善徳女王の感想と二次創作を中心に活動中。

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リレー連載『偽りが変化(か)わるとき ~砂漠編』 by すーさん

リレー連載第45話!すーさんのターンです(・∀・) 思わず、おおおおお……と興奮しながら読んでしまいました。

※その回の執筆者がお返事申し上げますので、このシリーズへのご感想は、拍手コメントではなく、コメント欄にご投稿頂くようお願い致しますv


*****


母さん・・・  母さん・・・  俺の、母さん・・・

『二人で、生きて』

洞窟で今しがた母に抱かれたピダムの胸には、小さくも暖かな光がポツリと灯っていた

小さな頃・・・妹であるトンマンは日に何度も抱っこされたりしていたが、俺は男で『兄ちゃん』だからと母の手伝いこそすれ・・・抱っこをねだるだなどとは出来なかった

砂漠に来るまでの道中であった、あの事・・・・・・それもピダムを遠慮させる要因になっていた

宿屋に置いていかれた、あの日・・・・・・小さいながらもピダムは【捨てられた】と思い、日が暮れてからは諦めていた・・・・・・あの日

幼い胸には小さな棘が刺さった出来事なのだが、母のソファは戻って来てくれた

それから今まで・・・・・・母は小さな身体で精一杯の愛情をかけてトンマンと俺とを育ててくれた

去来する想いがピダムを覆う・・・『二人で、生きて』母の言葉に胸に沸き上がる暖かな何かに・・・・・・ピダムは笑う

白い歯を見せながら水場へと砂の大地を駆けながら、ピダムは笑う・・・・・・

『俺は 生きて いいんだ』

意味も訳も分からない追手に旅閣を焼かれ、せっかく住んでいた街を追われ、着の身着のままでこれからを考えなければいけないのに・・・・・・ピダムは笑っていた

暖かな胸の光を感じながら母と妹と居られれば、何の問題でも軽々と飛び越えられると思う高揚感に溢れたまま・・・・・・トンマンを迎えにピダムは駆けていた

「俺はトンマンと母さんと居れれば、それでいいさ・・・まずはあのオッサンから逃げきってやるか!」

ひゃっほ~~~~~・・・・・・

砂の大地を跳び跳ねながら駆けていくピダムは凄い速さで水場へと着き、愛しき妹の後ろ姿を発見したのだった

*****

「まだかな・・・兄さん」

トンマンは一先ず深呼吸して皮袋に水を入れる作業に集中していた

きれいに掬わないと水が濁り泥水を飲むはめになるのだから、トンマンは集中していた

「よっ! うまく入れろよ~トンマン」
「兄さん!」

バシッ!と、声と共に背中を叩いたのは、兄のピダムで・・・そのニカッと笑う顔を見ればトンマンは・・・・・・《ごぃ~~~ん》と兄の頭を殴っていた

「い゛っっっでえ゛ーーーーー何で殴るんだよ!」
「遅いの!」

「んあ?」
「遅いんだってば!」

「トンマン・・・」
「直ぐに来ると思ってたのに兄さん遅すぎるんだよ・・・ どれだけ呼んだと思ってんのよーーー」

気丈なトンマンと云えど、昨夜からの一連の出来事に緊張し続けていた心が・・・・・・ピダムを見て一気に膨れ上がり、弾けた

「兄さんが・・・遅いのが・・・悪いんだぁ~・・・うわぁーーん・・・」
「トンマン・・・すまない」

子供のように泣き出したトンマンにピダムは謝り続けるのだが・・・・・・

「うわぁーーーん・・・兄さんがバカだから妹の私が苦労するんだ・・・うわぁーーーん」
「・・・ごめん」

「兄さんのバカァ~」
「・・・いい加減にしろよ!バカバカ言い過ぎだろ!」

「うわぁーーーん・・・バカが怒ったぁーーー」
「だああああ! 大人しくしてんなら泣かせといてやろうと思ったが、頭きた!」

ピダムの言葉にトンマンが泣きながら身構えれば・・・・・・

ぎゅっ・・・と抱きしめられたトンマンはピダムの胸に涙で濡れた頬を、押し付けられていたのだった

「大人しく泣いとけ!  ・・・遅くなって悪かった」
「うん」

もう泣いてなどいないトンマンは、すっきりとした顔をしている

「さ、水汲んで戻るぞ」
「兄さんも手伝ってよね!」
「わかった、わかった」

そうして二人で皮袋に水を汲んでいた・・・そのころ

母のソファに危機が迫ってきていたのだった・・・

*****

ピダム・・・  トンマン・・・  二人とも、生きて・・・・・・

それが私の望み・・・・・・あの子達が二人で居てくれれば心配はない・・・・・・たとえ私がいなくなったとしても

小さな焚火の焔を見ながら考えに耽っていたソファは、何かを聞いた気がした

追われる者、その特有の強迫観念はソファをして小さな物音にも敏感に感じるようになっていた

サク・・・・・・サク・・・・・・サク・・・・・・サク・・・・・・

踏みしめる砂の僅かな音と気配に《びくぅ!》と身体を跳ねさせ、ぶるぶると震えながらもソファは袋を持ち岩窟の外へと出たのだった

ゴツゴツと連なる大岩の陰に身を潜ませながらも移動しているソファ・・・・・・

立ち止まり本当に追手なのかどうか、確かめる事もしないソファは一目散に大岩の間を歩いていた

「トンマン・・・  ピダム・・・  二人に知らせて・・・  に、逃がさなきゃ・・・  二人に・・・  知らせなきゃ」

・・・・・・二人を先に行かせた後は、あの男を足止めしよう・・・・・・私の命に代えても・・・・・・

私の子供達を 逃がすんだ!

はぁ・・・  はぁ・・・  はぁ・・・  はぁ・・・

息が上がる・・・  足が 動かない・・・  歯がゆく自分の身体を思いながらも必死に逃げるソファ・・・・・・

だが、岩窟の中に探し人の痕跡を見つけたチルスクが【にたり・・・】と笑いながら岩窟を飛び出したなど・・・・・・ソファに判るはずもなかった

*****

はぁ・・・  はぁ・・・  はぁ・・・  はぁ・・・  はぁ・・・

ずっ・・・  ずずっ・・・  ずずっ・・・  

急いで・・・  急ぐのよ・・・  あぁ・・・もう!  どうしてもっと早く走れないの!

身体の弱い自分だが今日だけは!  今だけは!  あの子達を助けるために・・・・・・もっと早く・・・・・・もっと、もっと・・・・・・

命を削るように無理をしながら必死に走るソファの後ろに、追手のチルスクが迫ってくる

女の足など容易いもの・・・・・・と侮り笑いながら追いかけるチルスクだが、一向に追いつけないまま岩場にやって来ていた

足を引き摺り、激しく身体を上下させながら走るソファを追いかけながらチルスクは違和感を覚えている

「何故だ!  近づけない!」

足場の悪い岩場だからか?  土地勘がないからか?  腹を刺されているからか?  いや、どれも違うだろう

目の先を行くソファの後ろ姿には子を守ろうと、それこそ命懸けで駆けている姿が見えた

ソファを見て幾度か思った・・・・・・母とは、この様な者なのか・・・・・・子の為ならば己が命さえ惜しみなく捨てれる

牢屋の中で息も絶え絶えにいた姿が浮かぶが・・・・・・

暫しの間、そんな事を考えていたからだろうか・・・・・・ズキリと痛む腹の傷に手をやれば、滴る血が手を染めていた

《ガラッ》

「う゛ぉ・・・」

足の下の岩が崩れ均衡を崩したチルスクは、呻き声を1つ残して倒れて転がっていた

「?」

ソファが ぜぃぜぃと息をしながら振り返り、岩場の間に転がるチルスクを見て・・・  直ぐにまた動き出していた

*****

見つけた!  トンマン・・・  ピダム・・・

やっと辿り着いた水場では兄妹が笑いながら水を汲んでいた

「トンマン!  ピダム・・・きゃあ~」

早く逃げるのよ・・・・・・と言いかけたソファは、躓いて砂地の丘を転げ落ちて水場へと辿り着いたのだった


「ぬあ゛~ 母さん!」
「母さん!」

驚いた兄妹がソファに近寄れば・・・・・・ソファの身体がみるみる沈んでいく

「流砂の渦か!」
「母さん!」

それは砂漠にあって底無しの砂の沼・・・・・・蟻地獄のように一度捕らえた獲物は逃がさない・・・・・・砂漠の罠

トンマンはリュックから縄を出し、輪を作り母に投げピダムと二人で引っ張り始める

「くそっ!  流砂なんかに母さんをやれるか!」
「う゛~~~ん」

二人が縄を引っ張っている後ろから、黒い影が迫ってくる

「私はいいから早く逃げなさい!」
「「嫌だ(よ)」」

砂山から現れたチルスクを見てソファの口から悲鳴があがる

「ピダム、トンマン! 逃げなさい」

「くそっ!  トンマン母さんを頼む」

ピダムは剣を取り出しチルスクへと向かっていく

チルスクも剣を取り出し砂山を滑り降りて・・・・・・二人は対峙した

《キィーン!  カンッ!  ツキィーン!》

「やぁあーーー」
「なんの!」

がむしゃらに掛かってくるピダムに手こずるチルスク・・・・・・

ソファを助けようと必死なトンマンは縄を引っ張り続けたが、自分の膝元が崩れ始めているだなど気がついていなかった

「トンマン! もういいから止めて」
「駄目!  絶対に母さんを助けるの!!!」

ああ・・・  トンマンは聞いてくれないけど、トンマンまで流砂に捕まっては・・・  それだけは避けなければ

ふと、ソファの視界に入ったのは大事に持って出た色鮮やかな袋・・・  次の瞬間、ソファは袋からソヨプ刀を出して・・・・・・抜いた

眩しい砂漠の光がソファの手にある小刀に反射して白く光輝いていた・・・・・・

*****

遅くなりまして申し訳ないです・・・今回の書き手の すーさん です!

私としてはピダムの心情とソファの母心と・・・・・・シリアスが続くので少し笑える場面を盛り込んでみました

楽しんでいただければ嬉しいです
(^∀^)ノ
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