善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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リレー連載『偽りが変化(か)わるとき ~砂漠編』  by すーさん

『うた恋い。』と言う漫画がありまして。カバーイラストが好みだし内容的にも気になる漫画なのですが、高いので買わないでいたんです。この間出た三巻が清少納言と聞いて、買う気がむくむくと湧いてきています。清少納言好きなんですよー!(落ち着け)
うーんうーん…でもきっと、一冊買ったら全部揃えたくなるんだろうな…w


続きは、私の物欲とは全く関係のないリレー小説の続きですvv
今回の担当は、すーさんです!なので、拍手コメントでのご感想は、ご遠慮頂けると助かります。(くどくど失礼しました…!)


*****


ぐわぁ~ ぶひぃ~・・・・・・

駱駝の不満そうな鳴き声に宥めつつもトンマンは、兄ピダムに言われた《東の岩窟》を目指して夜通し歩いていた

砂漠の朝は明け・・・・・・  今や眩い光が凶器のように容赦なくトンマンの体に降り注ぐ

「母さん、大丈夫?」
駱駝の背に小さく丸々ようにしがみついている小柄なソファに、聞いてはみるもトンマンの耳に聞こえるのは・・・・・・朦朧としたソファの埒もない言葉ばかり

「・・・・ピダム 一緒に行かなきゃダメよ  だめなのよ・・・・・・」

もはや譫言か寝言か分からないが、ソファはぶつぶつと呟いている

一先ず生きている事が分かり、トンマンは休みたがる駱駝をどおにか宥めつつ先を急いでいた

ぐぁるぅぅぅうう~~~

その矢先、大きな声を上げた駱駝が急に止まり、勢いよく《どたっっ》と音がして座ってしまった

その勢いに背に乗っていたソファが《ぽてっ》と地面に振り落とされてしまう

「母さん!  母さん!」
駆け寄るトンマンにもたれたソファは、荒い呼吸音を繰り返すだけ・・・・・・

東の岩窟はもう少し先だが、ゆっくり歩いて行っても暫くで着くはず・・・・・・トンマンは母を抱えるように支えながら、歩き出すのだった

「もう! あんたのせいよ!  この頑固者・・・・・・べぇーーーだ!」

駱駝という生き物は頑固で言う通りには動いてはくれない、知ってはいても今だけは動いて欲しかったトンマンは駱駝に《あっかんべぇー》をして少しウサを晴らした

トンマンはまだまだ、あどけない少女なのだ

ぶへぇ~~~

駱駝の声が背中から聞こえてきたが、二人は振り返らずにヨロヨロと進んで行ったのだった

*****

ざっざっざっざっざっ・・・・・・ざっざっざっざっざっ・・・・・・ざっざっ・・・・・・

「「はぁ・・・はぁ・・・」」

あれからどれだけ歩いただろうか・・・・・・近いと頭の中で思ってはいても、容赦ない日射しにみるみる体力が奪われる

二人の荒い呼吸と砂を歩くときの音以外は聞こえない砂漠で、母子は懸命に進んでいる

「ああ゛!!!」

急に足が縺れたソファが砂漠でスッ転び、腕や身体を支えていたトンマンも道連れに地面に座り込んでいた

「母さん! 大丈夫?」
「もう・・・・・・進めないわ」

「東の岩窟はもう少しだよ!  ほら、あそこの!  見えるでしょ?  あそこまで頑張って!」

ソファは虚ろになる目をトンマンに向けた

「いつも私は・・・・・・お前のお荷物ね」
「砂漠で泣いちゃ、だめだよ母さん!  水が足りないのに体から水分が出ちゃう」

ぐったりしたソファの様子にトンマンは、背に担いでいたリュックを前に回し母を見た

「おんぶする!!!」
「お前には、無理よ」

トンマンは怖かった・・・・・・
母がいつ自分をここに置いていけと言い出しそうで・・・・・・言い出せば気弱なくせに頑固な母は、頑として動かなくなる

砂漠は弱った者には苛烈な場所・・・・・・それは《死》に直結しているのだ

「母さんは、お荷物でしょ・・・・・・だから背負ってあげるの」
「分かったわ」

僅かに微笑んだソファはトンマンの成長を喜んでいたのだろうか・・・・・・おずおずと、トンマンの背に身を委ねた

「兄さんが来るまで、私が母さんを守るから!!!」
「トンマン、ありがとう」

ソファをおんぶしたトンマンが、東の岩窟に着くまでには・・・・・・あともう少し

*****

「これくらいありゃ~ 暫く生活には困らないな」

ピダムは箱を駱駝に積んでから、街中の彼方此方に散らばる金子を集めながらトンマン達の後を追っていた

散らばっている金子とは、旅閣の食堂で飲み食いしツケ払いになっている馴染み客から払ってもらっていたのだった

どうせ旅閣の中の金目の物は灰になったことだろう、ならば生きた者から集めるしかない・・・・・・街を出る腹をくくったピダムは素早く計算したのだった

逞しい生活力の持ち主のピダムは街を出た後の、母と妹と自分を生かす術を冷静に考え僅でも足しになるよう・・・・・・かき集めていた

見事としか言いようがないだろう

・・・・・・ちなみに今、横に歩いている駱駝もツケの払いに頂いたものだった

そしてピダム自身が街の空き家に隠していた金子やら何やらを回収し、駱駝に積みこんだ

駱駝の背には他にも食料に水とおぼしき荷物も積んである

砂漠の者でこれを疎かには出来ない・・・・・・ピダムは駱駝の背に乗せたそれらを見た

今まで住んだ街だ、顔馴染みの者で事情は聞かずに分けてくれる者が1人とは言わずに、居たのだ

このまま街を出るだろうソファとピダムとトンマンを心配し、だが決して事情を知ろうと探らずに・・・・・・

ある者は水のたっぷり入った皮袋を、ある者は干しナツメなどの携帯食をピダムの手に持たせたのだ

そうして彼等がかけてくれるのは、優しい言葉

「気をつけるんだよ・・・・・・あんたはソファとトンマンを守る男だからね」
「ほとぼりが冷めたら戻って来い!  いつだっていいんだぞ」

「ソファには良くしてもらったよ・・・・・・」
「トンマンはいつも明るくて、いなくなると寂しいやね」

自警団員として街には馴染んでいたとは思う・・・・・・だが、とピダムはかけられる言葉に戸惑いながら先を進んでいる

だが、自分はこれほど街の住人に慕われていたのか?

いや、違うな・・・・・・

慕われていたのはソファであり、トンマンである

困ったときには旅閣の勝手口からソファに呼びかけて、食べ物を分けて貰っていた人もいた

気鬱そうな店主にトンマンが、カラカラと笑い飛ばしながら喝を入れたりもした

ピダムは母や妹の人柄に胸をつまらせた・・・・・・自分もどれだけ母と妹の愛情に包まれていたかを感じる

「俺は あの二人を守らなきゃな!!!」

駱駝に飛び乗り街を後にしたピダムの顔には、大切な家族を守ろうとする男の気概が備わっていたのだった

「待ってろトンマン、母さん!」

ピダムは行く・・・・・・

ふつふつと胸を沸き立たせる熱い感情で、母と妹と一緒に生きていく為に・・・・・・

少年は、少し大人になりながら

ピダムの乗った駱駝は一直線に東に向かい、みるみる小さくなっていった

*****

翌朝、医者に手当てしてもらったチルスクとアサドの二人は、チルスクが先に目が覚めた

「目を覚ましたぞ」
カターンの声に周りの泊まり客達もホッとした声をあげた

「気がついたか」

ゆっくりと起き上がるチルスクの目には包帯が巻かれている

「医者が熱風で目をやられたと言っていた・・・・・・安静にしていないと視力を失うそうだ」

鶏林語で話すカターンの言葉を、大人しく聞いているチルスク

「一体、何があったんだ?」
「トンマンと宿の女主人は?」
「ピダムも戻らないぞ」

口々に訳を知らない泊まり客が話し出す、その言葉にチルスクは焦って目の包帯を取り去った

「行かねば!」
「無理だ」

「トンマンを捜す」
「・・・・・・何があったのか聞きたい  どうやら あの親子は、君から逃げたようだな  なぜだ」

カターンのいつもは柔和な瞳が、鋭くチルスクを探る

さすが砂漠を渡る商人、この時ばかりはカターンの威圧にチルスクは顔を附せた

「誤解だ  トンマンを父親のもとへ連れて帰る」
「父親? ピダムとトンマンの?」

カターンの訝しげな声に他の商人も不思議そうに見ていた

ずっと母と子と暮らしていたのに、急に父親と話しが出ても信じられない

チルスクを見つめるカターンの眼には鋭さが含まれたままだ

「どういう事情かは知らないが、今は行くな・・・・・・  砂嵐が迫ってる」
「無理だ、危ないぞ」

「どっちの方角だ」

カターンの言葉もチルスクの意志を揺るがすことは出来なかった

「どっちの方角だ」

静かに聞くチルスクにカターンは教えたのだった

「東の方だよ・・・・・・無謀にもろくな旅支度もせずに・・・・・・」

次の瞬間チルスクは旅支度を終えて立ち上がり、外へと出ていった

「何があったんだよ、トンマン・・・・・・」

旅閣が炎上しトンマン達母子が逃げ出した

そして宿を手伝っていたチルスクの豹変・・・・・・

カターン達は何が何やら分からずに、しかし母子が無事なように各々の祈りを捧げるのだった

*****

パチッ パチパチ!

どうにか岩窟に辿り着いたトンマンとソファは、火を起こし・・・・・・ピダムが隠していた金子と金目の物を掘り出し、トンマンのリュックにしまわれた

岩壁にもたれながら目を閉じ休んでいたソファが、むくり と起き上がる

「ピダムが来たら・・・・・・ローマへ行って」
それには構わずにトンマンは軽くなった皮袋を握り母を見る

「休んでいてね母さん   オアシスで水をくんでくるから」
「分かっているでしょ・・・・・・母さんは、もう無理よ  お前達二人でローマに行って」

その母の言葉にきつい顔をしながらもトンマンの支度の手は止まらない

「前はローマに行くなって言ったわ」
「カターンおじさんについていって・・・・・・ピダムが居れば心配いらないわ、あの子は驚くほど逞しいから」

母の言葉を遮るように・・・・・・少し怒りながらトンマンは言う

「私の祖国は鶏林なのに!」
「鶏林に行ってはだめよ!」

「一体なぜなの?  チルスクおじさんに襲われた訳は?  どうしてなの?」

黙り込むソファにトンマンは「答えて」と迫るが、ソファは何かを隠し、何かに怯え、考えて考えて・・・・・・やっと口を開いた

「お前の父さんが、戻るなと言ったのよ」

鶏林にだけは行ってはならない、行かせてはならない・・・・・・ソファの頭はそれだけを考えていた

「ムンノ・・・・・・  国仙のムンノって人が、私と兄さんの父さんなの?」

ここでソファは失態を侵した・・・・・・いきなりよく知った名が娘の口から出たことに、動揺を顔に出してしまったのだ

今まで何一つ教えてはいなかった娘の口から・・・・・・なぜ、国仙の名前が出たのだろう

ソファは動揺したことにも気がつかないほど、あわあわと目を揺れさせた

「ど、どうして国仙のことをお前が?」
「母さんが大事にしてる袋!  そこにある手紙を、読んだの」

「ち、違うわ!  その人は父さんじゃない」

パチパチッ!  パチッ!

ソファとトンマンの空気が、洞窟の中で止まっていた・・・・・・

トンマンの胸には疑問が次々と湧き出ているし、ソファの胸には決して真実を知られたくはない思いが渦を巻いている

パチッ!  パチッ!  パチチッ!

薪のはぜる音だけが二人の間を埋めていた・・・・・・
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  1. 2012.04.26(木) _19:33:09
  2. リレー小説『偽りが変化(か)わるとき』
  3.  コメント:2
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comment

すーさんへ

  1. 2012/04/27(金) 07:49:03 
  2. URL 
  3. あき 
  4. [ 編集 ] 
すーさん こんにちはー♪お久しぶりです!

すーさんのブログにもちょくちょくお邪魔していますが(特に大佐&シンシアのお話楽しみにしています!)リレー連載は、すーさんのトン&ピを読めるので、また格別です。

砂漠の熱をこちらまで感じるような臨場感に、ワクワク読ませて戴きましたv

続きも楽しみにしています(*^o^*)

☆あき様へ☆

  1. 2012/04/27(金) 23:16:49 
  2. URL 
  3. すーさん 
  4. [ 編集 ] 
お久しぶりです、あき様(^∀^)ノ
熱気まで感じていただけて嬉しいです☆
脱水症状にはお気をつけて(冗談です、すみません)
大佐とシンシアも少しづつ書いてますので、もう少しお待ちを

トン&ピもリレー連載でしか書かなくなって久しいですが、何だか新鮮で書くのが楽しいです(オイオイ)

そう言えばスン&ポジでばっかり書いてて、私ったら王道のトン&ピだけの話って短編しか書いてませんね(あとはスン&ピとかで)

いま分かりました! ああ、ビックリ

これからもリレー連載ではトン&ピを書いていきますので、よろしくお願いします!

私って、おじ様愛好家なので そちらも どうぞよろしくお願いします

(^∀^)ノ


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