善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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連載『再来』第2話

ポッターモアというサイトを皆様ご存知でしょうか(・∀・)
ハリー・ポッターの作者さんが作った無料ゲームサイトなんですが(もちろん日本語版ですw)、そこで寮に入れたり、杖を選んでもらえたりするんですよーv 早速やってみたら、なんと私は、

●スリザリン
●不死鳥の羽、黒クルミ材

でした。ヴォルデモートまであと一歩!(ノ∀`)(爆)
ハリー・ポッターをご存知の方、心理テストとしてもよく出来ているので、オススメですv そして、もしスリザリンの方がいらっしゃったら、こそっと教えていただけたら嬉しいです(笑)


さて、まだコメントへのお返事が終わっていませんが、この第二話までが「序」な感じなので、先に更新致しますー。(第一話に拍手やコメントをくださった方々、ありがとうございました! 後ほどお返事しますーv)



* *


「公主様、これを」

 アルチョンの差し出した女王からの親書は、公主に降り注ぐ花弁と同じ色の錦に包まれていた。

「陛下より親書を賜って参りました。無事の到着を心より嬉しく思っているとの仰せでございます」

 翡翠の薄絹を垂らした笠を被ったスンマンは、その親書に暫し視線を落としたまま、手を伸ばさない。代わりに、リボルが一歩前に進み、一礼してからそれを取った。その様子を、チュンチュは聊か意外な思いで見た。
 ――女王からの親書と聞けば、我先にと手を伸ばすものだが。
 スンマンには、その意志がないのか。幼くして父を喪い、母をも喪った今、この少女には生き馬の目を抜くような徐羅伐で生き残るだけの気概も器量もないのだろうか。せっかく最後の聖骨に生まれたというのに、それを意識も自覚もせずに生きるつもりなのだろうか、この娘は――。
 考えてみれば、それも悪い話ではなかった。聖骨であるというだけで、この娘は彼の邪魔になる存在だ。無力であればそれでよかった。けれど、チュンチュはどこかしら失望している己に気がつかないわけにはいかなかった。

(私は、陛下と同じような娘かもしれないと期待していた……)

 あるいは、己と同じような娘でも良かった。いずれにせよ、彼はスンマン公主に対して、王位に強い意欲を持ち、胸に大志を抱く娘であることをいつの間にか期待していたのだ。しかし、今、彼が目にしている娘は、姿を隠し、言葉も口にしない、意志表示のない人形に過ぎなかった。

「父上。公主様はお疲れの御様子です。親書のことは、また明日に」
「そうか。確かに夜も更けました。公主様、今宵はゆっくりお休みください。今日からはこの沙梁宮が公主様の宮でございます」
「……はい」

 やっと耳にした蚊の鳴くような声を聞きながら、チュンチュは切れ長の双眸を鋭く細めた。



 アルチョン、チュンチュと別れたスンマンは、私室に入ってもだんまりだった。笠も取ろうとしない。
 けれども親書を握りしめたリボルは、スンマンと二人きりになるなり、彼女の前に立ちはだかって声音を強めた。

「公主様。何故、道中刺客に襲われたことを父に仰らないのですか!」
「……」
「公主様! また物事を軽くお考えになっておられませんか? いいですか、あの連中は、本気で公主様を殺そうとしていました。私の郎徒の中には、重傷を負った者もいます」

 あの父にしてこの子ありの典型例であるリボルは、父アルチョン、さらには外祖父ムンノに似て、一度説教を始めると頑として譲らない。そしてその性格を熟知しているスンマンは、一度は鬱陶しそうに溜め息を漏らしたものの、リボルが片腕を掴んでくるや、それを振り払って自ら薄絹をわっと持ち上げた。

「リボル! これでも軽く考えていると言うの? 私の顔は返り血だらけよ」

 宣言通り、スンマンの色白の肌には真紅の斑点が飛び散っていた。加えて、燈明の下で見ると、スンマンの蒼白な体は指先まで震えていた。先刻、何も言えず、親書にも手を伸ばせなかったのは、とてもそんな余裕がなかったからだ。
 そこでようやくスンマンの隠していた恐怖を察したリボルは、振り上げた拳の処理に困ったかのように目を彷徨わせ、スンマンの顔にさっと手を伸ばした。兎にも角にも返り血はまずいと袖を引っ張り、拭おうとしたのだ。が、その手は当のスンマンからあっさり払い除けられた。

「リボル郎。あなたも返り血が残っているし、その袖、汗でぐっしょり濡れているでしょう。どこか怪我は?」
「していない……と、思います」
「ちゃんと郎徒に見てもらいなさい。昔から、小さな怪我だと気がつかないんだから……。それと、郎徒達にも十分な手当てと報酬を与えるように。侍女にも命じておきます」
「……はい」

 昔から、口喧嘩でもリボルはスンマンには勝てた試しがない。ついでに、こうして心配されることにも弱かった。
 一方、スンマンは女王の親書にようやく手を伸ばすと、素早く一瞥した。

「公主様。陛下はなんと?」
「……公主が来てくれて嬉しい。これからは私を父とも母とも思い、頼って欲しい。落ち着かれたら、ぜひお目にかかりたい」
「陛下はお優しい方ですね」

 さすがに道中の危険に神経が立っていたリボルは、徐羅伐の主が逸早く好意を示してくれたことにやっと安堵の息を漏らした。父アルチョンと内省私臣チュンチュに対面していた間も、外ではいつ襲われるかわからないと気が気でなかったのだ。
 だが、スンマンは全く表情を緩めなかった。むしろ、その顔には緊張の色が増した。

「……それはどうかしら」
「公主様?」
「……リボル郎」

 けれどもついに己が抱えていた危惧については何も口にせぬまま、スンマンは悪戯っ子のように口の端を上げた。

「陛下が頼って欲しいと仰ってくださったのだから、一つお願いをしようと思っているの」
「何を願われるのですか?」
「あなたの飛天之徒を、徐羅伐の花郎にしてくださるよう、お願いします」
「私の飛天之徒をですか」
「昔から、徐羅伐の花郎徒に入りたいと言っていたでしょう。今日、私を救ってくれた褒美に、それを叶えます」

 スンマンは、一度口にしたことは叶える性格だから、それが叶うことは間違いない。とはいえ、功績がなければ徐羅伐の花郎にはなれない。それは、ユシンが徐羅伐の花郎に認められた頃から変わらなかった。

「では、陛下には刺客のことを申し上げるのですね」
「それは言いません」
「公主様!」

 では、いったい何の功績で花郎徒に入れさせるつもりなのか。いや、それ以前に、女王にも刺客のことを告げないとはどういうことか。このままでは、公主を守るための何の手も打てない。
 再びリボルの説教が始まる気配を察したのか、今度はつぶらな双眸が強く彼を見据えた。

「リボル郎。刺客のことは、私がいいと言うまで、誰にも口外しないように」

 その眼差しの鋭さは、これまで彼が見たことがないほどのものだった。だがその鋭さよりもリボルの背筋を震えさせたのは、桃色の唇がうっすらと湛えている微笑だった。

「私を殺そうとしている輩がいるのは間違いありません。それが誰なのか……まずは、それを見極めます」
「公主様。まさか……一人で刺客の正体を探るおつもりですか!? 危険です!」
「一人ではないでしょう」
「誰を味方に?」
「誰って」

 そこで、じっとスンマンに見つめられたリボルは、一拍遅れてようやくその意図を察した。

「私だけですか!?」
「だって、他にいないじゃないの」

 急に駄々っ子のような口調に戻ったスンマンは、唇を尖らせてリボルを見上げた。

「アルチョン公は陛下に言ってしまうかもしれないし、真骨の内省私臣は、聖骨の私を目の敵にしていてもおかしくないわ。陛下はその内省私臣を後継者にとお望みなんでしょう?……私なんて、いない方がいいとお考えかもしれない」
「公主様! 父は、陛下は本当に公主様にお会いすることを楽しみになさっておられると――」
「私だって、そうあれかしと思っているわけではないわ。ただ、その可能性が皆無ではない以上、申し上げるわけにはいかない。……それだけです」
「公主様……」

 ――そんな風に、痛ましげに見ないでよ。
 自分ではそんなつもりもないのに、リボルの声を聞いているとなんだか無性に泣き出してしまいそうで、スンマンは殻に籠もるように少しだけ俯いた。そうすれば、彼女と違って立っているリボルは顔を覗き込むことも出来ないし、これ以上何か話をしようともしないだろう。
 そこで、ようやくスンマンはずっと指先に体温が戻らない理由を知った。
 ――私、泣きたいのかもしれない……。
 怖かった。どうして刺客が襲ってきたのか、咄嗟に混乱するほど驚きもした。この年で両親を亡くしたとはいえ、二人とも暗殺されたわけではない。病で世を去ったのだ。あのような剣劇を見たのは、生まれて初めてだった。

(あの書簡に書いてあったことは、やはり私のことなの……?)

 母ウォルミョン夫人がなくなった時、形見分けとして遺されたものの中に、母が女王に差し上げた文の写しがあった。母が日頃から使っていた鏡や、簪、紅などの中でその文は酷く目立っていたから、思わず手に取ったスンマンは、当初、そこに書かれていることが己のことだとは思わなかった。何故なら、そこに書かれていたことは、母が女王の産んだたった一人の娘を育てており、その誕生日の贈り物を女王が寄越したことへの返礼だったからだ。

(てっきり、私の知らないところで母上が面倒を見ていた方がいたのかと思ったけれど……)

 わざわざその文を己に残したことを、不思議に思っていた。女王に会ったら、そのことを聞いてみようかとも考えていた。出来るなら、母に代わって引き続きその方の面倒を見ることを伝えるつもりだった。
 だが、刺客に襲われた瞬間、スンマンは直感した。

 ――陛下の一人娘とは、私のことだったのだ。

 いったいどんな事情があって、今のようなことになっているのか、今は見当もつかない。もしかしたら、刺客は己が女王の娘だからではなく、ただ単に最後の聖骨だから襲ったのかもしれないし、兎にも角にも、何が真実なのかを見極めるには、あまりに手掛かりがない。それに、己が女王の娘だと言うなら、「父」は誰なのだろう。幼い頃に病で倒れた父ククパンなのだろうか。それとも、スンマンの全く知らない誰かなのだろうか。もしかしたら、己の守り役であるアルチョンがそうなのだろうか。
 そこまで思い至って、スンマンは弾かれたように面を上げた。リボルは、まだ心配そうに彼女を見下ろしていた。

(リボル郎が、私の兄ということもある……?)

 その割には、ちっとも似ていない――と少しだけ心の中で笑ってから、スンマンは息を呑んだ。

(そうだ。陛下には、王配がいらっしゃる。司量部令ピダム公が……)

 王配になるのに伴い、名前もヒョンジョンから今のピダムに改めたという男。女王が公主だった頃から傍にいて、常に女王を支えている徐羅伐有数の重臣。もしかすると、彼が父なのだろうか。もしそうなら、己にはまだ父も母も生きているということになる。これまで、一度も会いにも来てくれなかった、父と母が――。

(でも、違うかもしれない……)

 もし女王の娘だったとしても、父が司量部令でないなら、彼はきっと女王の一人娘を疎ましく思うだろう。いや、思っているだろう。冷酷無比とも聞く。刺客だって送り込むかもしれない。
 ――いったい、誰を信じればよいのだろう? それとも……誰も信じてはいけないのか?
 誰かに道を訊ねたかった。けれど、誰にも問うことは出来なかった。そのような宿命に置かれたことを、この一夜が叩きつけてきたのだ。



「しくじった?」

 例年通り女王の生誕日の宴などには臨席しなかったヨムジョンは、傷を負った部下を相手に、小柄な体に相応しからぬ眼光をさらに険しくした。

「飛天之徒の郎徒がそれほど強かったのか?」
「それもありますが……」

 と、男が言葉を濁したところで、ひょいっと襤褸を纏った一人の青年が入室した。

「俺のせいです。てっきり、ヨムジョン様とは関係のないことだと思って、つい。へへっ」
「おっ、お前……!」

 その顔を見た瞬間、ヨムジョンは心の臓が飛び出るかと思うほど驚愕した。何せ、その青年は、若い頃のピダムそっくりな顔立ちをしていたのだ。しかし、慌てて椅子から立ち上がったヨムジョンを見て、青年もまた驚いていた。

「へ? ヨムジョン様、俺がわかるんですか? 十年振りですよ。それに、俺、すっげえ変わったでしょう?」

 が、そう言ってぽりぽり頬を掻く姿は、まるでピダムには似ていない。
 ――ああ、なんだ別人か。
 ホッとしたような残念なような、忙しない鼓動を抱えながらヨムジョンは首を振った。

「いやいや、わからん。お前は誰だ?」
「だろうなあ。あ、俺、チギです。俺のお仕えしてたキョギ王子が海の向こうに逃げるってんで、そりゃついていけねえやと思って百済から戻ってきました。へへっ。ヨムジョン様、すみません、次の仕事ください」

 その口上を、ヨムジョンはぽかんと間抜け面を晒しながら聞き終えることとなった。
 そう、確かに彼はこの青年、チギを知っている。いや、正確には子供の頃の彼を知っている。商用で党項城に滞在した際に、父を知らず、遊花の母も亡くして流れ流れた末に城下でスリを働いていた少年の彼を。恐ろしくすばしっこくて悪びれない、その気質を気に入ってフンミョン団の密偵に取り立て、百済に送ったことは、ヨムジョンの脳裏に鮮明に焼き付いている。
 しかし、ウィジャ王の弟キョギの宮で雇われるよう手を打ったチギが、まさか他の密偵とは行動を共にせず今になって帰ってくるとは、予想だにしないことだった。

「チギ。お前、何故他の密偵達と帰ってこなかった」

 その密偵達は、ウィジャ王の追手に襲撃され、ろくに生き残らなかった。つい先程も、酷い目に遭った密偵の一人が司量部で息絶えたばかりだ。
 チギは「へっ?」と瞳をまん丸にしてから、こてんと首を傾げた。

「なんでって。そりゃ、ぞろぞろ歩いてたら、見つかりやすいんで。それに、もしキョギが新羅に逃げるってんなら、手引きしてやらないとと思って」
「……なるほどな。うん、うん、よくやったなチギ」
「自分でもそう思います。へへっ。あ、そうだ。それで、徐羅伐に来る途中で、なんか襲われてる一行を見かけたんで、つい助けたんですよ。次の勤め先になるかもしれないと思って」

 ――無邪気な顔で、いやらしいことを言いやがる。
 いつの間にか、ヨムジョンは背後で腕を組みながら笑みを浮かべていた。すでに部屋の中には二人きり、チギは卓の上にある肉にかぶり付いている。ヨムジョンを前に、仕事の報告はしても、敬意を払う様子が全くないのは昔と変わらない。

「あれ? 殺すべきでした?」

 しかも、無邪気に問うところがまた、ピダムを思い起こさせた。今はもうそんな可愛げはないが、ムンノと旅をしていた頃のピダムには、茶目っ気があったものだ。そして、こちらが寒気を覚えるような残酷さも。

「いや、まあいい。それよりチギ、お前、剣も覚えたのか? 刺客を倒すとは」
「うーん。剣術っていうか、キョギ王子がイロイロ熱心だったもんで、あれこれ覚えました。で、ヨムジョン様、次はどこに?」

 ――次か。

「少し考えさせてくれ」

 顎鬚を撫でながら、ヨムジョンは暫く沈思した。この面白い男を……それも、ピダムに酷似している男をどう使うかを考えるのがとんでもなく愉快な時間であることはまず間違いない。チギの助けた最後の聖骨の元か。それとも、ピダムの元か。チュンチュのところにやってもいい。あるいは……。
 その時、ヨムジョンの脳裏に一人の人物が雷光のように煌めいた。
 ――そうだ。この男をただの密偵として使うのは、あまりに惜しい。

「チギ」
「はい」
「お前の次の勤め先を決めたぞ」
「よっしゃ。どこです?」
「これまでより、ずっと大物のところだ。今度は暫く準備をするぞ」
「大物……?」

 ――王子より大物?
 きょとんとするチギに、ヨムジョンは歯を見せ、満面の笑みを浮かべた。

「チギ。お前の次の獲物は、女王陛下だ」
「女王……」

 チギもまた、日に焼けた顔に夢見るような瞳を湛えて、にっこり笑った。









第二話は、スンマン、リボル、チギの三人を中心にお届けしました。↓の画像にある通り、スンマンはポリャンの人を、リボルは美男ですねの主役の軍足さんを(またまたこの御方ですみませんw)、チギは初登場時のピダムをイメージしております。(二度目の軍足さんなのは、私に韓国の若い役者さんの知識がないからですー(ノ▽`;))
この連載は、この新キャラ三人と、トンマン、ピダム、チュンチュを中心にお届けすることになるかと思いますv

迷宮ピダムの乱

○主要人物(年齢は数え年)
キム・トンマン(金徳曼):40歳。新羅の女王。
キム・ピダム(金毘曇):41歳。司量部令。王配(女王の夫)。
キム・スンマン(金勝曼):18歳。真平王の同父母弟・国飯葛文王の娘。
※↑上段の3人。
※↓下段の6人。
キム・ユシン(金庾信):38歳。兵部大監、上将軍。
キム・チュンチュ(金春秋):26歳。内省私臣。
チギ(志鬼):20代前半。遊花を母に持つ青年。
ソ・アルチョン(蘇閼川):41歳。侍衛府令、大将軍。
ソ・リボル(蘇利伐):19歳。アルチョンの嫡男。ムンノの外孫。

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  1. 2013.12.09(月) _20:00:00
  2. 迷宮版ピダムの乱『再来』
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