善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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リレー連載『偽りが変化(か)わるとき』~砂漠編~ byすーさん

リレー小説第36話!すーさんの番でございますーv
今回のお話を読んで、あー来たわー来たわーと何故か今から心臓がバクバクしてきました…。←えっ

※このSSへの感想は、拍手コメントでなく、コメント欄に公開コメントでよろしくお願い致します。(そうでないと、すーさんやsakiさんからお返事がしづらいのでv^^v)


* *


「おーい、こっちにも酒と肴をくれー」
「こっちもだ!」

久しぶりに明るい雰囲気を取り戻したソファ母子の旅閣は、外に卓を出して祝賀会を開いていた

助かった商人達は元より自警団の面子も揃い大人数なのだが、それにもまして久しぶりの皆の笑顔に誘われたのか・・・・・・近くの宿屋からもぞろぞろと人が集まり始め、収拾がつかないほどに騒ぎが膨れ上がる

何といっても、あの諸侯から無事に逃げてこられたのはトンマン達が初めてなのだから。。。

トンマンはここぞとばかりに料理を作り、酒を出し商売に励む

「兄さん、これ出して~~~」
「わかったから、んな大声出すなよ」

「お酒もよ」
「分かった!」

「オジサン!注文とって!」
「おう!」

厨房ではトンマンが料理を作り、ピダムが行ったり来たりして運んでいたが手が足りない
チルスクも駆り出されたのだが、その顔は普段よりも険しさを湛えていた・・・・・・元来が苦虫を噛み潰してる表情しかせず、唯一触れ合う時間の長いトンマンが分かる筈なのだが、彼女は忙しさでそれどころでは無かった

チルスクは隙を見て旅閣の中を探るつもりでいるが、今は騒がれないためにも手伝うことにしていた・・・・・・理由をつけてはいたが今は、無心に手伝いたかった

ザズもピダムに駆り出され卓の間をヒョイヒョイと廻っては料理を運んでいるが、如何せん疲れた

横を見れば運んだ料理が自警団の連中の胃袋へと次々と入れられていく・・・・・・運んでも運んでも運んでも、追いつかねぇぇ~~~と心の叫びを上げているザズ

「親父~料理を運んでも直ぐに無くなっちまうよ~  皆底無しなんだけどさ~ 誰か運ぶの代わるか、食べるの止めてくんない?」

息子のこの言葉にアサドが腹の底から笑う、豪快な笑い声が外にも関わらず辺りに鳴り響く

「そりゃ~悪かったな! コイツらも朝からばたばたしちまって食ってないんだ! 砂漠の男は胃袋も流砂の様に底無しなんだ!」
「団長!料理はいいけど酒が底をつきそうだ!  ウチの旅閣の酒を飲み干すつもりですか?」

ピダムも料理を運びに来て話に加わり自警団の皆を横目で見る・・・・・・その口は料理を飲み込むも、水のように酒を飲み干す方が早かった

「お? そうか、アイツらは酒も水代わりに呑んじまうからな~~~  悪いな」

「あっ!  兄さんもザズもここで油売ってたの?  儲け時なんだから早く料理とお酒!運んでよ!」

運び手が減ったことに察しの良いトンマンが厨房から探しに来て、兄を叱りつけているのはいつもの光景なのだが・・・・・・横からアサドが、トンマンの肩を掴んで自分の隣に座らせた

「団長?」
きょとん、としたトンマンの顔を見るアサドは、まじまじと彼女の顔を見る

(こんな娘があの諸侯と渡り合えたとはな・・・・・・中々に胆の座ったヤツだな)

「トンマン、自警団の団長として言わなきゃならねぇ事がある」
「(叱られるな~)・・・・・・はい」

「お前さんと兄のピダムは茶葉を商うつもりだったな?」
「はい」
「だが、あの諸侯が居るときにしなくてもいいんじゃねぇーか?」

酒を呑み、豪快な笑い声を上げる朗らかな男は、今、トンマンの目の前で街を護る自警団の団長へと瞬時に変わっていた

厳しい視線に真っ向から射抜かれて、さすがのトンマンも首を竦めてしまう

「商いはいいさ・・・子供だがピダムとトンマンはちゃんと商いの仕方を心得ている・・・・・・だがな」
優しくなった声に顔を上げると、ギロリと睨むアサドの目と目が合う

「だがな、あの諸侯絡みの今のこの時に、わざわざしなくったっていいんじゃねぇーのか?」
「でも団長!  私はカターンおじさんを助けたかったの!  一年かけて此処に来て、一年かけて国に戻るカターンおじさんに茶葉を持ってってほしかったの」

勝ち気なトンマンが涙ぐむ様に、隣でウンウン頷いていたピダムがギョッとして目を剥いて・・・・・・態度を一変させてアサドを睨み付けてくる

(まったく甘えーよ、ピダムよ)

妹想いのピダムを思い、アサドはそろそろ説教をしまうかと内心つぶやく。。。

ピダムばかりじゃなく周りの街の連中からも『もういいだろ』と、視線が集まる事にトンマンの人気者ぶりが窺えてアサドはまたもトンマンをじっくりと見つめた

(コイツはすげぇな・・・・・・周りの連中から慕われるなんぞ只者で済まない娘だな。・・・・・・将来、コイツは化けるぞ)

トンマンを見つめたまま冷静に考えていたアサドは、潤んだ瞳の彼女の頭に・・・・・・ポフッとその分厚く大きな手をのせ、ぐりぐりと撫で始めた

「今回はトンマンの知恵で皆を救うことが出来たから、見逃すが次は無いぞ・・・・・・もっと危険のない諸侯のときにしておけよ」
「・・・・・・はい」
こくんっ!と頷く素直さも可愛くて、アサドはまたトンマンの頭をぐりぐりと撫でる
トンマンもトンマンで、その大きな手の感触が嬉しいのか目を細め笑っていた

(・・・・・・父さんがいたらこんな風に頭を撫でてくれるのかな)

兄に撫でられるのとは違う感触を堪能していたトンマンだが、料理を出してくれと言う客達に厨房へと戻って行った・・・・・・名残惜しそうではあったのだが

*****

それからもバタバタと料理を作り、出していく中で旅閣の思いがけない繁盛のざわめきにソファも床から起きだし料理を作り始めた

トンマンとピダムは心配したが・・・案外、発作が起こった後はいつも通りとはいかないまでも、動けるようになるソファに兄妹は無理しないようにと注意しながら受け入れたのだった

料理上手なソファだが、酒が底をつきそうな勢いには困ってしまった・・・・・・

ソファが弱っていると、厨房に近付いてきたアサドが自分の家にある酒を使えばいいと申し出てくれた

「ありがとうございます・・・・・・でも本当にいいんですか?」
「いいってことよ!  どうせアイツらの胃袋へと流れるだけだろうさ」
「でも・・・」
「ソファ・・・今日くれぃ、いいじゃねぇか・・・今日くれいはよ」
アサドの言いたいことが分かるのか、ソファは黙って頭を下げた
「そんなら酒を取りに行かせるか!  おい、ザズ!!!」
「親父!なんだよ」
「家に酒があっただろう・・・あれを取ってこい」
「え?  ああああ・・・あの重たい一斗樽を?俺一人で?」
「腕力付けろ坊主」
「無理無理無理~~~・・・ピダムと馬車で運んでくるよ」
「まぁいい・・・早くしろよ?」

早くしねぇと宴が終わっちまうからな・・・・・・がははっと豪快に笑いながら、この旅閣とは反対方向の街の外れにある自分の家を思い・・・・・・溜め息を一つ吐くザズでした

宴も最初の頃の慌ただしさが落ち着きを迎え、ピダムとザズが抜けても大丈夫と判断したトンマンが二人に酒を取りに行かせた

「オジサン、料理上がったよ!  あれ?  オジサン?」
トンマンが作った料理を運ぶのにチルスクを呼ぶが、彼は居なかった

しょうがなしに自分が運ぶも、ソファからトンマンも夕食を取っていいと言われた事もありカターンを探した

「カターンおじさん」
自分の夕食を持ったトンマンがカターンの卓に座ると、彼はにこやかに笑って・・・・・・

トンマンにまだ言い足りないと説いて聞かせるのだった

(もう、勘弁してよぉぉぉ~~~)

星空が見え始めた砂漠の夜に、トンマンの胸の中の叫びが吸い込まれそうだった

*****

「もっと叱ってやって」
ソファがカターンに搾られているトンマンの頭を優しく小突いて、料理を運んでいる頃・・・・・・旅閣の中にはチルスクが、居た

彼は旅閣の窓からトンマン母子を眺め、すっ・・・と暗い部屋の中へと消えたのだった

誰にも見咎められず、誰にも気取られず、己が気配も存在も消して任務にあたる昔に戻っていた

旅閣の外の卓には一時期よりも人が減ったが、酒の酔いが回った客達はまだまだ賑やかだった

「いやいや、トンマンはよくやったよ」
「トンマンは頭の良い賢い子だよ」

カターンの商団の中のしたたかに酔った一人が、彼の説教を終わらせ同じ卓についた

手には酒瓶を持ち赤い顔をしながらも、気分良い顔をしている

「ところでチルスクは?」
「おじさん?  どこかな?」

キョロキョロと見渡すトンマンに、カターンが少し詰めよりチルスクの事を聞いた

「なぜ彼は、こんな奥地まで来た?」
「チルスクおじさん?」

その途端、トンマンの瞳が煌めき始めた・・・・・・

「あの人はね・・・・・・耳を貸して!」

トンマンの言葉に大人達が身を寄せあい、彼女の言葉を聞いている

「おじさんはね・・・・・・砂漠の向こうの鶏林からやってきたの」

「すごく腕の立つ武士だそうよ」
「武士?」

「本当に?」
「本当よ!」

トンマンの声が大人達の関心をさらっていく頃、話の人物は・・・・・・

チルスクは灯りを付け、母子の部屋を探っていくのだ・・・・・・

小引き出しを次々と開けていくなか、目星しい物も見つからないが・・・・・・チルスクは爛々とした目で怯むことなく探っていく


自分が納得できる物が出てくる期待と、出てこないで欲しいという希望を飲み込みながら・・・・・・確かめずにはいられない

15年・・・・・・この月日が、ただひたすらに真実を知りたい彼を向き合わせていたのだった

*****

「赤ん坊は・・・泣くのが当たり前よね」
「そうさ、どの国の赤ん坊も泣く」
「だから泣き声をたどれば簡単に見つかる」

その卓はトンマンの独壇場と化していた
彼女の話しに夢中になるカターン達・・・そしてカターン達の様子にますます得意気に話すトンマン

その声は物語を語る饒舌さで、熱意で、皆を夢中にさせながら紡がれている

「だけど泣き声が聞こえない」
「なぜ?」
「さぁね」

えへへ・・・と誤魔化し笑いを浮かべるトンマンに聞き手は焦れて先を急がせる

「それで?」
「それで、おじさんは山の中をぐるぐる歩いて捜し回ったの」
「それから」

「洞窟を見つけたんだって」
朗らかなトンマンの声とパチパチと松明の枦る音が、酔い潰れた客達の間を駆け回っている

ソファは娘がニコニコと笑う様子に、自身もやっとホッとした微笑みを浮かべていた・・・・・・そのソファの耳に、飛び込んできたのは。。。

「彼が赤ん坊と侍女を捜していた理由は?」

ぴくっ・・・・・・

「さぁね、理由は聞いていない」
トンマンが肩を竦めるのをソファの戸惑う目が見つめている

「火をつけろと命令しても、山の中じゃ火は簡単に起こせないよね」
「それで、どうした」

「部下が一生懸命に木をこすったの!  そして火がついた」
ソファが誘われるようにトンマンの話を聞こうと、ふらふらと近寄る様子にアサドの目がいった

(ソファ?  どうしたんだ・・・)

「燃える松明を一本、二本と投げた」
トンマンが松明に見立てた箸を、卓に一本づつ放っていくカラン・・・という乾いた音がする

ソファの顔が、僅かに恐怖の色を滲ませているのをアサドの目ははっきりと捉えた

「でも赤ん坊の声は聞こえない、洞窟にはいないのかと辺りを見回ったんだって」

《カシャッ・・・》
震えたソファの手から酒瓶が滑り落ち、地面に乾いた音をさせる

(ソファ・・・・・・一体?)
アサドがトンマンの卓へと移動しようと立ち上がった、その時・・・・・・

「い、今なんて?」
「間抜けな侍女が自分の喉が傷つくのもいとわず、赤ん坊に息を吹き込んだって・・・」
母の怯えた様子にトンマンが戸惑うが、次にはソファに「おいで」と腕を掴まれた

その場の全てを放り出したソファは、トンマンの手を引いて 旅閣へと戻っていく

その尋常ではない様子にアサドがカターンの肩を掴み、何を話していたのかと聞いている

「な、何って」
「全て話してくれ、あんなソファ初めて見たんだ」
(・・・訳ありとは思っていたが、何か動き出したのか?)

アサドは旅閣へと目をやりながら話を聞いた


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  1. 2012.02.14(火) _08:00:00
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