善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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知望+将臣SS

おおう、なんだかえらい日にちが空いてしまった…!

知望京ED設定です。
将臣くんがなんかかわいそうです。

* * * *

「お前らがこっちで暮らすってんなら、俺、もーちょい残るわ」

 将臣のその宣言は静かな波乱を呼んだ。

「え? だって譲くんは帰るのにいいの? 将臣くん」

 きょとんとした表情の望美は、心底不思議に思っているのだろう。
 が、その望美に捕獲され、袖を握り締められこの場に留まる事を強いられている知盛はと言えば、なんの反応も見せない。知盛とすれば望美と言う新しい玩具が手に入ってそれに夢中な今、昔の玩具である将臣の去就にさしたる興味もないのだろう。
 しかし将臣は、大いにこの二人に興味があり、かつ不安であった。

「いい。譲を先に帰らせりゃ、親父やお袋に伝言も頼めるしな」
「将臣くんらしい意見だね……。あ、でも私は嬉しいかなー、将臣くんともうちょっとだけでも一緒にいられるの」

 ところがえへえへと笑った望美は、思いっきり額を弾かれて「わっ」と悲鳴を上げた。

「……あのな、俺はお前の為に残るんじゃねぇよ。ってか誰がお前の為に残るか」
「ちょっ、ひどい、ひどいよそこまで言わなくても! 幼馴染でしょー?」
「幼馴染離れする時はとっくの昔に来てんだよ。…………俺が残るのはだな、清盛も消えて、俺もいなくなったら、コレが平家の棟梁になるからなんだよ!」

 その『コレ』と指差された人物――知盛は、眠そうに欠伸を噛み殺している。

「いいか望美。俺はひっじょぉおおおに不安だ。お前と知盛が平家の棟梁夫妻になるかと思うと、とてつもなく不安だ。正直、不安過ぎて帰れねぇ」

 そう。もっと正直なところを言えば、将臣は不安で胃が痛くなりそうだった。
 この数年間必死で守ってきた平家を知盛と望美に預けるなんて、こんな恐ろしい事があるだろうか。独りで茶吉尼天と戦った方がまだマシだ。……将臣の不安は、妙にプラス思考な幼馴染を見るたびに一層深まった。

「あはは、大丈夫だって将臣くん! 知盛はやる気になれば出来る男だよ多分!」
「その「多分」で安心出来るほど俺は簡単な奴じゃねぇんだよ。……まあ知盛はそこまで馬鹿じゃねぇとは思ってんだが、望美、お前がなぁ…………」
「えーっ!? 失敬な、将臣くん。これでも数多の修羅場を潜り抜けてきた白龍の神子なのに」
「修羅場の種類が違うんだよ」

 それに望美の場合は潜り抜けてきたと言うより、修羅場を激走して突き抜けたと言う印象だ。……ついて来るのが体力自慢の八葉であったから良いものの、そうでなければどうなっていた事か。

「つーわけでとにかく俺は残る。特に望美、お前を躾けるまでは残る」

 ぶーぶー文句を垂れる望美は無視し、将臣は「いいな」と知盛を見た。いや、睨んだ。
 ……知盛は殺気立ったその視線が嬉しかったのか、薄く笑みを浮かべて将臣を眺め返した。

「……『兄上』の仰せのままに」

 ――その瞬間、何故だか将臣は、ひょっとして「残る」と言ったのは間違いだったのではないかと強い後悔に襲われた。
 要は、望美とじゃれ合うのは(斬り合いもじゃれる内に入っているらしい)楽しいからいいが、望美を平家の妻たるに相応しい女に教育するのは面倒だから、知盛はそれを将臣に任せてしまおうとわざとグータラ過ごしていたのではないか……と。
 それくらいの事、知盛なら企みそうで、でもそれすらも面倒がりそうで……。相変わらず読めない『弟』を前に、将臣はがっくり項垂れた。……俺の幸せはどこにあるんだ?

「まーでも将臣くんがいてくれるのは嬉しいな。よろしくねー『お兄ちゃん』!」
「……………………知盛」
「クッ……お前は俺の『兄上』なのだから、こいつにとってもそうだろう……?」

 良かったじゃないか、探していた幼馴染殿と一緒に暮らせるんだ、と鼻の先で笑われた将臣は、扱いきれない『弟』夫婦の居室から頭痛と言うお土産をもらって立ち去った。
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  1. 2009.08.03(月) _21:26:25
  2. SS<遙か3>
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