう声だけをやりあっている
長年の信頼と絆が、男達にはあるのだ

「珊瑚の簪か・・・・・・今の流行りかよ」
「だいぶ隋かぶれしている野郎ですぜ」
「ほぉ~・・・隋か  ・・・・・・諸侯と同じだな」

砂漠で焼けた浅黒い頬に年輪のように刻まれた皺が、口角を上げた為に深くなる

にやり・・・団長が笑いながら片手を顎に触れ、茂る髭を撫でザリザリと音をさせ眼を細める

彼が思案するときの癖を仲間は横目で見ながら、頭と仰ぐ砂漠の男を見ていた・・・・・・どんな事でも従う意志で。。。

「ちぃーーっと話を聞かねぇとなんねぇな」
「裏に廻ります」

すっ・・・と離れていく仲間に眼で頷いた砂漠の男は、獲物を狙うように鋭く見ながら歩き出す

すらりとした長身と、それに見合うガッシリとした体躯が静かに・・・・・・音を立てず、周りの視線も集めずに動く様は見事だった

一方、路地裏から伺い見る若旦那はといえば、いつも連れている小者にニヤニヤとして見せている

「長いものには巻かれろというが、私は親父様と違って先を読む目が違うのだよ」

遠く、ソファが兵士達に連れて行かれる様を見ながら、愉しそうな顔をし続ける若旦那に小者も媚びて笑いを向ける

「さすが若旦那です!  諸侯様の覚えめでたくこれからは若旦那が店の主ですよ」
「はははっ  お前もうまい口をおききだね」
「私の本心です」

小者の言葉に気をよくしたのか、得意気な顔を崩さない若旦那

「お前にも褒美をあげないとねぇ~~ 商人達を焚き付けてくれたのだから」

「ほぉ~~~・・・・・・何を焚き付けた?」

頭の後ろから急に割って入った野太い声に、驚いた若旦那だが・・・内心の動揺を押し隠して平然と振り返るのは大したものだといおう

「自警団の団長・・・  何の事ですかね」
「ソファの店で商人達が騒いでたのは俺の耳にも入ってる。  それを焚き付けたって話だろ?」
「あははっ・・・な、なんの勘違いをされてるんでしょうか? 私が言ったのは風呂焚きの事ですよ~~」
「ほぉ~~  風呂焚きとは、苦しい言い訳だなぁ~~」
「いやですよ勘違いは・・・・・・では私共はこれで」

そそくさと立ち去ろうとした路地の道。。。

団長に背中を見せて反対の道を行く若旦那だが、そこに塞ぐように立ちはだかった者を見て、観念したように溜め息を吐いた

自警団の団長と団員に、挟みうちされた 若旦那の肩を大きな手が逃がさぬように掴んでくる

「場所を変えて、詳しい話を聞かせてもらおうか」
「・・・・・・はぁ~」

優男の若旦那と小物を間にはさんで、アサドと仲間は自警団の詰所へと歩いて行き残らず吐かせたのだった

*****

女の寝顔は苦し気に眉根を寄せ、浅い息づかいが続いている

自らの膝に委ねられた女の顔を見詰め続けてチルスクは、目を瞑ることで幼さが甦る女に・・・あの日の面影を微かに重ね始めていた

しかし・・・・・・と、チルスクは首をふる

あれから幾星霜、どれほどの年月が過ぎたことか・・・  既に追っていた侍女の顔など忘れ果てた己、確信が持てない己・・・やっと見えかけたものに皮肉なもんだ

ふんっっ!  と僅かに鼻を鳴らしたのは自分の不甲斐なさを皮肉ってか、チルスク自身が問うているとき、不意にカターンが顔を寄せてきた

「トンマンを逃がしてほしい・・・」
小声で囁くローマ人を、細い眼で真意を尋ねれば・・・カターンは番兵からは見えないよう懐から皮袋を取り出し、チルスクに押しやった

「・・・これは?」
「私達は諸侯から逃れられないだろう・・・だが、トンマンはまだ子供だ。彼女だけでもここから逃がしてほしい・・・君の腕ならトンマンと逃げられる」
「・・・・・・それで?」

くっ・・・と、鋭くなる視線を受けたカターンも真剣だった

「この中に金貨とローマまでの通行証が入ってる。トンマンとピダムを連れてローマへ行ってほしい」
「・・・・・・」
「宿に残ってる私の商品も売れば三人でローマへ渡れる筈だよ」

ここで にっこりと笑うカターンを、じっと見詰めながらもチルスクには目の前の男が不思議でならなかった

「何故そこまでする」
「どうしてかな?  自分でも解らない・・・けど、小さな時から見守ってきたんだ。ここで終わりにしたくない」

・・・・・・だが自分は・・・・・・もしかしたら諸侯よりも危険な追跡者かもしれないんだ・・・
・・・・・・いや、追っていた侍女に子などいなかった

ピダムが居るならば、違う・・・違うさ・・・・・・・・・・違ってほしい・・・

葛藤するチルスクが黙ったままに、皮袋を持つ拳を握りしめていると・・・そっと重ねられる小さな手・・・・・・

「はぁ・・・わたしからも・・・お願い・・・トンマンを・・・ピダムと・・・お願い・・・お願い・・・します・・・げほっ・・・はぁはぁ・・・」

いつから聞いていたのか真下にある小さな顔が、苦痛に汗を流しながら息も絶え絶えに懇願する様に・・・・・・ふと母とはこういう者かと、想うチルスクだった・・・・・・

『孤児だった私には分からない者・・・』
彼の細い目は、じっとソファの顔を見つめているのだった

***

「諸侯様に謁見の御取り計らいを願い出ます」
力強い声が門から建物すべてに朗々と響き渡るようだ

「自警団団長、赤髪のアサド!  諸侯様にお会いしたい」
建物の中から門を守る守衛兵から、知らせを受けた兵が出てきてアサドに待つように告げる

オアシスを束ねる自警団団長、疎かにもできないため兵達は取り次いだのだった。。。

それから待たされたが、アサドが考えているよりは早く諸侯の前に出てこれていた

***

・・・・・・カラリ
    ・・・・・・コロリ


    ・・・・・・カラリ
          ・・・・・・コロリ

翡玉は諸侯の手の内で音を出す・・・・・・ただ、その音だけが静かな部屋に微かにしていた

椅子に座り、肘掛けに手を置きもたれた諸侯の眼は、目の前の片膝をついたアサドを見ながら細められていた

「初めて・・・・・・会うかな?」
「この街の自警団団長、アサドと申します」

「それで・・・・・・何用だ」
「諸侯様が捕らえた者達を頂きに参りました」

「ほぉ~~~・・・・・・」

アサドの言葉に、諸侯の眼は鋭く細められ残忍な光が浮かんできた

『ちっ・・・嫌な野郎だ・・・』

内心の声を表には出さずにアサドは、男らしい笑みをたたえていた

「諸侯様、御願い致します・・・まだ年端もいかぬ子供もおれば、このオアシスに財を落とす商人達もいる・・・・・・商人の首を大量に斬れば他の商人達はここには立ち寄らなくなります」

「商人達が立ち寄らなければオアシスは廃れ、滅びるだけ・・・・・・諸侯様に払う税なども無くなります」
「・・・・・・それで?」

関係など無いとばかりな無関心の問いかけに、噴き出しそうな気持ちを拳に握りアサドは笑みをたたえる

『さて、怒りで頭を曇らせるな。感情を自制しろ・・・・・・  札を出して反応を見るかな』

内なる声で自分を律したアサドは、いきなり朗らかに高らかに笑い声を上げた

男らしい豪快な笑い声が壁を震わせ、開け放たれた部屋からすぐそこにある広場の牢まで聞こえるほどだ

    カラリ・・・・・・    コロリ・・・・・・

「何が可笑しいかな?    アサド」

手の内の翡玉を鳴らしながら尋ねる諸侯に、アサドは・・・・・・その名が示すように獅子の咆哮のような笑い声を、ようやっと納めた

「この地を治めるべき諸侯が、何の関心もないようなので可笑しくなりました」
「ふ・・・ん」

「商人達は商いが命!  いくら税を上げたくとも、これ以上は如何なものかと・・・何事にも【程度(ほど)】というのがありますぜ」
「私が何かしたかな」

「おとぼけも見事なものですなぁ~・・・  私が今まで黙ってたのぁー消えたのが商人だけだったからだ。  だが今度ばかりは違う!  街の住民だ・・・俺にも ちっくとばかり見過ごせねぇ義理と仁義があらぁーな」

「・・・・・・どんなだ?アサド・・・」

黙って懐から珊瑚の簪を出したアサドは、にやり・・・と口角を上げる

「この簪の持ち主に聞きました。  ある御方の指示で、わざと商人達を煽り騒ぎを起こした・・・・・・とね」

諸侯が、皮肉に笑った

「そんな不定な輩の言うことなど証拠にはならないだろう」

「(ちっ・・・すっとぼけるつもりだな)・・・そいつは面白い事も話してくれましたぜ」

にやにやと笑う諸侯に、にんまりと笑い返すアサド・・・・・・その様子に周りの兵達の喉が『ごくっ』と鳴った
余りの二人の迫力に喉が乾き、額から汗が垂れるのだ

アサドは笑ってはいるが・・・迸る気概が冷気のように不穏な空気を作り、受ける諸侯も蛇のような残忍さを隠しもせずにいる・・・

「・・・・・・消えた商人達は、どこに行っちまったんだろうな」
「さぁ・・・な、私が知るわけないだろう」

息詰まる空気に兵達は、身を竦め只々直立不動を貫いている

「アサド・・・確か獅子という意味だったな・・・・・・噛みつくのも其れくらいにせねば、お前も無事には此処を出れぬぞ」
「ふん、俺が消えりゃー仲間は簪の奴を連れて隋に飛ぶ」

「・・・・・・」
黙る諸侯に油断なくアサドは声をかける

「まだ見せてない札もある(はったりだがな)・・・牢から放すか、仲間が飛ぶか・・・どちらを御所望です、諸侯」

「くっくっくっ・・・私を脅すかアサド」

くっくっくっ・・・    くっくっくっ・・・

ああ、最後のお遊びに思いのほか楽しい駒が加わったな・・・
愉しいの・・・・・・

「まぁ・・・考えておこう  明日また来い・・・答えはその時に言おう」
「その間、ソファやトンマンに手出しは為さらぬように」

「分かった」

アサドが退出するため部屋を出た直後、諸侯は立ち上がった

「しょ・・・諸侯様どちらに」

兵が尋ねるのに、愉しそうな笑いで喉を鳴らしている諸侯は・・・牢に向かうべく歩き出していた

***

「やっぱりな・・・」
アサドが帰ったと見せかけ空き部屋に潜んだ直後、諸侯も部屋から出て真っ直ぐに牢へと向かう

くっくっくっ・・・  明日、既に処刑されたと知れば・・・・・・アサドはどう言うのかの?

ふふふ・・・・・・  ああ・・・愉快じゃ・・・・・・

あの男の驚く顔が、楽しみじゃ!

「広場に行くぞ」
ぞろぞろと兵を引き連れた諸侯の顔は、残忍な思惑で笑顔となっていた

その様子を見ていたアサドは、諸侯が消えた回廊より顔を出し辺りを伺った

諸侯が兵を引き連れた為に二階はがら空きとなり、アサドが身を隠すに丁度よかった

牢の様子が見える位置に潜んだアサドは、飛び出せばすぐに暴れられると笑っていたのだった・・・
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  1. 2011.10.31(月) _22:43:22
  2. リレー小説『偽りが変化(か)わるとき』
  3.  コメント:2
  4. [ edit ]

<<10月30日に頂いたコメントへの返信 | BLOG TOP | 「ピダム視点」とは。@55話の間者問題にて。>>

comment

団長かっこいい!

  1. 2011/11/01(火) 00:26:15 
  2. URL 
  3. あま茶 
  4. [ 編集 ] 
すーさん様お疲れ様です!

うわわ、このシリーズ、名バイプレイヤーが多すぎてたまりませんv
アサドさんかっこいいーv(オヤジ好き)
何だか、諸侯もドラマ以上の迫力で、成り行きにドキドキです。

もう、ホントに何度も言ってますが、「家族になっちゃえばいいのに(>_<)」
トンマンが一言「お父さんv」って言えば、オヂサンの砂で磨耗した忠誠心など木っ端ミジンコだ!
みんなでローマに行こう!(いやだから、そうすると2章が始まらん)

☆あま茶様へ☆

  1. 2011/11/01(火) 19:16:54 
  2. URL 
  3. すー※さん 
  4. [ 編集 ] 
緋翠さま、ここをお借りします(ぺこり)

あま茶様、こんばんわ! 

私も今回のターンで「親父好き」な血が騒いで騒いで(笑)

諸侯の蛇のような「ねちっこさ」をもっと出せたらよかったと後悔がありますが、緋翠さん、sakiさんにお任せします(おいおい)

いやー 私も砂漠のトンマン&チルスク見てると「このまま家族になっちゃえよーー、そんで娘の無鉄砲さにハラハラする親父」なチルスクが見たいと思いました(でも2章が始まらんくなるから・・・・)


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