善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

RhododendRon別荘

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リレー連載『偽りが変化(か)わるとき』~砂漠編~ by saki

100万打記念アンケートにご協力くださいました方々、ありがとうございます!ニヤニヤしながら拝読しておりますv←
ただ、その中の衣装に関する設問のご回答に、たまに「どの衣装だろう…?」と首を傾げるご回答があって、「気になる気になる気にな(以下略)」と悶えています(;´Д`)
例えば、「トンマンの青い衣装」と言うと、郎徒時代の衣装に、日食当日に着ていた衣装、公主時代の衣装(41話辺りで着てた上着なしタイプと、51話で着てた上着ありタイプ)、女王時代後半に寝所で着てた衣装に、ポスターの刺繍が入っていない公主の衣装とたくさんあって、どの衣装を指しているのか見当がつかず、集計出来ないんです。←マニアな悩み。
あつかましいお願いではありますが、何話で着ていたかとか、どの話の時に着ていたかとかを書いて頂けると助かります…! ↑の記事にトンマンとミシルの衣装の一覧表を更新したので、そちらも参考になればなーと…。
細かいことを言ってすみません…!あと1週間でしめきりとなりますが、引き続きご回答をお待ちしております!もししめきり延長のお申し出があれば、五月いっぱいまで延長致しますので、匿名で気軽にお声をかけてくださいv(*´∇`*)


続きは、リレー小説の第43話です。今回はsakiさんが担当でしたーvv


* *


沈黙が落ちた。

ソファは「違う・・・違う・・・。」と頭を振り否定を繰り返す。何処を、いや、何時を見ているのか、その目は些か虚ろでさえある。

ソファが何かの縁(よすが)に縋るように抱きしめている袋を、その向こうに見え隠れする誰かの影を睨みつけトンマンは何時しか心の奥底に凝り溜まっていた想いを感情のままに吐き出していた。



「父さんじゃないなら何だっていうのさ!!母さんがその手紙を大事してたのだって知ってる!母さんやあたしたちを捨てた奴をどうして庇うような事いうのさ!?」



兄と2人、守らなければと口には出さずとも思っていた相手に対して当たり散らすような事をしてしまった。けれど一度声に出してしまったものを取り返す術は無く。

トンマンはまるで幼子の様にうずくまり震える母を前に言葉を無くしてしまった。

自分たちの身を守る為とはいえ、人を、チルスクを刺した母と同じ人だとは到底思えぬ姿。自分と兄の大好きな優しく暖かなその手で他人を傷つけたのだとはとても思えない姿だった。一瞬の激情が過ぎてしまえば残るのは後悔だけで・・・。



「・・・・母さん・・・母さん。ごめん、母さん。父さんの事はもういいよ。兄さんが来るまで今は休もう?

大丈夫。兄さんは強いし、かくれんぼだって得意だもの。すぐに追いついてくるよ。それにこれから砂漠を渡るんでしょう?少しでも体力回復させておかなきゃ、そうだよね?」

「トン・・・マン。ごめんなさい、トンマン。混乱してるのは貴女のはずなのに。ピダムだって・・・・戸惑ってないはずがないのに。」

「大丈夫。大丈夫だよ、母さん。」



肩を寄せ合い大丈夫とトンマンは繰り返す。前にも後ろにも動けぬ今トンマンに出来るのはそれだけだった。

















岩窟の外はまだ暗く朝は遠い。膝を抱えトンマンは星の輝く夜空を見上げる。
奥ではソファが時折うなされながらも眠りについていた。



「・・・・大丈夫・・・・・・大丈夫・・・・・大丈夫・・・。」



怯えているのか先程とは違い繰り返す言葉は自身に言い聞かせているようだ。夜風が慰めるかのようにトンマンの髪を撫でていく。

数刻前の光景が頭から離れない。砂漠の夕日よりも朱い紅の炎が母と自分を飲み込もうと狂い踊り、凍えた氷の残滓をその目に秘め剣を突き付けてきた男の姿が。そしてソファの態度からも遠からず男が追ってくるのだと知れたが故に。



「・・・・・・・兄さん。」



助けて、と音にならない声が砂漠の夜空に吸い込まれていった。



+++



人のざわめく気配。時折、腕をとられたり顔を覗き込まれる感覚に夢と現を行ったり来たりしていた意識がゆっくりと浮上していく。はたして重たい瞼を上げた先には自身と同じ赤い髪。いや、それよりは僅かに色の抜けた朱。



「・・・・シャ-リ-ンか。」

「あら。おはよう、父さん。気分はどう?」



簡素な寝台に寝かされていたアサドは半身を起こすとそこら中に包帯の巻かれた自身の身体を確認し苦笑をこぼした。



「こりゃまた随分な有様だな。俺も歳か?」

「打撲に裂傷。ところにより骨折。一ヶ月くらい仙人掌相手に話しでもしてたらいいと思うの、父さん。」

「仙人掌なぁ。」

「情がわいた頃に食卓に出してあげるわね。」

「まあ、何だ。俺が悪かった、シャ-リ-ン。母さんたちにまた心配かけちまったみたいだな。説教は後で聞こう。それより俺と一緒にいた鶏林人の男は何処だ?」



よくよく回りを見渡せば、どうやら医者の所に運ばれたわけでもないらしい。そこはどうにか火難を逃れた旅閣の一室だった。



「・・・鶏林人?」

「腹から鉄棒生やした男がいたろう?」

「あぁ。あの自殺志願者さんのことかしら?父さんより先に気付いて砂漠に出ちゃったらしいけど。」

「らしいってのは何だ?いつもなら怪我人や病人がいたら残らず寝台に放り込むだろ?」

「仕方ないじゃない。いなかったんだから。けど鉄棒抜いたり傷口を縫い合わせたりするのに先生が麻痺薬を使ったからしばらくはまともに動けないと思ったのにな~。」



むぅ、と頬を膨らませ予想外と呟く娘にアサドはそうかと相槌を打った。



(・・・あの傷でもう動けるってのか。つくづく出鱈目な奴だな。)



あの剣の腕、体術、他を圧する眼光。そしておそらくは並々ならぬ精神力を持ち得ているのだろう男にアサドは憐憫を禁じ得なかった。

15年なのだ。ソファたち親子がこのオアシスに現れてから。それ以前に彼女が辿ってきた道を自分たちは知らない。そしてチルスクが彼女らに関する事があったのならば当然それ以前のはずである。

15年。彼が何に駆り立てられてその年月を過ごしたのか。過ごさねばならなかったのか。少なくともソファに対する恋情でないのは確かだろうが、相手を殺しかねない殺意と間違えるほどにまで煮詰まった感情。

どちらに肩入れするかなど聞くも愚かな問いに過ぎないが、アサドは僅かばかり天井を見上げると男の胸中をおもんばかってしまう。しかしそれも一瞬で、シャ-リ-ンに視線を戻した彼の表情は街を守る自警団長の顔だった。



「・・・で、他の連中は?」

「ん~。商人さんたちなら食堂で額突き合わせてわ。団員くんたちなら後始末に忙しそうだったわね~。

皆に指示を出すのが仕事のはずの責任者さんが何故か一番の怪我人だったから。あとザズはピダムを探して街中走り回ってたかしらね?」



これはかなり怒っているなと先程から端々に感じる刺にアサドは「そうか」とだけ頷いて窓の向こうに目をやった。

そこには惜しみなく注がれる太陽の陽射しがあり、砂混じる風が街中を吹きわたっている。

シャ-リ-ンの話しや自分の記憶の範囲からも昨晩の火事が幸いにも周囲への類焼は避けられたのは確かで、旅閣もこのとおり無事とはいえないが使える部屋が幾つか残っているし、幾らかの荷は燃えたが人死にもない。となれば残る問題はソファたちの事くらいか。

外から聞こえる普段と変わらぬ賑やかしの声にアサドは肺から深く重い息を吐き出したのだった。



+++



強すぎる陽射しに砂が多分に混じる風。そして黙して語らぬ雇い主・・・・・いや、賃金を介する関係ではないからそれは全く正しい呼び名ではありえない。

今はやや一方的に世話をしているに過ぎないが、それも将来の目算あってのこと。

さて、仮初めの主であるこの男との関係を何と呼ぶべきか?ヨムジュンはこちらに意識を向けることなくただ前に歩を進める男の背を見る。この陽射しに汗ひとつかいていないのではと思わせる涼しげな顔だ。商団の人間に水筒を持ってこさせヨムジュンは惜し気もなくその中身を飲み干す。砂漠において水は貴重なものだが今日中には目的のオアシスに辿り着ける手筈である。問題はない。



「・・・風が。」

「どうかしましたか?ムンノ公?」



立ち止まり空を仰ぐ男にヨムジュンはいつの間にか追いついていた。真っ直ぐに前だけを見ていた目を空に向け、眉間に皴を寄せ何かを読み解くように天を凝視している。



「・・・時に尋ねるが、お主は朴占や予言の類いを信ずる人種であったか?」

「は?」



答えるならば否である。商人たる者、利を得る為に時局を読み、必要ならば先行投資もするが結局は自身の決断が全てを決めるのだとヨムジュン自身は知っている。

そこに(少なくとも自分には見えぬ)天の意思が介在しているなどとは露とも思わない。己が歩んできた道程は己だけの物。そしてこの先の道標も自身が必要とするものだけを自分の意思で選び取る。一介の商人が何をいうと誰が言おうと知った事ではない。



「そうですな。仕事の塩梅によっては街の呪い師などを頼ることも、まあ無くは無いですかな。」

「・・・そうか。」

「それが「ならば、隊を一つ所に纏めておいた方がいい。」・・・・・はいっ?」



途中で言葉を遮られおかしなことを言われた。空を見ていた視線が今度は自分に向けられている。何やら何時も以上に眉間に皴も寄っていた。



「・・・風がおかしい。」

「かぜ?」



思わず鸚鵡返しに聞けば重々しく頷かれた。砂が風に舞い、それを追えば確かに暗雲が空を駆け急ぎ、熱風だけが吹いていると思っていた中に氷を含ませた風が時おり踊り狂っている。



「・・・嵐が近いやもしれん。」




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  1. 2012.05.14(月) _21:00:00
  2. リレー小説『偽りが変化(か)わるとき』
  3.  コメント:3
  4. [ edit ]

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comment

saki様へ

  1. 2012/05/15(火) 00:07:43 
  2. URL 
  3. あき 
  4. [ 編集 ] 
saki様こんばんは。初めてコメントさせて戴きます。あきと申します(^w^)

第一話のsaki様のターンからずっと拝読しております。今までにも何度も感想を書こうと思ったのですが、今になってしまいました(>_<)

先ほどちらっと第一話を読み返したのですが、トンマンもピダムもとても可愛くって生き生きしていますねv
saki様の文章は情景が目に浮かぶ位詳しくて素敵で、しかも読みやすいですv

今回は、『砂漠の夕日よりも朱い紅の炎が母と自分を飲み込もうと……』の一文がよかったです(あ、全部素敵なんですが)場面の緊迫感が伝わってきて…。

そして、三人それぞれ文章に個性があるのに、毎回スムーズにお話に入り込んでいます。本当にすごいですね~!

これからも楽しみにしています(*^o^*)

saki様へ追伸

  1. 2012/05/15(火) 01:39:57 
  2. URL 
  3. あき 
  4. [ 編集 ] 
saki様すみません!追伸って程の内容でもないのですが、第一話から読んでいます…って言いましたが、初めて読んだのは善徳にハマった昨年の夏からなので、最初の方は秋頃まとめて読んでいます!

緋翠さんのブログで二次創作というものを初めて知って、『隠居連載』→『ダーク連載』→『砂漠編』と読ませて戴いていました。

それにしても、もうすぐ丸二年になるのですね~vリレー連載というのは大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!

あき様へ

  1. 2012/05/16(水) 21:04:50 
  2. URL 
  3. saki 
  4. [ 編集 ] 
初めまして、あき様^^ sakiといいます。

コメント&お褒めの言葉ありがとうございますw
緋翠さんやすーさんに比べたら駄文にすぎない私の文章ですが少しでも楽しんでくれるようで幸いです。

文章は私自身書きやすい文体で書いているので、おそらく口語文になっているからだと思います。
情景描写に関しては自分のボキャブラリーの無さに毎回泣きをみているのが本当のところで、もっと本を読もうと思いつつ実行に移せていませんw

けれど、リレー始めてもう2年になるのですか。自分たちで書いていて何ですが驚きですw
そこまで続けらるとは正直思っていませんでしたのでw 絶対に一人だったら途中で力尽きていたのだろうと思います。
そう思うと緋翠さまやすーさんには感謝ですねw

ではでは、コメントありがとうございました^^



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